公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2022年1月の記事一覧

30日、北朝鮮は中距離弾道ミサイルである「火星12号」を日本海に向けて発射した。これまで北朝鮮は、大陸間弾道弾(ICBM)級の弾道ミサイルを2017年前後に発射していたが、米国のトランプ前大統領が、数個の空母打撃群を日本海に集中させるなどして「最大限の圧力」をかけたことから、2018年、シンガポールでの米朝首脳会談に応じた。しかし、大陸間弾道弾の大気圏再突入技術は、未だ完成されていない。 ウ...

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立憲民主党は27日、昨年秋の衆院選に関する総括を公表した。共産党との選挙協力に関する報道が相次いだが、根本的な「敗因」は、集団的自衛権の限定行使を可能とした安全保障関連法制への反対が国民から非現実的と受け止められたことだろう。立憲民主党は安保法制容認に転換しない限り、かつては野党第一党だったものの、いまでは2人しか国会議員がいない社民党(旧社会党)と同じ道を歩むことになる。 共産との協力は結...

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ウクライナ情勢が緊迫の度を増している。ロシアはウクライナ周辺に侵攻を想定していると見られる10万規模の軍隊を展開させている。これに対しバイデン米大統領は1月24日、ウクライナ周辺の東欧地域に最大8500人規模の米軍を派遣することを明らかにした。 バイデン氏は「もし侵攻すればロシアにとって破滅だろう」とも述べ、ロシアを強く牽制した。米国がロシアに対して厳しい姿勢で臨む中、ヨーロッパの主要国ドイ...

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国家基本問題研究所は昨年、専門家らを結集して歴史問題国際広報研究会(座長・西岡力)を組織し研究を進め、11月29日に政策提言「歴史認識に関する国際広報体制を強化せよ」を公表し、同日、自民党の高市早苗政調会長に提出した。 提言の全文は国基研HPにあるが、その第1項が「首相官邸の副長官補室で展開してきた『事実関係に踏み込んだ体系的歴史認識の国際広報』を継続強化せよ」だった。実は、ここで言及した、...

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岸田文雄内閣の「グリーン成長戦略」が、「クリーン成長戦略」に変わった。「グ」と「ク」では1文字違うだけだが、ドイツやスペインなどの太陽光や風力発電では、効果的にCO2を減らすことができないことは、昨年英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)までの世界の壮大な実証試験で明確になった。 また、東芝、日立、パナソニックなどが、事業の一部を中国などに切り売りして...

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15日にトンガ諸島で海底火山の大規模な噴火が発生した。トンガと言えば、親日的な王国で、筆者が広島県の江田島にある第1術科学校の学生であった昭和53年には、国王御夫妻が来校され、学生の行進を観閲された。あれから約45年が経過するが、日本の皇族が自衛隊を観閲したと言うニュースには接した事がない。 昨年末に除籍された護衛艦「せとゆき」は、「髭の殿下」の愛称で親しまれた寛仁親王が平成22年にご乗艦さ...

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2022年1月19日、バイデン・ホワイトハウスと民主党議員の大多数が推進したフィリバスター(採決阻止)ルール変更案が否決された。日本政治は、この意味を充分理解しておかねば、引き続き気候変動問題などでカモにされかねない。 投票法改正の思惑も費える 全ての議事が単純過半数で進められる米下院と異なり、上院では、5分の3(60人)以上が賛成しないと審議を打ち切って採決に入れない独自の院内規則が...

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自民党の高市早苗政調会長が中国当局による新疆ウイグル自治区などでの人権侵害行為を非難する国会決議について、17日召集の通常国会冒頭で採択することを目指す考えを表明した。昨年の通常国会、臨時国会と二つの国会で見送りとなっただけに、高市氏にはイニシアチブを発揮するとともに、決議案の文面についても見直してほしい。 骨抜きになった対中人権決議案 高市氏は11日に出演したBSフジ番組「プライムニ...

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ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻懸念が高まる中、米国のバイデン大統領はロシアのプーチン大統領との昨年末の電話会談で、軍事侵攻すれば厳しい制裁で応じると警告した。バイデン政権が検討中と伝えられる対ロ制裁の目玉は金融制裁で、ロシアの大手銀行などのドル決済を禁じる案が有力だが、ロシア側はすでに「脱ドル」の布石を打っている。バイデン政権は制裁効力を損なわないために、欧州のみならず日本にも同調を求める可...

