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2023.04.27 (木) 印刷する

【詳報】 月例研究会「日本人よ 雄々しく立ち上がれ」(1/2)

月例研究会/令和5年2月28日/東京・内幸町イイノホール

日本人よ 雄々しく立ち上がれ

2月28日、定例の月例研究会を東京・内幸町のイイノホールで開催。「日本人よ 雄々しく立ち上がれ」をテーマに櫻井よしこ国基研理事長、ウクライナ出身の国際政治学者グレンコ・アンドリー氏、元陸上幕僚長の岩田清文氏、月刊正論発行人の有元隆志氏が登壇しました。抜粋をご紹介します。

登壇者略歴

グレンコ・アンドリー(Andrii Gurenko)

国際政治学者、日本研究者
1987年、ウクライナ・キ-ウ生まれ。2010年から1年間、早稲田大学に語学留学。2012年、キーウ国立大学日本語専攻卒業。2013年、京都大学留学。2019年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程指導認定退学。評論活動のほか日本ウクライナ文化交流協会政治担当部長を務める。2016年、アパ日本再興財団主催第9回「真の近現代史観」懸賞論文学生部門優秀賞受賞。著書に、『プーチン幻想 「ロシアの正体」と日本の危機』(PHP新書)、『ロシアのウクライナ侵略で問われる日本の覚悟』(扶桑社)など多数。

櫻井 よしこ(さくらい よしこ)

ハワイ大学卒業(アジア史専攻)。クリスチャン・サイエンス・モニター紙東京支局員、日本テレビのニュースキャスターなどを経て、フリージャーナリスト。平成19年(2007年)に国家基本問題研究所を設立し、理事長に就任。大宅壮一ノンフィクション賞、菊池寛賞、フジサンケイグループの正論大賞を受賞。「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会(通称、民間憲法臨調)の代表を務めている。著書多数。最新刊はケント・ギルバート氏との共著 『わが国に迫る地政学的危機 憲法を今すぐ改正せよ』 (ビジネス社)。

岩田 清文(いわた きよふみ)

国基研評議員兼企画委員、元陸上幕僚長
昭和32年(1957年)徳島県生まれ。昭和54年に防衛大学校卒業後、陸上自衛隊に入隊。戦車部隊勤務を経て、平成5年(1993年) 米陸軍指揮幕僚大学へ留学。平成16年 陸将補、富士学校機甲科部長。平成22年 陸将、第7師団長。平成23年 統合幕僚副長。平成24年 北部方面総監。平成25年 第34代陸上幕僚長を歴任し、平成28年に退官。著書に『中国、日本侵攻のリアル』(飛鳥新社)、『君たち、中国に勝てるのか 自衛隊最高幹部が語る日米同盟VS.中国』(産経新聞出版、共著)、『自衛隊最高幹部が語る台湾有事』 (新潮新書、共著)など多数。

有元 隆志(ありもと たかし)

国基研理事兼企画委員、月刊『正論』発行人
昭和40年(1965年)神奈川県生まれ。学習院大学法学部卒業、昭和64年産経新聞社入社。ワシントン特派員、政治部次長、編集局副編集長、政治部長を歴任。現在、産経新聞正論調査室長に加え、フジサンケイグループの理論的支柱である月刊『正論』発行人を務める。主な著書に『歴史戦』、『日本共産党研究』(産経新聞出版、共著)など。

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月例研究会「日本人よ 雄々しく立ち上がれ」

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基調講演「戦争を終わらせる唯一の方法」

グレンコ・アンドリー (Andrii Gurenko)国際政治学者、日本研究者

「大変だね」の先

ロシアによるウクライナ侵略、つまり全面戦争が始まって一年ですが、この一年の節目にさまざまな話を聞きます。

私が少し気になる論調に、たとえば「なかなか終わらないね」とか「かわいそうだね」とか「大変だね」というものがあります。私はこの話だけをすると、そこで思考が止まってしまうんじゃないかと思います。つまり「終わらない」「大変だ」だけを考えて、「じゃあ、どうすればいいのか」まで思考が行かないんです。

