2019年2月の記事一覧
挺対協を批判する保守派サイトの良心 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
先に紹介したように韓国の若手保守派によるニュースサイト「メデイア・ウォッチ」が、元慰安婦証言の嘘と支援組織と北朝鮮とのつながりについて全面的に告発するキャンペーンを行っている。 同サイトは、若手ジャーナリストで保守運動家の辺熙宰氏らが2009年に始めたものだ。2015年頃から韓国での慰安婦問題の取り上げ方に疑問の声をあげ、2018年から最近まで多くの長文な批判記事をアップして大キャンペーンを...
【韓国情勢】韓国学者の戦時労働判決批判 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
韓国の若手研究者と保守ジャーナリストや活動家の間で、事実に基づく歴史問題についての議論が数年前から活発化している。しかし主として学界の一部とネット上だけの動きなので、ほとんど日本で紹介されていない。 新日鉄住金に対する不当判決が出てほぼ1カ月後の昨年11月25日、判決を全面的に批判する評論「作られた近現代史、日帝時代『強制徴用』という神話」が韓国保守派のニュースサイト「メディア・ウォッチ」に...
3・1に大規模な反日運動は起きぬ 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
今年に入り韓日関係が悪化の一路をたどる中、日本のマスコミは3・1独立運動100周年を迎える3月1日に、韓国、北朝鮮が合同で大々的な反日行事を行うという予測記事を多数載せてきた。私はそれを読みながら、日本のマスコミは韓国情勢についてここまで無知なのかと、あらためてため息が出た。 たしかに、昨年9月に平壌で行われた南北首脳会談では、南北合同で3・1独立運動100周年行事を行うことが合意された。韓...
ファーウェイ製品の恐ろしさ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
中国通信機器大手ファーウェイの創業者で最高経営責任者(CEO)の任正非氏が1月、4年ぶりにメディアの前に現れ、「中国当局に機密情報の提出を求められても応じない」と述べた。同社製品については、米国のトランプ政権が中国政府の意向に沿ってスパイ活動ができるようになっていると批判している。 中国外交トップの楊潔篪中国共産党政治局員も2月中旬にミュンヘンで行われた安全保障会議で、「中国の法は企業に情報...
ロシアが軍事力の近代化進める狙い 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
ロシアのプーチン大統領が2月20日、外交の基本方針を示す年次教書演説を行い、米国の中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱した対抗策として、ロシアも米国本土を射程に入れた新型ミサイルの配備や開発を進めると警告した。しかし、プーチン氏は同時にロシアとしては「軍拡競争には巻き込まれない」とも述べている。ロシアの真意はどこにあるのかを考えたい。 ●条約破棄の裏に中国の存在 トランプ米政権は...
トランプの対北姿勢に変化はない 島田洋一(福井県立大学教授)
2月19日、トランプ米大統領と文在寅・韓国大統領が電話会談を行い、韓国大統領府によれば、その中で文氏は、北朝鮮の非核化措置を引き出すため、南北の鉄道・道路連結や経済協力事業を活用して欲しい、それが「米国の負担を減らせる道だ」などと強調したという(産経、2月20日)。核兵器を温存しつつ周辺的措置で制裁緩和を勝ち取っていくという北の作戦をバックアップする立場を改めて示したわけである。 ●日米...
予備役将軍団がソウルで大集会実施へ 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
2月4日付の本欄で紹介した「大韓民国守護予備役将軍団」が3月1日、ソウル市内で大規模な街頭集会を開催するという。将軍団は結成時の声明で、後輩である現役軍人らに向けて、対北武装解除を進める文在寅政権への不服従を呼びかけ、鄭景斗国防相の退任も要求している。 ●保守系諸団体に呼びかけ 韓国紙の報道によると、将軍団は、三・一独立運動記念日に合わせて開く集会では週末にソウルで街頭集会を主催して...
【韓国情勢】「亡国の危機」訴える前首相 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
韓国の保守野党「自由韓国党」の新しい指導者として黄教安・前首相が浮上している。黄氏は1月15日に同党に入党し、2月27日に予定されている党代表選に1月29日に出馬表明した。 黄氏は、北朝鮮スパイなどを取り締まる公安検事出身で、朴槿恵政権時代に法相として従北極左政党「統合進歩党」の解散を担当し、その後首相になり、朴槿恵大統領が国会の弾劾訴追で職務停止となった後、大統領権限代行として政局を管理し...
