2019年4月の記事一覧
【韓国情勢】徴用工像反対に良識派が街頭行動へ 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
韓国の良識的学者、知識人がついに左派が主導する反日運動に反対する街頭行動に乗り出した。李宇衍・落星台研究所研究員らが主導する「慰安婦と労務動員労働者銅像設置に反対する会」など3団体が釜山で、「徴用工」像の設置に反対する街頭集会を企画し、一般国民の参加を募っている。 李研究員はこれまで、朝鮮人戦時動員労働者の待遇に差別がなかったことなどを実証的に明らかにするなど、李栄薫ソウル大学名誉教授らとと...
F-35事故が突きつける国産戦闘機の存亡 吉岡秀之(元航空自衛隊補給本部長)
航空自衛隊三沢基地所属の最新鋭ステルス戦闘機F-35A1機が、太平洋上で夜間戦闘訓練中の4月9日、同基地の東約135キロで突然消息を絶った。付近海域で左右の尾翼の一部が見つかったことから、防衛省は10日、この戦闘機が墜落したと断定した。日米が連携して捜索を続けている。 F-35Aは米ロッキード・マーティン社を中心に、英国、イタリア、カナダなどが開発に加わった世界最新鋭の戦闘機である。今後B型...
海幕長の中国観艦式参加は時期尚早 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
中国は4月23日、海軍創設70周年を記念して山東省青島沖で国際観艦式を行った。空母「遼寧」のほか、巡洋艦に匹敵する1万トン超のアジア最大級の新型駆逐艦「南昌」や新型原子力潜水艦など艦艇32隻、戦闘機など39機が参加した。「世界一流の海軍建設」を掲げる習近平国家主席(中央軍事委員会主席)は急速に近代化した海軍力を内外に誇示した。新華社電によると、習氏は観艦式に臨んだ各国代表団に「武力に訴えたり威嚇...
シーレーン確保に欠かせぬ海保と海自の相互運用性 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
4月11日付の「ろんだん」で「米巡視船の佐世保配置、もう一つの狙い」として、米国の巡視船配置の狙いは、北朝鮮の瀬取り監視だけでなく中国との非対称性是正にもある、と書いた。20日の米誌ワシントンポストは「中国に対抗するため、沿岸警備隊に目を向ける米国(To help counter China, U.S. turns to the Coast Guard)」とする記事を掲げているが、その中で米沿岸...
憲法改正では明確に天皇を元首に 髙池勝彦(弁護士)
御代替りに伴つて、新しい年号が「令和」と決つた。新しい時代を予感させる清々しい年号である。年号発表については、新天皇即位の5月1日ではなかつたことなどの批判がなされた。 年号発表ばかりではなく、今回の御代替りに関連して、妙な憲法の解釈が横行した。たとへば、今回の御代替りは、平成28年8月4日の今上陛下の「お言葉」がきつかけであることは間違ひないのに、譲位といふ言葉を使ふと、憲法違反となるから...
「一帯一路」受入国に広がる不満 湯浅博(国基研主任研究員)
4月下旬に北京で開催予定の「一帯一路国際協力フォーラム」に向けて、参加予定の受入国の間にくすぶる不満が表面化しそうな気配だ。 2年前の第1回フォーラムは、インフラ投資への期待感から130カ国以上が北京に代表を送り込んで、巨大な外交ショーを繰り広げた。ところが今回は、すでに投資を受け入れた国々から、中国による略奪的な融資案件と地政学的な野心の道具にされたことへの警戒感が強い。 習近平国家主...
政治不信高める政治家の資質 有元隆志(産経新聞正論調査室長)
塚田一郎国交副大臣に続き、桜田義孝五輪担当相が失言の責任をとり辞任した。いずれも政治家としての資質を疑わせる辞任劇である。桜田氏は岩手県出身の高橋比奈子衆院議員(比例東北)のパーティーで「復興以上に大事なのは高橋さんだ」と挨拶し、塚田氏は「下関北九州道路」の整備をめぐり安倍晋三首相らの意向を「忖度した」と発言した。 辞任の形をとったものの、2人とも事実上の更迭である。ともにその場を盛り上げる...
海保は海自と有事の緊密連携できるのか 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
自衛隊法80条では防衛出動や治安出動といった有時には、防衛大臣が海上保安庁を統制できると規定している。ところが、海上保安庁法25条では「海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」と規定している。本条は海保の創設に当たって旧ソ連の政治中将が強く求め、挿入された条項であることは3月26日の「ろんだん」でも述べたとおりである。...