この戦争を実際に戦っているのはもちろんウクライナです。しかし、これは世界問題なのです。世界各国の国民がこれをどう終わらせるべきかをしっかり考えないと、ウクライナ人の次に結局、みんな酷い目に遭うことになります。

いま世界では新冷戦が起きていると言っていい。「中国、ロシアが率いる独裁主義陣営」対「欧米が率いる自由民主主義陣営」が世界の主導権を巡って競争している時代です。その中でこの戦争があります。この戦争において自由主義側の代表はウクライナ、独裁主義側の代表はロシアです。もし、この戦争で独裁主義側が勝ってしまえば、いまの世界秩序が崩壊して世界は戦乱に陥ってしまいます。

一部のニセ学者が「ドミノ効果」なんて噓だと言うのですが、それこそ噓なのです。「ドミノ効果」はこの国際情勢をしっかり動かしています。ヨーロッパで侵略戦争が成功するという実例をつくってしまうと戦争は必ず繰り返されます。

ロシアはウクライナで止まりません。ロシアは旧ソ連圏全体の征服を狙っているので、それらを全部、征服しない限りは止まらない。仮に全部、征服できたとしても、次の侵略を続けます。そういう体質なのがロシアです。

また、ロシアの仲間である中国もまったく同じで、拡張主義をはっきり狙っています。もしロシアが勝ってしまうと、中国が領土拡張に走るのが時間の問題になる。

このような形で、この戦争は世界がこれからどう動くかに大きな影響を与えます。

世界秩序が崩壊して「侵略し放題、戦争し放題」の戦乱の世の中になるのか。あるいは国際秩序が守られて「戦争ができない、少なくとも大きな戦争ができない、少なくとも侵略戦争ができない」時代になるのか。それはこの戦争にかかっているのです。ウクライナが勝ったら当然、秩序が守られますが、ロシアが勝ったら世界は戦乱に陥ってしまいます。

ロシアの四つの戦略

では、どうすればこの戦争を終わらせることができるのか。そのためにはこの戦争の本質を知らないといけない。本質を知るとそれがわかります。解決策は意外と簡単です。結論は単純明快だという意味ですが、もちろん、その実現はかなり難しい。しかし、しっかりした認識を持って正しい結論を出せば、この戦争を終わらせることは十分、可能です。

この一年間を振り返ると、ロシアはおよそ四つの戦略でこの戦争を遂行しました。

最初は同時に多方面からウクライナを攻撃して、電撃戦でウクライナを一気に制圧しようとしました。しかし、それは失敗した。

次は昨年のおよそ春から夏ごろ、砲弾を大量に撃ち込む作戦をとって、ウクライナの土地を破壊しながら少しずつ制圧し、占領地拡大を行いました。これは最初は部分的に成功しましたが、ウクライナに自由民主主義諸国からミサイルなどの兵器が入るとうまくいかなくなりました。ロシア側も弾薬は無限ではないため砲弾を大量に撃ち込む作戦は遂行できなくなったのです。

三段階目、ロシアは民間インフラを集中的に攻撃し、民間人の死者をたくさん出すことによってウクライナ人の抵抗する意思を奪おうとしました。昨年の秋ごろから民間のマンションや病院、学校、エネルギーや水道などのインフラを集中的に攻撃し、ウクライナ各地で電気や水道が止まったりしました。そういう形で民間人から戦う意思を奪って、ロシアはウクライナを屈服させようとしたんですが、これもうまくいかなかったのです。

第四段階はいま続いていて、いわゆる人海作戦です。一人ひとりは弱いけれども、とにかくロシア人を大量に軍に動員してウクライナに送り込み、ウクライナ軍を圧倒しようという作戦です。この作戦は最初はうまくいかなかったのですが、やり続ければどこかの段階で攻撃されているほうが疲弊します。