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英国の情報局保安部(MI5)は、中国の中央統一戦線工作部の女性が、英国の議員に金銭を提供して英政治に影響力を与えるよう工作しているとの警告を出した。オーストラリアの情報機関も最近、中国の浸透工作について公表し、またクライブ・ハミルトン著の『Silent Invasion(邦題、目に見えぬ侵略-中国のオーストラリア支配計画)』は有名である。 中国の戦わずして勝つ『Political Warfa...

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ウクライナ国境をめぐる米国とロシアの緊張は、台湾に圧力をかける中国にとっては追い風に違いない。米国がウクライナはじめ「欧州正面」に手を取られれば、台湾防衛に動くアメリカンパワーがそがれるからである。米国に対するロシアの要求が通っても、破綻して戦争になっても、対米瀬戸際外交の「先行モデル」として台湾海峡で援用できる。 プーチン露大統領にとってソ連崩壊が「20世紀最大の地政学的悲劇」である以上、...

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本邦でコロナ騒動が起きて間もなく、2020年5月に筆者はいわゆる「大木提言」(PDF)としてコロナ対策を取りまとめ、当時の安倍晋三総理に提出した。その後、個別面談を経て未来投資会議民間議員に就任しコロナ対策に従事したが、提言の骨子は、日本人を含むモンゴリアンは何らかの理由(今で言うFactor X)で新型コロナに強く、感染者数も死者数も欧米に比べて10分の1~20分の1であったパンデミック最初の3...

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中国武漢に端を発するコロナ禍も足掛け3年となる。国内では武漢ウイルスのオミクロン変異株による第6波が急速に拡大しており、政府は再びのまん延防止等重点措置や緊急事態宣言発出のタイミングを伺う状況に曝されている。しかしながら、再三の飲食店の営業時間短縮や国民の行動制限を行えば経済活動の回復は遅れる一方である。実際、米国では2020年7-9月期以降、ユーロ圏では2021年1-3月期以降、実質GDPは回復...

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南アフリカ政府は昨年11月25日にオミクロン株(以下OM)による感染を発表し、世界保健機関(WHO)は「懸念すべき変異株」に指定した。南アでの新規感染者は12月14日にピークに達し、過去最大だった週13万人を超えて16万人に達した。しかし死者は過去最大の週4000名より少ない1000名だった。流行は1月末の収束が予測されている。 OMの特徴は感染力が強くワクチン接種者も感染するが、流行はこれ...

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3月9日の韓国大統領選投票日まで2カ月を切った。12月初めまでは与党「ともに民主党」の李在明候補と第1野党「国民の力」の尹錫悦候補の一騎打ちと思われていたが、尹錫悦候補の支持率が急落し、中道野党「国民の党」の安哲秀候補が浮上して混戦模様となってきた。 韓国ギャラップが1月4日から6日にかけて実施した世論調査によると李在明氏36%、尹錫悦氏26%、安哲秀氏15%の支持率だった。昨年12月初めの...

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元外務官僚の兼原信克氏が昨年出版した『安全保障のリアル』を年末年始の休み中に読んでみた。現在の安全保障に関する洞察については全面的に賛同するものの、戦前の歴史記述で、敗戦の全責任を旧日本軍に負わせている点は不同意である。筆者が、かつて在米日本大使館で防衛班長の任にあった時の政務班長で後に在米日本大使となった人物の認識も、また一昨年亡くなった元外務官僚の岡本行夫氏の論調も、同様の認識に根ざしていた。...

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安倍晋三首相とプーチン・ロシア大統領の平和条約交渉が失敗に終わった後、北方領土問題はすっかり後退し、プーチン体制下での決着は困難になりつつある。岸田文雄首相にとって、対露外交は「敗戦処理」であり、重視しないだろう。この機会に対露戦略の再構築を図るべきだ。 不可解な安倍氏の「2島」論 安倍氏は昨年末、北海道新聞とのインタビューで、2018年11月のシンガポールでの首脳会談で歯舞、色丹の2...

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