公益財団法人 国家基本問題研究所
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2026.04.10 (金) 印刷する

中国軍事動向月報 2026年3月

1 全 般
3月5~8日、第14期全国人民代表大会第4回会議(以下、全人代)が開催、第15次5カ年計画綱要・予算・法律等を批准し、7日には解放軍・武警部隊代表団全体会議が開催された。同会議に出席した習近平中央軍委主席は、重要講話の中で「軍に党に二心を抱く者は存在してはならない」と訓示し、党への忠誠を強く求めた。

台湾周辺では、艦艇・公務船の隻数は例年並みであったが、軍用機は低調な活動が継続した。全人代間の事故防止、軍高官失脚に伴う学習会の強化等により特に活動が低調だったと思われるが、艦艇・公務船の動向に大きな変化がないため、台湾周辺での軍用機の運用形態の変更を検討している可能性もあり、訓練が活発になる清明節(2026年は4月5日)以降の動向に注目する。

日本周辺では、尖閣諸島近海の日本のEEZ内で、中国海洋調査船「向陽紅22」が活動していることが確認された。AISでは向陽紅22と共に海警2202が確認され、海警船の護衛の下に作業を実施していると見られる。全人代で批准された第 15 次五カ年計画では、「党・政府・軍・警察・民間が協力した海空国境防衛強化」を明示しており、尖閣諸島周辺海域でも、軍・海警に加え、民兵・海洋調査機関・企業等が一体となった活動を活発化させる可能性がある。

南シナ海では、スビ礁での中国とフィリピン(以下、比)艦艇の対峙が確認された。比艦艇に対応した中国艦艇は南シナ海担当の南部戦区海軍ではなく、東部戦区海軍の所属であった。また、中国海警も2025年8月以降、東海海区の海警船が南シナ海で活動し、本年2月以降は東海海区直属第1支隊・第2支隊から1隻づつ南シナ海で継続的に活動していることがAISから確認できる。軍・海警共に南シナ海への艦船を増強し、警戒監視を強化している。

一方、南シナ海での領有権を争うベトナム(以下、越)とは中越外交・国防・公安「3+3」戦略対話メカニズムの閣僚級初会合を実施し、両国の関係強化が確認された。越は2022年から南沙諸島の実効支配礁において、大規模な埋め立て工事を継続している。一方、中国もベトナムと領有権問題が存在する西沙諸島のアンテロープ礁で2025年12月から大規模な埋め立て工事を開始した。南シナ海で中国が比に対して軍・海警による威嚇を強化する一方、越に対しては埋め立て工事の妨害等は報道されていない。今次会合においても、外交・防衛レベルにおいて、南シナ海における双方の利害を調整したと思われ、中国はASEAN内での比の孤立化を画策していくであろう。

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