ロシアには無限に人がいます。どんなに人を動員しても、また、仮に動員された全員が戦死しても、また人を動員できる。そういう国民性です。ロシアには人口が一億四千万人くらいいます。単純計算でその半分は男性、その三分の一は兵役に適した年齢と考えれば、約二千万人くらいを動員できることになります。その二千万人全員を消費してもロシアは構わない。ウクライナを征服すればそれでいいのです。

ロシアの目的

ここで大事なことは、ロシアはウクライナの征服を諦めるつもりはないということです。ロシアの作戦はすべて失敗しましたが諦めるつもりはない。なぜならこれは、ロシアが何らかの利益を考え、そのための戦略に基づいた戦いではなく、理念の戦いだからです。

ロシアはウクライナを征服することによる何らかの利益を求めているわけではありません。ウクライナを占領してロシア連邦に併合すること自体が目的なのです。その目的がある以上、目的達成のためにいかなる手段をもいとわない。

だからこそロシア兵が何人死んでも、どれだけ犠牲を払っても、また何年かかっても、最終的にウクライナを征服すれば、それはロシア人にとって妥当な価値になります。仮に数百万人ものロシア兵が死んだとしても、それでウクライナを征服できればいい。ロシアにとってそれは正しいやり方です。

いまのロシアは完全に総力戦態勢に入っていて、国のすべての資源、人材、知恵、をウクライナ征服のためだけに使っています。こういう相手なのですから、いかなる交渉もまったく意味がありません。彼らはウクライナを完全に征服しなければならない、その先には旧ソ連全体を征服しなければならないのです。ロシアはその理念の中で生きているため、それは絶対に正しいという認識なのです。

この思考に一番、近いのは過激派、テロリストだと思います。つまり、過激派、テロリストは基本的に酷いことをしますが、テロリスト自身に言わせるとそれは正しいことになります。崇高な理念のためだから、残虐なやり方でもまったく問題ないということになる。それはまさにいまのロシアがやっていることなのです。

叩きつぶすしかない

ここで先の問いに戻ると、では、この戦争を終わらせるためにはどうすればいいのか。それは軍事力でロシア軍に勝って、叩きつぶすしか方法はありません。いかなる交渉も意味がないからです。ある程度の損害をロシアに与えることでロシアを観念させることはできない。彼らはいま述べた世界観の中に生きているからです。この戦争を終わらせる唯一の方法は、軍事力でロシア軍をつぶして物理的にロシアから戦争を続ける手段を奪うこと。それしかないわけです。

それをどうやって達成するのか。もちろん経済制裁や輸出制裁も大事ですが、一番は、戦場でロシア軍を叩きつぶすことです。だからこそ引き続きウクライナに対して武器を提供することが非常に大事なのです。それがこの戦争を終わらせる唯一の方法になります。

すでにアメリカをはじめ、様々な国がウクライナに武器を提供していますが、いまだに制限がかかっています。武器の種類や数での制限、また、例えばウクライナ国内では使ってもいいけれどもロシア本国を撃つのは駄目だというような様々な制限があります。このような制限がかかっている間は何の制限もないロシア軍が有利になります。

ロシア軍を一刻も早く叩きつぶして、この戦争を終わらせる。そのためにはウクライナに数量の面でも種目の面でも制限のかからない武器の提供を行うことが一番、大事です。そうしなければ、この戦争は何年かかっても終わりません。

では、日本はどのような支援ができるのか。私は、そもそも武器を送ってはいけないという日本の姿勢は間違っていると思います。内閣の意思さえあれば、日本も武器提供ができます。日本が処分する予定の武器を、どうせ処分するならウクライナに送ることも十分、現実的な話です。提供できる武器もアメリカと比べると少ないとはいえ、ないことはない。日本もどこかの段階でウクライナに武器を送る決断をぜひしていただきたいです。

