公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2021年6月の記事一覧

 総務省が発表した2020年国勢調査の速報値によると、2020年10月1日時点での日本の人口は1億2622万6568人であった。前回の調査(2015年)から86万8177人減少し、都道府県別にみると9都府県で増加、38道府県で減少する結果となった。人口が増加した地域は東京をはじめとする大都市圏に集中しているのに対し、東北、山陰、四国、九州などで人口が減少し、とくに秋田、青森、岩手の北東北で人口減少...

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 昨今、日本のメディアを賑わしているのは新型コロナウイルスの感染対策と東京五輪・パラリンピックの開催であるが、コロナ危機に適切に対応できなかった最大の理由は国産ワクチンの開発が遅れたことである。オリンピックを中止すべきとする論調には国家の威信という意識が欠如している。 コロナ渦でも突きつけられた 今年の年頭に「はやぶさ2」のカプセルがオーストラリアに着陸したが、これが中国に着陸したとし...

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 フランス政府は6月23日、社会民主党の福島瑞穂党首(参議院議員)に国家功労勲章シュバリエ(騎士)を授与した。東京の同国大使館で開かれた授与式でフィリップ・セトン大使は、死刑廃止、男女共同参画、従軍慰安婦問題など「長年にわたって人権擁護のために闘った」と福島氏を讃えた。 だが、福島氏は前任党首の故土井たか子氏らと一緒になって、日本人多数を拉致した北朝鮮を支援してきた中心人物の一人である。人権...

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 東京オリンピックの開会式が7月23日に迫った。残念ながら現状は「人類が新型コロナウイルスを克服した証」とは言い難く、祝祭ムードもみられない。いまなお「中止」論も止まないなか、ここまで準備を整えてきた大会関係者の労を多としたい。 思えば、コロナ禍の拡大とともに組織委員会の関係者は身を縮める境遇を強いられてきた。コロナへの不安をぶつけるように批判が相次ぎ、今年2月、3月には当時の森喜朗組織委会...

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 60年安保のとき、高校2年生だった。 6月の昼休みの校庭では、「アンポハンタイ」、「岸を倒せ」と腹に響くような声を発しながら、少なからぬ生徒たちが、隊列を組んでいた。国会周辺で大きなデモがあった翌朝、ホームルームに行くと、輪の真ん中で、「きのう、警備のお巡りに蹴飛ばされた」とズボンの裾を捲り上げた級友が、脛の青あざを見せていた。 秋になると、開校以来続いてきたという伝統が売りの校内雑...

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 6月15日から18日の4日間、朝鮮労働党中央委員会総会が開かれた。1月、2月にひきつづいて今年3回目の開催だ。半年に3回の開催自体が異例だが、そこで議論された内容も驚くべきものだった。全国規模で大規模な食糧危機が発生しているため、それに対する緊急対策が主要議題だったからだ。 会議冒頭で総書記の金正恩は「農業部門で昨年の台風の被害のため穀物生産計画を未達成したことによって現在、人民の食糧状況...

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 6月、「中東の暴れん坊」と称されるイランとイスラエルで政権交代が相次いだ。混迷する動乱時代の中東と国際社会に新たな攪乱要因になるのか。 18日、イランで大統領選挙が実施され、国際協調を重視する穏健派のロウハニ師に代わって反米保守強硬派のライシ師(60)が選ばれた。40年前、イランはイスラム革命でパーレビ王制独裁を打倒してイスラム法学者が統治する政教一致の「イスラム共和国」を樹立、最高統治者...

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 バイデン米大統領とプーチン・ロシア大統領が対面による初の首脳会談をジュネーブで行った。バイデン氏が就任からわずか5カ月足らずでプーチン氏との会談に踏み切ったのは、専制主義陣営の本丸である中国の抑止に注力するため、ロシアとの関係を「安定的で予測可能」にしておく狙いからだった。バイデン政権は今回の会談でそのための「基盤」ができたと評価しているが、先行きは決して楽観できない。 核軍縮でも協議開始...

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 6月第三日曜日である20日は父の日であった。しかし我々が成人するまで父の日はなく、逆に母の日は米南北戦争を機にできていた。戦場では「お母さん」と叫んで戦死する兵士が殆どで、「お父さん」と叫んで死ぬ兵士は稀である。言葉を母国語と言って父国語と言わないのは何故か。我々は母によって生み成され、母によって人となる。子供に与える影響力は母親の方が圧倒的に大きいからである。 林檎と蜜柑比べる無意味 ...

