6月の総合安全保障プロジェクト月次報告会は、まず吉田正紀・元防衛大臣政策参与が「米国から観た日本の安保・外交政策の現状と未来」を、続いて岩田清文・国基研副理事長・元陸上幕僚長が「核の脅威の現状と将来予測」を、最後に中川真紀・国基研研究員が「中国軍着上陸訓練の状況」について、それぞれ報告した。
第一部は国会議員に向け、第二部は主要メディアに向け報告し、参加した議員、記者、企画委員らの質疑に応じた。以下、その概要を簡単に紹介する。
【月次報告】
第一部(午前8時~9時)、第二部(午前11時30分~午後1時)
●『米国から観た日本の安保・外交政策の現状と未来―プランAを追求しつつ、プランBにも備える―』吉田正紀・元防衛大臣政策参与・米国双日副社長
注:報告概要については、3日前に実施した月例研究会拡大版の中で報告した内容とほぼ同様であり、重複を避けるため、以下のURLを参照されたい。
報告概要はこちら
●『核の脅威の現状と将来予測―戦略3文書改訂対象となる2035年を見通して―』岩田清文・国基研副理事長・元陸上幕僚長
注:報告概要については、3日前に実施した月例研究会拡大版の中で「日本が再び核攻撃を受けないために何をすべきか!」と題して報告した内容とほぼ同様のため、以下のURLを参照されたい。
報告概要はこちら
報告会では、参加した議員あるいは記者からの質問に答える形で補足説明が行われ、活気ある議論が展開された。質疑応答の一部を以下に紹介する。
【質疑応答】
Q: 戦略思想家ハル・ブランズ氏の理論でプランA(日米同盟を強化)とプランB(米軍撤退の場合)で、日本維新の会が提言する原潜の保有はプランBになりうるか。
A: ワシントンに直接影響を及ぼさない小型戦術核による威嚇の場合、プランAでは抑止が機能しないことが懸念される。そのような場合にはプランBになる可能性はあるのではないか。いずれにしても、原潜計画を進めるにしても一定の時間を要するなど、時間軸を考慮しなければならないことは重要な視点である。さらに現場感覚では、自衛隊側に大きな負担を強いることになる。しかし、最終的には政治が決断することであるので、そのためには一切のタブーを排して開かれた議論が必要である。
Q: タブーを排して議論するという前提で、仮にわが国が核弾頭を保有する場合、具体的な構想はあるか。
A: 議論の俎上に載せるという意味で、潜水艦搭載型の核共有が一つのイメージである。すなわち、核の運用は米国が、潜水艦の運用は海自が行うというパターンもありうるのではないだろうか。
Q: 米国が提供する拡大抑止に対し、わが国がその信頼性を疑うような過敏な反応をすると、逆に対外的に拡大抑止の信頼性を更に弱めることになるのではないか。
A: そのためのプランAとプランBなのだが、ご質問のような懸念を含めて議論をしていかなければならない。
Q: 台湾側は中国の着上陸作戦に対してどのような準備をしているか。
A: 台湾が行う軍事演習「漢光演習」の中では、着上陸阻止のための海岸への障害設置、内陸の路上への障害設置などをしてきたが、最近の演習では内陸部でも予備役動員訓練をするなど、より実相に近い訓練に発展させている。
Q: 中国の水陸両用戦部隊にはどのような用途があるか。
A: 人民解放軍の両用戦部隊は、集団軍の水陸両用部隊と海軍陸戦隊とに分類される。集団軍の場合、東部戦区と南部戦区に水陸両用旅団があり、台湾侵攻時に地上侵攻部隊として海岸堡確保が任務であり、大規模な投入が想定される。一方、海軍陸戦隊6個旅団は、台湾総統府や花蓮など重要目標に対しピンポイントで攻撃を加えるという点で、用途に違いがあらわれる。
この総合安全保障プロジェクトの月次報告会・記者向け報告会は、月末開催を基準に定期的に実施していく予定である。 (文責 国基研)




