2026年2月の記事一覧
米国のマドゥロ氏拘束と「法の支配」 黒澤聖二(元統合幕僚監部首席法務官)
1月3日未明に米軍特殊部隊により実行された対ベネズエラ電撃作戦は、世界中の耳目を引いた。その作戦により拘束されたマドゥロ大統領夫妻は、米ニューヨーク州へ移送の後、連邦地裁で訴追された。罪状は、麻薬テロ、コカイン輸入の共謀や、機関銃と破壊装置の所持などとされる。 一連の米国の行為については当初、国際法違反、或いは法の支配を毀損する行為だという報道を目にしたが、具体的な説明は少なく、日本国内では...
米国に不可欠な日本の軍事的価値 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
1月30日、英国のキア・スターマー首相が中国を訪問して習近平国家主席と会談した。それに先立つ同月中旬、カナダのマーク・カーニー首相も訪中、続いてダボス会議では名指しこそしなかったものの、トランプ米政権の独善的行動を厳しく批判した。米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国による電波情報共有の枠組み、ファイブ・アイズの重要メンバーが米国との関係を冷却化している現状に対し、米国の軍関...
帰還事業裁判の判決が意味するもの 荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
川崎栄子さんら脱北帰国者が北朝鮮政府を相手取って起こしていた帰還事業とその後の北朝鮮における人権侵害に関する訴訟について、東京地裁は1月26日、原告4人の訴えを認め、総額8800万円の支払いを命じる判決を下した。私も地裁で傍聴していたが、歴史的な判決と言えるだろう。 北朝鮮に賠償支払い命令く 「帰還事業」とは昭和34(1959)年から59(1984)年までの間に合計9万3000人余りの...
慰安婦問題で続く嘘との戦い 西岡力(麗澤大学特任教授)
1月6日、李在明韓国大統領がX(旧ツイッター)に、韓国内外の慰安婦像の撤去を求める活動家、金柄憲・慰安婦法廃止国民行動代表を名指しして「こんな愚かな…。死者名誉毀損です」と非難する書き込みをした。すると、すぐ警察庁が特別チームを編成して金氏らへの捜査を強化し、金氏の家宅捜索を行った。 大統領の投稿で警察動く 金氏は『反日種族主義』執筆者の李宇衍氏らと、2019年12月からソウルの旧日本...
インテリジェンス組織に関する一考察 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
高市早苗内閣になってからインテリジェンス組織に関する議論が活発化している。そうした中、20日(火)の産経新聞「正論」欄で、元内閣衛星情報センター次長の茂田忠良氏が、防衛省情報本部から電波部を分離して同省内に国家シギント(電波情報)機関を創設すべきだと主張した。また先月、国基研にゲストスピーカーとして招かれた前公安調査庁第二部長の平石積明氏は新しい国家情報局について、ヒューミント(人的情報)を中心に...
防衛相の「五つ星」は世界の物笑い 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
11日、小泉進次郎防衛相は陸上自衛隊習志野演習場において、陸上自衛隊第1空挺団の降下訓練始めを視察した。その時の写真を見ると、小泉氏は五つ星を付けた訓練服を着用している。 [caption id="attachment_46491" align="aligncenter" width="600"] 写真は Youtube 第一空挺団公式チャンネル 「令和8年 降下訓練始め(NYJIP26)...
既視感ある米の軍事行動 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
米トランプ政権は3日、ベネズエラを攻撃してマドゥロ大統領夫妻を拘束した。先月トランプ政権が発表した「国家安全保障戦略」にある西半球重視政策のモンロー主義を具現化したものと見る向きが多い。しかし、米国が勢力圏と見なす中南米に国際法違反の軍事作戦を実行するのは、今に始まったことではない事と、モンロー主義は孤立政策ではなく、欧州(東)への憂いをなくして西に向かう政策であった事を指摘したい。 ノリエ...
我が国は兵器級プルトニウムの在庫ゼロ 奈良林 直(北海道大学名誉教授)
首相官邸幹部がオフレコを前提に「日本は核保有すべきだ」と記者団に語ったことをマスコミが報道して大騒ぎになったが、我が国が独自に核開発をすることは不可能に近いことを周知しておきたい。 保有プルトニウムは非兵器級 我が国の原子力発電所で発電に使われた使用済み核燃料は、英国、フランスで再処理され、保管されているが、これは兵器には使えない非兵器級のプルトニウムである。1年半後に営業運転が始まる...
