公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2020年11月の記事一覧

 50年前の11月、作家の三島由紀夫が東京・市ヶ谷の陸上自衛隊東部方面総監部で総監を拘束し、憲法改正のために自衛隊の決起を促したが、目的が達せられず割腹自殺した。報道各社は50周年を記念して特集記事・番組を作成し、元陸幕長等もテレビ出演していたが、当時任官前の幹部候補生であった筆者が自衛隊の一員として考えた事を述べてみたい。 指揮中枢奪われる危険と反省 武の理想としてはその字の如く戈ほ...

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 本欄でも、これまで何回か紹介してきたように、韓国で慰安婦問題、戦時労働者問題について、歴史の真実を知り、それを広く韓国社会に広める活動が活発化している。 「反日銅像真実糾明共同対策委員会」という団体が中心になっている。同委員会は『反日種族主義』の著者のひとりである李宇衍氏、弁護士の金基洙氏が共同代表。彼らは昨年12月から毎週水曜日、ソウルの日本大使館前の慰安婦像の近くで、正義連(旧挺対協)...

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令和2年11月17日、私どもは、法務大臣を被告とするある訴状を大阪地裁に提出した。私共はこれを「ブルーリボン訴訟」と呼んでゐる。 ブルーリボンとはいふまでもなく、北朝鮮による拉致被害者の生存と救出を願ふ意思表示として身に付ける青いリボンのことである。当初は布製であつたが、今は小さな金属製の青いバッジが多い。テレビを見ればわかるが、安倍晋三前首相や菅義偉首相をはじめ、閣僚や与党議員にとどまらず...

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 前回に続いて、植村裁判の問題点を述べる。第2の論点は、名誉毀損と表現の自由に関する問題である。 植村氏は、櫻井氏や西岡氏から、捏造記事を書いたと批判されたのである。新聞記者(でなくとも)が、捏造記事を書いたといふことになれば、その社会的評価は下がるであらう。人の社会的評価を下げる行為を名誉毀損といふ。これは人格権に対する侵害である。通常は、損害賠償や、訂正記事、謝罪広告などを求める民事事件...

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 植村隆元朝日新聞記者が、国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこ氏に対して、名誉毀損を理由として損害賠償などを求めて起こした民事訴訟が決着したので、この訴訟の内容や問題点などをまとめておきたい。 植村氏は、平成27年2月10日、札幌地裁に訴状を提出した。同氏の代理人は106名の弁護士である。理由は、櫻井氏が、月刊誌『WiLL』、『週刊新潮』、『週刊ダイヤモンド』、及び櫻井氏のオフィシャルサイト...

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 沖縄県の尖閣諸島が、中国海警局公船の度重なる周辺海域侵入によって占領の危険にさらされている。ロシアが実効支配する北方領土は、7月に「領土割譲禁止」を盛り込んだ憲法改正で、返還がさらに遠のいた。わが国固有の領土である尖閣と北方領土の惨憺たる状況を招いた責任の一端は、日本外務省の外交失敗にあるというのが筆者の見立てだ。 日中関係は惰性で対応 尖閣諸島の領有権問題は1978年の日中平和友好...

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 コミックの『鬼滅の刃』が、映画化などさまざまな波及効果で空前のブームとなっている。また、フリーランスライターへのセクハラや報酬未払い問題があったり、出版界は何かと話題が多い。「出版は不況に強い」という神話が新型コロナ禍でも生きているように見える。しかし、これはまったくの誤解だ。数字が如実に物語る。 出版界の売り上げのピークは1996年で、書籍と雑誌を合わせて2兆6000億円だったが、現在は...

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 東北電力女川原子力発電所2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働をめぐり、宮城県の村井嘉浩知事は11月11日、女川町の須田善明町長と石巻市の亀山紘市長との3者会談を開き、再稼働の前提となる地元同意を正式に表明した。既に各紙が報道しているが、なぜか報じられていないものがある。女川原発が東日本大震災時に震源に最も近く、15mを超える津波を受けたにもかかわらず、冷温停止を達成し、一時避難所として地元住民...

