今月の総合安全保障プロジェクトの月次報告会は、来る衆議院選挙を考慮し第1部の議員向け報告会は取りやめ、第2部のメディア向け報告会に絞り実施した。
まず、吉田正紀・元防衛大臣政策参与が「ベネズエラ対応に見る米国の新戦略」について、続いて中川真紀・国基研研究員が中国軍の「統合演習・正義使命2025」を、さらに荒木淳一・元空将が「対領空侵犯措置の現状と課題等」と題してそれぞれ報告し、参加した記者や企画委員からの質疑に応じた。
以下、その概要を簡単に紹介する。
総合安全保障プロジェクト・月次報告会記者ブリーフィング(午前11時30分~午後1時)
【概要】
上記報告の後、出席記者からの質問に答える形で補足説明も行われ、活気ある議論が展開された。質疑応答の一部を以下に紹介する。
【質疑応答】
Q: 中国の対日認知戦の具体例、及び中央軍事委員会の状況について教えて欲しい。
A: 中国軍機関紙の解放軍報の対日批判記事を見ると、11月と12月が急増しているなど、数値的な現象は観測できる。中国国内向けの報道ではあるが、西側諸国も含めて外国識者の高市政権批判や日本人の反戦デモ等があたかも高まっているような報道を連日繰り返しており、世界にも同様に発信しているのであろう。
他方、中央軍事委員会については、先ごろ粛清された委員に対する批判記事が解放軍報の社説に掲載された。しかしご紹介したように軍事演習は淡々と実施されており、現場への影響は今のところ確認されてない。
Q: 米国がベネズエラに対して行った事例が今後イラン情勢にも影響を及ぼすか。
A: イランについてだが、米国内でも議論がある中、リンカーン空母打撃群が現地に到着した。いつでも軍事的介入の準備はできているが、政治的環境はまだ整っていない。いまは外交のフェーズで、空母部隊の派遣は抑止のためと考える。
Q: ベネズエラの警戒探知システム(中国製)は役に立たなかったのではないかという指摘もあるが。
A: 中国製の装備に対する評価という観点だが、同じ中国製でも輸出相手により性能を変えることには注意を要する。またシステムを操作する側の練度も考慮しなければならない。さらに電源がサイバー攻撃でダウンしていた可能性もあり、装備を総合評価するには情報不足である。
Q: 中国機の日本領空侵犯の際、米軍は連動した動きをするのか否か。
A: 基本的には日本のスクランブルに米軍は関与しない。ただし、個別に何らかの対応をとる可能性はある。
この総合安全保障プロジェクトの月次報告会・記者向け報告会は、今後とも継続実施していく予定である。 (文責 国基研)