米国覇権の終焉と日本の新たな役割 岩田清文(元陸上幕僚長)
12月4日に公表された米国の国家安全保障戦略(NSS)は、その名称とは裏腹に外交政策の基本方針を示した文書である。その性格については、先週の「今週の直言」(第1320回)「今週の直言」(第1320回)ですでに指摘したとおりだ。 トランプ第1次政権下のNSS2017は、中国とロシアを「現状変更勢力」、北朝鮮を「ならず者国家」と断じ、明確な対立構図を打ち出していた。ところが、今回のNSS2025...
防衛力強化を「軍拡」と言うNHK 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
11月29日のNHK朝のニュースは、ロシアのウクライナ侵略に対抗するために欧州諸国が徴兵制を復活する様子を取り上げた。ここで徴兵制を女性にまで拡大したデンマークに関し、世論調査で賛成53%に対して反対が32%であった事を報じたまでは良かったが、赤木野々花アナウンサーは、女性だけに限ると反対は39%あるのに、それを無視して「軍拡」に走るのは納得できないとコメント、井上二郎アナウンサーも、「そうですね...
佐渡の朝鮮人戦時労働「強制」説否定される 長谷亮介(麗澤大学国際問題研究センター客員准教授・歴史認識問題研究会研究員)
11月29日に東京にて、筆者が所属する歴史認識問題研究会(歴認研)の公開研究会「佐渡金山朝鮮人労働の真相-147人の証言から―」が開催された。『反日種族主義』(2019年)の共著者の一人である韓国の李宇衍(イ・ウヨン)博士が登壇し、戦時中(1939年~1945年)に新潟県の佐渡島で働いた朝鮮人労働者の真相に迫った。 佐渡金山の世界遺産登録申請が公表されて以降、韓国政府や一部の日本人は朝鮮人を...
石垣島の核シェルター準備を視察した 奈良林 直(北海道大学名誉教授)
「存立危機事態」をめぐる立憲民主党議員らによる国会での執拗な質疑に対する高市早苗首相の国民の命と財産、領空・領海を護る毅然とした答弁を高く評価したい。ロシアのウクライナ侵攻に伴う核使用の恫喝、中国の核戦力増強、北朝鮮の多数のミサイル発射、それに伴うJ アラート警報や日本政府による非難声明が繰り返されるなかで、我が国の有事の避難施設(いわゆる核シェルター)の普及率はほぼゼロである。スイスやノルウェー...
高市政権の「農政復古」 山下一仁(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
自民党と日本維新の会は連立政権合意で、飲食料品を消費税の対象から除外することに含みを残した。しかし、今、物価対策が最重要課題だと言われているのに、消費者を最も苦しめているコメ問題については言及がなかった。日本維新の会は従来、農家に補助金を出してコメ生産を減少させ米価を上げる減反政策の廃止を唱えていたのに、これを引っ込めた。逆に、高市早苗首相は減反を推進する農林族議員の鈴木憲和氏を農水相に任命した。...
憲法9条解釈と文民条項導入との不可離性再論 西修(国基研理事・駒澤大学名誉教授)
日本維新の会が9月18日、憲法9条2項の削除を盛り込んだ政策提言を発表した。その前提には、同条項は「自衛のためでも戦力を保持することができない」と解釈していることがある。このような解釈が一般に流布していると考えてよいだろう。はたしてそのような解釈は妥当だろうか。結論から先に言えば、9条の解釈は字句の問題ではなく、歴史的事実の認識の問題なのである。 芦田修正の意味と極東委員会の反応 私は...
高市氏に期待するリアリズム外交 湯浅博(国基研企画委員兼研究員)
自民党の高市早苗総裁が混迷の末に新政権を発足させると、いきなりトランプ米大統領来日の試練が待ち受けている。高市政権の誕生は、外交に尻込みした石破茂政権の宿痾を断ち切り、日本の国際的影響力を復活させる戦略的好機を迎える。筆者が期待するのは、米ソ冷戦時代にサッチャー英首相が反共政策でレーガン米大統領の尻を叩き続けたひそみに倣い、トランプ大統領を賢く、かつ狡猾に対中、対露抑止へと誘導するリアリズム外交で...
トマホーク供与中止は既定路線かTACOか 織田邦男(麗澤大学特別教授、元空将)
ドナルド・トランプ米大統領は「交渉(deal)の達人」を自称するが、強い相手には容易に譲歩しがちなことから、「TACO」(Trump Always Chickens Out=トランプはいつも最後にはしり込みする)と揶揄されている。 今年8月、アラスカで行われた米ロ首脳会談の後、トランプ氏はこれまでの主張を一転させ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、「領土奪還も可能」との見...