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 米国トランプ大統領に対して日本では「差別主義者」「人権無視」などと批判する一部専門家がいる。しかし、日本の抱える重大な人権問題である北朝鮮による日本人拉致問題について、歴代の米国大統領の中でトランプ氏ほど、親身になって家族の苦しみに耳を傾け、北朝鮮に対して直接、解決を迫った人はいなかった。その意味でトランプ大統領は、日本人にとって人権問題に誠実に取り組んでくれた恩人といえる。なぜ、そのことがもっ...

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ASEAN(東南アジア諸国連合)を中心とした環太平洋の一連のオンライン首脳会議で、中国の存在感が目立った。特に、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の発足に対する米国の認識は、「中国の大勝利にはほど遠い」と米紙が論評するなど、やや近視眼的で見通しが甘い。中国は実態もないのに「法の支配」を掲げ、東アジアで緩やかな連携の輪を広げつつある。米国が大統領選による社会の分裂が尾を引き、政治の空白から戦略観...

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 UNIFIL(国連レバノン暫定軍)を挟んで睨みあう中東のイスラエルとレバノンが11月11日、海洋境界画定のための協議を実施した。この協議は10月14日を皮切りに、10月28~29日の第2ラウンドに引き続き行われたものだが、敵対関係にある両国が東地中海沿岸で隣接する海洋境界について協議すること自体、極めて異例だ。米トランプ政権が仲介した両国の政治的協議は約30年振りで、一見すると米国の外交成果とし...

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 菅義偉総理は12日に米大統領選挙で当選を確実にしたバイデン前副大統領と電話会談を行い、この中でバイデン氏は沖縄県石垣市の尖閣諸島について、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲であるとの見解を示した。会談終了後、首相が記者団の取材に対して明らかにした。 2008年に初めて中国の海上法執行機関である海警局(海警)公船が尖閣諸島の領海を侵犯した時には大々的に報じていた日本の...

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米大統領選挙は、民主党のバイデン前副大統領が現地時間7日夜、勝利宣言を行い、混戦に決着をつけたと米メディアは報じた。しかし、トランプ大統領はメディアの予測をはるかに上回る接戦を展開、敗北は認めていない。今回の選挙戦を通して浮き彫りになったのは、バイデン氏を強くバックアップした主要なテレビ、新聞がまるでリベラル民主党のプロパガンダ機関の様相を呈したことだ。 毎回、多くのメディアが支持する候補を...

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 米中による輸出管理をめぐる規制の応酬で、日本企業が翻弄されている。 中国の輸出管理法が10月17日、全国人民代表大会(全人代)で成立し、12月1日に施行される。中国に対して輸出管理を武器に振りかざす米国への対抗措置としている。米国に対峙する自信をつけた中国が「域外適用」を明確に打ち出したことは深刻だ。 米中という2つの大国が力を背景に他国を自国の判断に従わせようとする。日本など第三国...

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 菅義偉首相が日本学術会議の推薦した新会員6人を拒否した問題をめぐり、菅首相に対し就任直後にこの問題に手を付ける必要はない、あるいは政治的な労力を使うべきでないとの声が寄せられたという。メディアと「全方位」で付き合ってきた菅首相だけに、安倍晋三前首相を激しく批判してきたメディアの中にも期待感はあった。それでも、菅首相が6人の任命拒否を断行したのは、菅首相が掲げる「縦割り、既得権益、悪しき前例主義の...

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 核兵器禁止条約を批准した国・地域が10月24日時点で、50に達し、来年1月に発効することになった。これに合わせて日本も批准すべきだとの議論があり、メディアもそうした主張を大きく報じている。しかし、肝心なことは、我が国の安全保障を脅かす中国、北朝鮮、ロシアといった核保有国が、まったくこうした動きに同調せず、いっさい核を手放そうとしないことである。 同様な動きは過去に2回あった。ひとつは199...

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