3月20日、訪米中の高市早苗首相が同席する場で、トランプ米大統領は日本人記者から米・イスラエル軍によるイラン奇襲について問われたのに対し「不意打ちのことは、日本が一番よく知っているだろう。どうして日本は真珠湾のことを(米国に)知らせなかったのか」と答えた。大統領が日本軍の真珠湾奇襲を突然持ち出した真意は不明だが、大統領とは別に、真珠湾攻撃をいまだに批判する高官がトランプ政権に存在することは、日本として知っておいていい。
ギャバード情報長官の異様な主張
この高官は昨年発足した第2次トランプ政権で米国の情報機関を統括する国家情報長官に就任したトゥルシー・ギャバード氏だ。2023年12月7日、つまり米国時間で真珠湾攻撃の記念日にSNSに投稿し、「太平洋における日本の侵略を思い起こす時、私たちは自らに問いかけなければならない。現在進行中の日本の再軍備は、本当に良い考えなのだろうか」と主張した。「太平洋における日本の侵略を思い起こす」というのは、まさに「真珠湾を忘れるな」である。
ギャバード氏は昨年1月30日、上院における国家情報長官への指名承認公聴会でも、日本に対する見解を問われて「日本と中国の歴史をめぐる見地に立てば、日本が自衛態勢から攻撃的な態勢に移ることでエスカレートする可能性がある」と述べ、日本の今日の軍備増強に警戒を示した。
一連の発言は中国の対日批判とよく似ている。1月27日付の人民網日本語版に「日本の新型軍国主義を食い止めねばならない」という次のような論説が掲載されている。
「日本の『新型軍国主義』は、もはや危険な兆候ではなく現実の脅威であり、平和を愛するすべての国際的正義の勢力が高度に警戒しなければならない。(中略)日本の右翼勢力は、戦後の国際秩序にさらなる挑戦を突きつけ、地域の平和と安定を損ない、世界の平和と安全を危険にさらしている」
日本を侵略者と糾弾し、日本の現在の行動をも軍国主義と断じる見方である。ギャバード氏の主張と通底しているではないか。
なくならぬ対日攻撃材料
米政府高官の中に中国と対日見解を共有する人物がいることに警戒すべきである。中国ばかりでなく、先の大戦をめぐっては、ロシア、韓国、北朝鮮も同様の主張をすることがある。韓国でも1990年代くらいまでは、日本の行動を軍国主義だとして非難する言説が多く見られた。現在でも韓国で時折、日本に対して「戦犯国」という言い方が使われる。終戦から80年経過しても、日本への攻撃材料はなくならない。
米国の一部に、日本に対する認識で中国と共鳴する層が存在することを気に留めておく必要がある。中国に歴史問題を利用させてはならないのである。(了)