「しっかりした国」

ただ、日本自身が中国、ロシア、北朝鮮の脅威にさらされている状態ですから、ウクライナ支援をしているだけでは危ない。日本自身の抜本的な防衛力強化を進めなければならないと思います。そういう意味で岸田内閣はよくやったと思います。

今回の日本の防衛力強化はこれまでの不足を急いで補うような形になっています。おそらく防衛費は今目指している対GDP比二%を基準として、近いうちにさらなる強化が必要にはなると私は思います。ウクライナ情勢から見ても、すべきことはそれしかない。日本は急いでやるべきです。

武器以外でも日本はウクライナに対して多くの支援ができます。戦場において武器の次に大事なのは輸送手段ですが、普通の車両でも十分、それに使えます。日本はディーゼルで走っている四輪駆動の車両を、例えば中古で買い取ってウクライナに送ったりできます。非殺傷装備の支援を様々な形で強化する。それは日本によるウクライナの勝利と世界平和への貢献になると思います。ぜひ、そういう認識を共有していただければいいなと思います。この戦争を自分の問題として考えていただきたいのです。

当事者意識を持ってこの戦争について考え、声を上げ、動いて頂ければ、それは最終的に世界平和につながります。

簡単に言えば、しっかりした国は平和でいられますが、しっかりしていない国は戦争になってしまいます。ウクライナは十年前には一度、しっかりしていなかったことがあったためにクリミアを侵略されたわけですが、同じことにならないように国としてしっかりしなければならない。これからはお互いにしっかりしましょう。

(令和五年二月二十八日の講演を整理、抜粋しました)
 

講演「世界情勢と日本の落差」

有元隆志 月刊正論発行人・国基研企画委員

二月に何が起きたか

二〇二三年二月の世界の動きと我が国の動きを比べてみると、あまりの落差に愕然とせざるを得ません。

この二月に何が起きたか、非常に動きが速くて追うのも大変なくらいですが、まずロシアによるウクライナ侵略から一年でした。二月に入ってからは中国の気球が米国領空に入り、アメリカはそれを撃墜しました。その後、米中会談があり、アメリカのブリンケン国務長官は中国の王毅共産党政治局員に抗議するとともに中国がロシアに武器を供与しているのではないかと提起。米中関係に深刻な影響を及ぼすと警告を発しました。

その後、中国の王毅氏はモスクワに飛んで、普段、会えないロシアのプーチン大統領と会談。プーチン大統領は「習近平、早く来てくれ」というような、懇願するようなことを述べました。これまでのロシアでは考えられない事態が起きています。

そのような中で、日本はいったい何をやっているのでしょうか。今朝(二月二八日)のニュースでは林芳正外務大臣はG20でのインド訪問を見送りするという。私は普段、林外相に批判的なのですが、それでも日本の外務大臣です。その外務大臣がG20という大事な会合、しかもインドが議長国なのに行かない。日本はインドを大事だと言っておきながら、それを欠席する。インドはG20の議長国で日本はG7の議長国です。

なぜ見送りかというと国会で参議院の予算審議が始まるからだという。そのときに外務大臣は日本にいてほしいと言っているのは自民党の議員なわけです。参院自民党が外務大臣にいてほしいと言っている。

また、国基研の「今週の直言」に書きましたが、岸田首相はウクライナのキーウをいまだに訪問していない(二月二十八日時点。三月二十一日訪問)。G7の首脳では昨年十月に就任したばかりのイタリアのメローニ首相もキーウを訪問したのに、日本の首相である岸田さんは行っていないのです。

国会が目覚めない

私は政治記者を三十年以上していますが、実は今年は細川連立政権が誕生してから三十年です。ちょうど三十年前、私は自民党の梶山静六幹事長を担当していたのですが、よく梶山さんが「メディアも政治も政治改革、政治改革という熱病にとらわれている」ということを言われていました。そのときは梶山さんをわれわれメディアは「守旧派」と批判しました。確かに梶山さんの対応はどうかと思ったのですが、それから三十年経った日本はどうなったのでしょうか。

