公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2021年2月の記事一覧

 私は昨年9月24日付の本欄を含む様々な媒体で、米軍が北朝鮮を攻撃する可能性、具体的には金正恩を暗殺する斬首作戦を実行する可能性が2017年秋には高まっていたと書いてきた。その根拠の一つが、複数の米軍筋が当時、自分たちは金正恩の位置情報を持っているとリークしていたことだった。 この話が正しいなら、位置情報を流す米軍のスパイが北朝鮮内部にいるということを意味する。ここにきて少しずつ真相が明らか...

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 南シナ海と東シナ海の3つのフラッシュ・ポイントで緊張が高まっている。7月の中国共産党創設100周年、来年の第20回中国共産党大会を前に、バイデン米政権が弱みを見せれば、習近平国家主席の中国は伝統的な拡張主義の誘惑に抗しきれなくなるだろう。その一つが尖閣諸島の緊張の高まりであり、とかく戦略観に乏しい菅義偉政権には、力のバランスを回復させる政策行動を早急に求めたい。 危機強まる尖閣情勢 ...

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 「頭がおかしくなったのではないか」。平壌の党、軍、経済部署の最高幹部らが最近の金正恩の言動に対して、こうささやき合っているという。 1月上旬、5年ぶりに朝鮮労働党の党大会が開かれ、昨年に終わった北朝鮮の経済五カ年計画は、目標に達しなかったと総括した。経済責任者を入れ替え、現実的な目標設定を命じて新たな経済計画を決めた。 ところが金正恩は、それから1カ月しか経っていない2月8日から4日...

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 小泉進次郎環境大臣と環境省が盛んに旗を振る「2050年カーボンニュートラル」論を聴くと、かねて日本外交の足をすくい国益を損なってきた「バスに乗り遅れるな」という言葉を思い出さずにおられない。 小泉氏は、現行の「エネルギー基本計画」が掲げる「2030年・再エネ比率22~24%」を大きく上回る「2030年・再エネ比率40%超」を打ち出し、その間、「炭素税」や「排出量取引」など企業や家計に負担を...

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 菅義偉首相は中国などが開発を進める極超音速の新型ミサイルの開発、中国による海警法制定など日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、攻撃力を含む抑止力の強化に早急に取り組むべきだ。残念ながら、いまの菅首相には、その気概が見えてこない。野党や与党内からの抵抗があっても敢然と立ち向かうよう求めたい。 菅首相は昨年秋、病気で退陣した安倍晋三前首相の後を継いで以来、中国・武漢発の新型コロナウイルス...

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 バイデン米政権はミャンマーでクーデターを起こし実権を掌握した国軍高官らに対し、米国内の資産凍結などの経済制裁を科すと発表した。国際的な圧力を強めるため、日本を始め同盟国にも歩調を合わせるよう求めてくるとみられるが、すぐに同調して制裁を強めるべきではない。 もちろんクーデターによる権力奪取は容認できない。民主主義国家としての日本の大原則にも反する。だからといって性急に制裁を科すとミャンマー国...

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 中国が新しい海警法を今月上旬に施行した事に対抗して、我が国では海上自衛隊(海自)、海上保安庁(海保)、米海軍、米沿岸警備隊の4者が共同訓練を行うべきだという意見が出ている。 中国の海警船が徐々に事態をエスカレートさせ、尖閣を占領するシナリオが現実性を帯びつつあるなかで、日米の4部隊が共同訓練する事は、そうした事態が生起する時に備えて有効であり、また抑止力としても効果がある。 米海軍と...

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 2月1日に起きたミャンマーの軍事クーデターで、中国とロシアが背後で支援または黙認したとの憶測が出ている。中露両国は国連安保理で、クーデター非難声明の採択に反対し、ミャンマー軍部を擁護した。政変への直接関与はなかったとしても、中露両国が第三世界の政変に介入していく可能性がある。 インド洋地政学上の要衝 中国の関与説は、王毅外相が1月11、12の両日ミャンマーを訪れ、クーデターの首謀者、...

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 森喜朗氏(東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長)の「女性が多い理事会の会議は時間がかかる」という発言をめぐって、心ある五輪担当記者たちは悩んでいる。 森氏の「女性蔑視発言」は、JOC(日本オリンピック委員会)の臨時評議員会席上でのことだが、出席者からの笑いが、さざ波のように広がっていったという。その笑いとは、「また失言か、森さんはしょうがないな」という笑いなのか、「そうだそうだ、その...

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 尖閣諸島周辺の領海で、中国公船による侵犯と居座りが常態化している。あちら中国海警局の艦船は、大型化して機関砲まで積んでいる。この“第二海軍化”した中国海警局に、外国公船に対する武器使用まで認める海警法が2月1日に施行された。 中国は海警法によって主権や管轄権が外国に侵害されたときには、海警所属の公船すべてに武器使用など、あらゆる措置を取らせることを意図している。つまりは、日本が沖縄県の尖閣...

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 なぜ、韓国の文在寅大統領が日本にすり寄ろうとしているのか。最近、繰り返し聞かれる質問だ。たしかに、年頭の会見などで文大統領は、戦時労働者問題で日本企業の資産が現金化されることに憂慮し、慰安婦問題で韓国ソウル地裁が日本国に慰謝料支払いを命じた判決にも「困惑」したと語った。司法への介入はできないから日本側が韓国の判決に従えという姿勢だった昨年までの反日姿勢から比べると一定の変化があったことは事実だ。...

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 台湾の駐米大使に相当する蕭美琴・駐米台北経済文化代表処代表は1月29日、米国のシンクタンク「外交政策研究所」(FPRI)などが主催したオンラインシンポジウムに出席し、バイデン政権下の米台関係について「良いスタートを切った」と強調した。 中国と対決姿勢を貫いたトランプ前政権と「史上最も良好な米台関係」を築いたとされる台湾の蔡英文政権だが、1月20日に発足したバイデン政権と引き続き良い関係を構...

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 1月28日未明に行われた日米首脳会談で、バイデン米大統領は米国の日本防衛を定めた日米安全保障条約第5条の尖閣諸島(沖縄県石垣市)への適用を改めて表明した。歓迎すべきことであるが、日本側はそれに安堵するだけで済ますべきではない。中国は海上警備を担う海警局(海警)に武器使用を認める権限などを定めた海警法を整備し、2月1日から施行する。尖閣周辺での海警の活動が強化され、緊張が増す恐れがあるときに、島を...

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 中国が、日本の海上保安庁に相当する海警局の権限などを定めた海警法が2月1日から施行される。同法第22条には「国家主権、海上における主権と管轄が外国の組織、個人による不法侵入、不法侵害などの緊迫した危機に直面した時、海警は本法及びその他の関係法に基づき、武器使用を含む一切の必要な措置を取って侵害を制止し、危険を排除できる」とある。中国は尖閣を自国領土としていることから武器使用は当然予測される。 ...

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