インド独立への貢献、日本はなぜ教えぬ 冨山泰(国際問題研究者)
1月26日のインド共和国記念日(憲法記念日)の軍事パレードに、90歳を超えた退役軍人4人がジープ型の車に乗って参加した。4人は、第2次世界大戦中、日本と盟友関係を結んだインドの独立運動家スバス・チャンドラ・ボースが指揮した「インド国民軍」(INA)の生き残りだ。INA元兵士の共和国記念日パレード参加は初めてで、日本の支援を受けた武力闘争がインド独立に果たした重要な役割をインド政府が公式に認めたこ...
虐待防止に不可欠な「親育ち」支援 髙橋史朗(国基研理事・麗澤大学大学院特任教授)
教育委員会や児童相談所の対応のひどさは言語道断だ。千葉県野田市の小学4年生の女の子が父親からの虐待で死亡した事件を受けて、政府は2月8日、関係閣僚会議を開き、虐待防止に向けた緊急総合対策の徹底・強化を図ることを決めた。 3週間の研修しかしていない児童福祉司が大きな権限を有している現状を見直し、児童相談所の職員の質を向上させるための児童福祉法の改正が必要である。また、父親による虐待死に注目が集...
「統計不正」を政争の具とするな 大岩雄次郎(東京国際大学教授)
厚生労働省の毎月勤労統計調査など統計不正の発覚を契機に、一部の野党が政府批判の攻勢を強めている。国内外の問題が山積する中、昨年の森友・加計学園や自衛隊日報問題の時のような「疑惑」追及に名を借りた国会の空転は許されない。 一国の統計データの不正は、国内外の信用を失わせかねない重大な問題である。この問題を政局にすることなく、与野党一体で抜本的な改革を図り、政治の信頼回復に全力を尽くすべきだ。 ...
虐待対策は子供に寄り添った視点で 杉田水脈(衆議院議員)
年が明けたばかりの1月、またしても痛ましい事件が発生しました。千葉県野田市で小学4年生の少女が、父親の虐待により命を奪われたのです。10歳の少女の命を奪うほどの暴力。その陰惨さを考えると胸が引き裂かれる思いです。一体なぜ、悲惨な児童虐待が繰り返されるのでしょうか。 ●マンパワー不足の子育て支援 この問題は、現代社会を蝕むいくつかの要因が複雑に絡み合って起こっていると考えられます。まず...
【韓国情勢】予備役将軍団が反文在寅で国軍に呼びかけ 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
1月31日付の「ろんだん」に続き、メディアではなかなか報じられない韓国の声を紹介したい。1月30日、3人の元国防部長官を含む韓国の予備役将軍450名がソウル市内に集まり「大韓民国守護予備役将軍団」を結成した。将軍団は、金東信、権寧海、金泰栄の3元国防長官のほか、金在昌・元韓米連合司令部副司令官、李弼燮・元合同参謀本部議長、李秀勇・元海軍参謀総長、李億秀・元空軍参謀総長、李相武・元海兵隊司令官、朴...
米本土防衛レーダーの日本配備推進を 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
1月28日付の読売新聞報道によれば、米国を狙った大陸間弾道ミサイル(ICBM)への迎撃を強化するため、米政府が米本土防衛レーダー(Homeland Defense Radar-HDR-)を2025年までに日本に配備したい意向を持っているという。1月21日付の「今週の直言」欄にも書いたが、中国、ロシア、北朝鮮という弾道ミサイル発射国のより近くにレーダーや迎撃システムを配備すればするほど、防護範囲は...
安全保障脅かす中国の知財盗取 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
1月29日、米国家情報長官が『全世界的な脅威査定(Worldwide Threat Assessment)』を公表した。その中で地球的規模の脅威として最初に出てくるのがサイバー攻撃であり、疑惑国家として真っ先に名指しされたのが中国である。14頁には、中国の技術開発戦略として米政府が主導すべき長期的な10項目の重層的な技術取得手段が図示されている。昨今の米中貿易協議でも、米側の最大の狙いは中国によ...