一九九三年に細川政権が誕生し、政治改革法が成立して衆院に小選挙区比例代表並立制が導入されました。その後、しばらくして国会審議活性化法ができ、副大臣と政務官が新設されて、政治家同士の討論を活発にする国会にしよう、政府委員はなくそうとなりました。しかし、三十年経っても、国会には相変わらず衆議院と参議院があります。衆院と参院は似たような選挙制度で、首相も大臣も国会審議に縛られている。野党の質問はクイズのようなもので、対案を準備していない。

また、この通常国会が始まる前に安保三文書が改定されたので、これは激しい議論になるなと考えていました。日本の戦後の安全保障のあり方を抜本的に変える大きなことを政府が決めた。野党は国会審議もしていないのにけしからんと言い、朝日新聞などのメディアもそう書いていたのです。

ところが実際はどうだったか。岸田首相の秘書官の発言を捉えた毎日新聞のオフレコ破りのリークがあり、そこから超党派議連がLGBT法案をG7広島サミットの前に通さなければならないなどと表明するような話になっている。でも二年前も同じで、多様性を尊重する東京オリンピック・パラリンピックの前にLGBT法案を成立させなければ世界の恥だと言っていました。二年後に今度はG7でLGBT法案がないのは日本だけだから成立させなければならないと言っているわけです。「LGBT法案がないのは日本だけ」というのは事実と異なりますが、そのような大合唱のもとにLGBT法案を成立させようとしています。

野党第一党の立憲民主党は、安全保障政策がまったくできていない政党なので対案を出すことはないのですが、日本は彼らを待っている余裕などありません。いま日本が置かれた現実と国会の乖離が激しすぎます。相変わらず一国平和主義で、平和ぼけ国家に先祖返りです。まったく目覚めていない国会の姿を露呈してしまいました。

広島で核抑止を語れ

国基研の「今週の直言」に西岡力先生が「迫り来る北朝鮮の核脅威を直視せよ」と書かれています。韓国では非常に危機感が高まっている、と。また、いまロシアはウクライナに対して核の脅しをしています。

中国はどうでしょうか。二〇二二年、アメリカは「核態勢の見直し」(NPR)の中で今後十年間で中国は千発も核弾頭を持つ、ここ数年で習近平体制が利用できる核の選択肢が広がる、としています。このようなこれまでにない非常に厳しい核の現実が日本に突きつけられているわけです。

織田邦男さんは正論大賞受賞記念論文「被爆国にこそ必要な『核抑止戦略』」(『正論』四月号掲載)を書かれています。まさにご指摘の通りで、安保三文書が改定されても非核三原則という文言が残ったわけですが、現実を見れば一歩でも核抑止戦略を前に進めなければなりません。

先日、韓国はアメリカと合同で、北朝鮮の核兵器使用への対処に向けた机上演習を行いました。いかに核のエスカレーションをコントロールしていくかをわれわれは考えなければいけない。実際に核戦争が始まったら日本が何を言おうが、アメリカは独自の考え、判断で戦うわけです。だからこそ始まる前に、日本の考えをアメリカに伝えなければいけない。様々なシナリオを想定して準備していかなければならない。それぐらい厳しい状況にいま日本は置かれています。

今年五月に岸田首相は広島でサミットを開催します。五月あたりは、ウクライナに欧米の最新鋭の戦車が入り、激しい戦いになる時期でもある。岸田首相の核廃絶に懸ける個人的な思いは別として、このサミットの焦点はいかに核抑止をしなければならないかが中心になるかと思います。

日本はサミットでどのような絵を描くのか。インドやオーストラリアを招待するのか。それがまだ見えてきません。サミットではロシアに対しての欧州とアジアという大戦略、その絵柄を日本としては描いていかなければならないはずです。それが岸田首相、与党の自民党に課せられた責務ではないかと思います。

(令和五年二月二十八日の講演を整理、抜粋しました)

 

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講演「予想される中国の恫喝」

岩田清文 元陸上幕僚長・国基研企画委員