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 NHKは6月18日朝のニュースで外交・安全保障担当の増田剛解説委員が、東京六本木にある在日米軍ヘリポート基地(俗称ハーディー・バラックス)について、騒音と事故の可能性から撤去に世論を誘導する番組を流していた。 専門家の意見として東京大学の藤原帰一教授の基地撤去推奨論のみ登場させ、騒音に悩まされる市民の声を動員して、世論を基地撤去の方向に誘導しようとする意図が見え見えであった。番組の最後には...

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 6月11日~13日、イギリス・コーンウォールで開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)は首脳宣言で、覇権主義を強める中国に「懸念」を表明し、「台湾海峡の平和と安定」の重要性に言及した。東・南シナ海に関しても、「現状を変更しようとする一方的な試みに対する強い反対」を表明した。 サミットが中国を巡る安全保障問題を主要議題に据えたのは初めてだった。バイデン米大統領の就任以来の外交姿勢からそう...

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 先週行われた菅義偉総理と野党党首による党首討論は、コロナやオリンピックに議論が集中し、安全保障問題を語る党首は居なかった。そうした中でも中国海警は頻繁に我が国固有の領土である尖閣諸島(沖縄県)の領海を侵犯し、台湾海峡での軍事的緊張も中国側の挑発行動によって日に日に高まっている。 米インド太平洋軍のデービッドソン前司令官は、今後6年以内に中国が台湾に武力侵攻する可能性を上院軍事委員会の公聴会...

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 1900年に起こった中国の「扶清滅洋」(清朝をたすけ、西洋人を撲滅する)を叫ぶ義和団の排外主義運動を、清国の西太后が支持し、同年6月に欧米列強に宣戦布告した。これに対し日露英仏米独伊墺/洪(蘭)の8カ国が軍を派遣して鎮圧した。 中国の南・東シナ海での傍若無人ぶりに米英仏独蘭が海軍艦艇を派遣、あるいは派遣すると表明している今日、当時との類似性を感じざるをえない。 日英「準同盟」で復活も...

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 歴代最長の連続12年間、通算15年にわたるイスラエルのネタニヤフ政権がついに終焉を迎えようとしている。 イスラエルは、この2年間、4度の総選挙(定数120)を繰り返し、政局は混乱が続いていた。イスラエルでは第一党が単独で過半数を獲得できなかった場合、大統領は各党に意見を聞き、連立政権を運営できる可能性の高いリーダーに組閣を委任する。3月の総選挙結果からリブリン大統領は、比較第一党となった「...

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 東京五輪・パラリンピック組織委員会の公式ホームページの地図に竹島が日本領土のように表示されているとして、韓国が日本政府に削除を要求している問題で、聖火リレーの経路を示したこの地図に目を凝らしたが、竹島は肉眼で見えない。韓国の主張は明らかに言いがかりだ。 しかし、真の問題は別のところにある。2年前に韓国から抗議された際、竹島は地図上にはっきり表示されていたようだから、その後に組織委が地図を差...

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 バイデン米大統領は5月28日、政権発足後初となる2022会計年度予算教書を議会に提出した。削減が懸念されていた国防総省予算は前年度比1.6%の増の7150億ドル(約79兆円)が計上された。中でも、中国をにらんだインド太平洋地域での米軍の抑止力強化のための「太平洋抑止構想」(PDI)向けに約51億ドルが要求されている。前年度の約22億ドルから倍以上の増額である。PDIは日本にとっても重要な意味を持...

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 韓国の自由保守派ネットメディア「メデイア・ウォッチ」は4月16日に拙著「よくわかる慰安婦問題」(草思社)の韓国語版を出版し、それを記念して5月24日、私との長文のインタビュー記事をネット上で発信した(한국어)。 インタビューはメデイア・ウォッチが比較的長文の質問を10、西岡に送付し、それに書面で答える形式で実施された。質問が長いため、インタビューというより、韓国保守ジャーナリストと西岡の慰...

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 菅義偉首相は、2030年に向けた温室効果ガスの削減目標について、2013年度比で46%減を目指すと表明し、さらに削減目標の前倒による国際協力の必要性を訴えている。 バイデン米大統領も、2025年までに2005年比で26%~28%削減する従来目標を大幅に引き上げ、2030年までに50%~52%にすると表明した。中国の習近平国家主席は、2030年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を減少に転じさ...

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 海外では新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいる国では経済が回復している。日本経済の行方も、接種スピードにかかっていると言っても過言ではない。 先進国の中で日本の接種は出遅れたとはいえ、今後スピードが加速し、新型コロナの収束・終息が見込める状況になれば、早晩コロナ禍以前からの問題として抱えていた潜在成長力の強化や財政の健全化といった重要テーマが経済政策の中心になる。 なぜ伸び悩む...

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