【韓国情勢】文在寅大統領の危険な歴史観 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
4月11日は上海臨時政府樹立100周年の記念日だ。文在寅政権は昨年、韓国の建国を従来の1948年8月15日ではなく、1910年の上海臨時政府樹立の日だと主張し、朴槿恵政権時代から準備されてきた建国70周年行事を取りやめた。ところが、11日の上海臨時政府樹立100周年の記念日に建国記念行事は行わないことになった。それどころか、文在寅大統領は米韓首脳会談のためワシントンを訪問してソウルを空けている。...
米巡視船の佐世保配置、もう一つの狙い 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
3月26日付の「ろんだん」で、米沿岸警備隊の巡視船バーソルフが台湾海峡を通過したことを述べた。バーソルフは沿岸警備隊の巡視船としては初めて同月3日、佐世保に配置された。 その理由は北朝鮮の瀬取り監視だとされ、確かに台湾海峡を通峡後は韓国の釜山に寄港している。しかし、瀬取りの監視であれば、横田基地に配備されている沿岸警備隊の航空機を使用した方が広域をカバーできるはずである。本音は、中国が近年強...
【韓国情勢】ヒットラーに重なる文政権の日本敵視政策 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
韓国の保守派学者から文在寅政権の反日政策への批判の声が一段と強まっている。4月5日、ソウル市内で開かれた討論会で金グァンドン・ナラ政策研究院長は、本質を突く文政権批判をした。金院長の発言要旨を文化日報4月5日付け記事から紹介する。以下は記事の抜粋である。 過去の記事はこちら ◇ ●北の全体主義独裁を迂回的に支援 「(文政権の)日本敵対視政策の基本目的は、私たちが直面する、...
先端技術開発巡る日本のお寒い現状 奈良林直(東京工業大学特任教授)
2015年に中国の習近平主席が「コア技術は日本に頼るな。自力更生しろ」と号令をかけ、「中国製造2025」を発布した。そして今や中国は、半導体、スーパーコンピューター、人工知能(AI)、宇宙開発、次世代通信規格(5G)、そして原子力発電の分野など、ある部分ではわが国を抜き去り、米国と熾烈な技術開発競争を繰り広げるに至っている。 日本の民主党政権下で当時の蓮舫行政刷新担当相が、スパコンの予算仕分...
ドイツの失敗に学んだ中国の原発政策 奈良林直(東京工業大学特任教授)
「中国製造2025」の方針のもとに世界最強のメイドインチャイナの製造大国実現を目指す中国の原子力政策と米国の原子力・エネルギー政策について紹介したい。 日本が再生可能エネルギーのお手本としてきたドイツの政策破綻は、2月28日の月例研究会でも紹介したが、その実態についてわが国のマスコミはほとんど報道しない。だが、同じくドイツを手本に、世界最大の太陽光発電と風力発電の国となった中国は、国内のCO...
「竹島」の解決なくして日韓関係の進展なし 山田吉彦(東海大学教授)
竹島(島根県)問題の解決なくして韓国と日本の友好関係はありえない。自国の領土を侵している国を黙認するのであれば、その土地を放棄したという事になる。言葉や書面だけの抗議など、意味を持たないことは歴史が証明している。 今、日韓外交関係は冷え込んでいる。海洋安全保障における両国関係は、さらに厳しい状態にある。一触即発の事態といっても過言ではない。昨年末に発生した韓国軍艦による日本の哨戒機へのレーダ...
読者惑わす世界の幸福度ランキング 石川弘修(国基研理事)
3月下旬、国連が2019年版「世界の幸福度」ランキングを発表した。日本は156か国の内58位と、昨年より4つ順位を下げた。1位は2年連続でフィンランドが選ばれ、以下デンマーク、ノルウェーの順で、今回も北欧勢が上位を占めた。この調査は、文化の差異を無視し、調査対象者の主観だけで幸福感を数値化している。比較手法として無理がありはしないか。読者を惑わすランキングと言わざるをえない。 この調査報告は...
サイバー・電磁波戦に現憲法は対応できず 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
先ごろ政府が決定した防衛計画の大綱とそれに続く中期防衛力整備計画に示されたサイバー及び電磁波領域戦は、現憲法下で限定的な活動しかできない。その理由は、米国などでは電磁波帯の割り当てにあたっては軍事利用が優先され、かつ緊急時の優先利用規定があるのに対し、我が国では現憲法で「通信の秘密」が規定され、かつ電磁波管理は総務大臣が行っていて、緊急時の規定もないからである。 ●米国は有事の軍事利用を...