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2026.04.06 (月) 印刷する

『生物兵器開発と新型コロナ起源:メディア工学の視点から』 掛谷英紀・筑波大学システム情報系准教授

筑波大学システム情報系・掛谷英紀准教授は、4月3日、国家基本問題研究所企画委員会にて、世界の生物兵器開発について731部隊や新型コロナウイルスの事例をからめて説明し、その後櫻井理事長をはじめ企画委員らと意見交換を行った。

【概要】
・新型コロナウイルスは研究所起源か

新型コロナウイルスのパンデミックは未曾有の災害となった。その発生の起源について、2020年5月に生命科学者を中心とするオンライン勉強会を開催し、当該ウイルスは研究所起源である可能性が高いとの結論を得た。

2021年に、新型コロナウイルスの起源を追究する国際的研究者集団「パリ・グループ」のメンバーになった。2022年には日本分子生物学会で発表、その後、多数の生命科学系の学会で発表し、学術誌にも論文を投稿・掲載してきた。

新型コロナウイルスは、その塩基配列の特徴から、武漢ウイルス研究所が生物兵器の基礎研究をしていた途上の産物が流出した可能性が高いと考えられる。その隠蔽に日本のウイルス学者が積極的に加担するのを見て、それまで中国のプロパガンダと考えていた731部隊の生物兵器開発や人体実験に一定の信憑性があるのではないかと考え、自ら資料を当たって調査を始めた。

・731部隊から戦後の微生物学へ
そもそも731部隊とは「関東軍防疫給水部本部」の通称で、帝国陸軍が満州に設置した防疫や給水などの衛生業務を行う組織であったが、同時に細菌兵器の研究・開発などを行ったとされる。その中には東京帝国大学伝染研や京都帝国大学出身の医師もいて、戦後は米軍への協力により無罪放免(戦犯免責)となり日本の微生物学を支配することになったと言われる。

戦中に731部隊の医師が流行性出血熱の病原体確定実験を行っている。その成果を発表した論文の被験体の「猿」は人間のことで、人体実験が行われていたと、大阪公立大の土屋氏が指摘している。同様に、満州で行われた凍傷研究は、戦後にその研究成果が発表されており、被験者には生後3日の新生児もいたことが論文で報告されている。さらに、戦後の1950年代に、旧731部隊関係者が乳児に特殊大腸菌を飲ませる大規模人体実験が行われたことも論文で報告されている。

現在では倫理基準が厳しくなって、同様の実験はできないと多くの人が信じているが、微生物学者たちは人体実験を「ヒトチャレンジ試験」と名前を変えて復活させようとする動きがあり、注意を要する。

・世界の生物兵器研究とコロナパンデミックの起源
米国は戦後、731部隊の研究成果を受け継ぎ、生物兵器開発を行ってきたとされる。米国ではニクソン大統領が一旦それを停止したが、9.11同時多発テロ後の炭疽菌テロをきっかけに、当時のチェイニー副大統領が中心となって生物兵器研究を再開した。1979年、ソ連では生物兵器施設から炭疽菌が漏洩し、周囲の住民64名が死亡する事故が起きている。この事故はソ連崩壊まで隠蔽された。事故当時、米国の研究者も生物兵器施設からの漏洩事故を否定することに協力した。このように、微生物学者は敵味方関係なく互いに協力する傾向がある。

そのような中、米国の研究機関・大学が武漢ウイルス研究所と共同でDARPA(国防高等研究計画局)に研究予算を2018年に申請していたことが分かった。2021年に内部告発でその申請書がリークした。これはProject Defuseと呼ばれ、SARS系統のウイルスをヒトの細胞に感染しやすいように人工改変するものだった。その改変内容は新型コロナウイルスの特徴と符合し、「新型コロナウイルスの設計図」とも言えるものである。
Defuse自体は不採択であったが、DARPAの予算外で実験が継続されたと考えられ、武漢の研究所がコロナパンデミックの起源である可能性は極めて高いと言える。

・まとめ
国内外を問わず生命科学者は人権意識が低い傾向にあることは、歴史が示してきた。そのため科学者の活動に対し市民などの第3者が、常に監視の目を向けておくことが重要なのである。これは日本を第2のパンデミック起源にしないためにも是非必要なことである。

それと同時に、731部隊の人体実験は戦時中の負の遺産であったとしても、倫理的観点から自ら積極的に発信することで、正しい歴史認識を世界に広めることに貢献するのではないかとも考える。
 
【略歴】
1970年大阪府生まれ。1993年、東京大学理学部生物化学科卒、1998年、東京大学大学院工学研究科先端学際工学専攻博士課程修了、工学博士。通信総合研究所(現・情報通信研究機構)研究院を経て、現職。専門はメディア工学。NPO法人学際相互検証機構代表理事を務めている。著書に『学問とは何か 専門家・メディア・科学技術の倫理』(大学教育出版)、『学者のウソ』(SBクリエイティブ)『学者の暴走』(育鵬社)など多数。 (文責 国基研)