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2026.04.13 (月) 印刷する

終戦後の掃海に「もがみ」型護衛艦派遣を 太田文雄(元防衛庁情報本部長)

中東を管轄する米中央軍司令部は11日、アーレイ・バーク級駆逐艦である「フランク・E・ピーターソン」と「マイケル・マーフィー」の2隻(母港はハワイのパールハーバー)がホルムズ海峡における機雷の完全除去任務の一環として同海峡を通過したと発表した。水中ドローンも追ってこの任務に加わるとしている。中央軍司令官のクーパー海軍大将は「(ホルムズ海峡に)新しい通航路を確立するプロセスを開始した」と強調した。

イラン・イラク戦争末期の1988年、クウェート船籍タンカーを護衛していた米海軍のオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート艦「サミュエル・B・ロバーツ」がイラン軍によって敷設された機雷に触れて船体に重大な損傷を受けた。当時の幹部乗員と昵懇じっこんであった筆者は、機雷除去が切実な問題であることを認識しているだけに、米海軍だけに任せて良いのか、という思いがある。

トランプ氏が日本に不満

トランプ米大統領は6日の記者会見で、「日本はホルムズ海峡を通じて石油の95%を得ている。日本は自ら出て行って、海峡を守るべきだ」と発言した。ホルムズ海峡の安全航行確保に関しては、トランプ大統領が日本を含め利益享受国に軍艦の派遣を要求したほか、英国が多国間の協力の枠組みづくりを主導している。

筆者は、3月16日の「今週の直言」で海上自衛隊の「つき」型護衛艦に掃海ヘリコプターを搭載して現地に派遣することが適切と論じたが、米イラン協議により戦争が正式に終結するのであれば、空からの脅威は減じるので、機雷掃海・掃討能力を持ち、かつ今年3月時点で海上自衛隊が10隻保有する「もがみ」型護衛艦(FFM=FFはフリゲート艦、Mは「多目的」と「機雷」を意味する)を派遣すべきだ。

自衛隊法で派遣可能

戦闘中に武力攻撃の一環として敷設機雷を除去するのは国際法上の武力行使とみなされる危険性を説く向きもある。しかし、過去の紛争などで遺棄された機雷の除去は自衛隊の任務として実施可能であり、現に湾岸戦争後の1991年、自衛隊法99条(現在の84条2項)を根拠にペルシャ湾へ掃海部隊を派遣できた。

また、イランの革命防衛隊がホルムズ海峡に敷設した機雷は、無計画に敷設したため一部の行方が特定できていない(10日の米紙ニューヨーク・タイムズ)と報じられていることから、遺棄機雷と捉えることもできる。この際、現在ペルシャ湾内に取り残されている日本関係船舶42隻と日本人二十数名を含む乗組員の救出を優先すべきた。加えるに、台湾有事における機雷掃海の軍事的経験を積むメリットもある。

1991年当時は500トン程度の掃海艇4隻と掃海母艦、補給艦が派遣された。海上幕僚監部の日例会報でインド洋の荒波に耐えて渡航する状況を班長として毎日祈るような気持ちで見守っていた筆者だが、「もがみ」型は満載排水量約5500トンで、渡洋に心配はない。

湾内の日本関係船を先導せよ

「もがみ」型FFMの機雷捜索用ソナーシステムにより、機雷の有無を確認しつつホルムズ海峡を通航させ、その航跡に日本関係船を航行させて、ペルシャ湾内に留め置かれているタンカー等を湾外に脱出させればよい。

イランが提唱するホルムズ海峡北側の航路はイランの領海であり、通航料を徴収される可能性がある。こうした動きを容認すれば、来るべき台湾有事後、台湾海峡の通航料徴収に走る中国を責めることができなくなる。国際海峡の自由通航という国際法上の原則は、今後とも堅持しなければならない。国際海峡の開放は海洋国家の国益である。(了)