文民統制には制服組の信頼も大切 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
10月10日に石破茂首相は「戦後80年所感」を出した。その中で首相は、先の大戦が何故避けられなかったのかに関して「文民統制」が機能しなかったことや、世論を煽ったメディアに政治の意思決定が引きずられた点等を挙げた。 筆者は平成13年から17年まで防衛庁情報本部長に任じ、平成14年から16年までの2年間、防衛庁長官だった石破氏に仕えた。その実体験に基づき、統制される側の制服組の立場として、統制す...
北朝鮮は日朝関係を動かしたい―李イルギュ著『私が見た金正恩』書評 西岡力(「救う会」会長、麗澤大学特任教授)
10月10日、北朝鮮の首都平壌で「朝鮮労働党創立80周年慶祝閲兵式」(軍事パレード)が行われた。パレードは激しい雨の中で深夜に行われた。先月3日、中国の北京で行われた「抗日戦争勝利」記念軍事パレードでは、主席壇に習近平中国共産党総書記、プーチン・ロシア大統領と並んで金正恩朝鮮労働党総書記が立って、中ロ朝の連帯を誇示したかに見えた。ところが、10日の主席壇では習近平、プーチン両氏の姿はなく、金正恩総...
高市政権は公明より維新や国民と連立を 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
高市早苗氏が自民党総裁に選出された10月4日の夜、公明党の斎藤鉄夫代表は、高市氏の靖国神社参拝や歴史認識、そして外国人との共生政策等で懸念が解消されることを自公の連立政権を継続する条件とした。 これに対し、5日朝のフジテレビの番組に出演した日本維新の会の藤田文武共同代表や国民民主党の古川元久代表代行は、首相の靖国参拝を問題視しないことを表明している。公明党が首相の靖国参拝などにクレームをつけ...
「政府認定」は拉致被害者のごく一部 荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
9月22日から25日まで、特定失踪者家族会(北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者家族有志の会)の竹下珠路事務局長、吉見美保副会長、森本美砂事務局次長がジュネーブを訪問し、国連の強制的失踪作業部会で陳述した。私も同行したが、東京からジュネーブまで、ドバイ乗り換えで1日近くかかる。お三方にとっては相当の身体的負担だったはずだが(正直、私も結構きつかった)、それは裏を返せば相手に伝わるものがあっ...
麻薬密輸船攻撃に見る米国の変質 黒澤聖二(元統合幕僚監部首席法務官)
9月2日、カリブ海南部で、ベネズエラから出港した麻薬密輸船とされる船舶を米軍が攻撃し11人を殺害したのに続き、15日には2回目の攻撃で3人を、19日には3回目の攻撃で3人を殺害した。 米軍によるこれらの攻撃は、国際法および米国の国内法に抵触する可能性が濃厚だ。法的問題を整理するとともに、対策を考えてみたい。 国際・国内法違反の疑い濃厚 国際法の面では、例えば海洋法条約(1982年)は...
「海行かば」は鎮魂歌 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
宝塚歌劇団は9月24日、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で10月26日まで上演中の宙(そら)組公演のショー「BAYSIDE STAR」で、「海行かば」をソロ歌唱するシーンについて、24日から歌唱を取りやめると発表した。その理由として「軍歌はエンターテインメントにふさわしくない」といった批判が寄せられたためと報じられている。 筆者は元海上自衛官として、大東亜戦争の日米海戦海域で写真のような洋上慰霊祭...
防衛有識者会議の提言に賛成する 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
9月19日に「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」(座長・榊原定往元経団連会長)の提言が公表された。元自衛官として、とりわけ次の2点に関して賛成の意を表したい。一つは、非戦闘目的の5類型(救難、輸送、警戒、監視、掃海)に該当する防衛装備品のみ輸出を認めてきた現行ルールの緩和要請であり、二つ目は潜水艦への長距離ミサイル搭載の意義に言及し、原子力潜水艦を念頭に「次世代動力」の導入を主張した点である。...
タイフォン・ミサイルシステムの展開を歓迎 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
米軍が新たに開発した地上発射型の中距離ミサイルシステム「タイフォン」を日本に初めて展開させ、15日、山口県岩国市の米軍岩国基地で報道陣に公開した。11日から実施中の自衛隊との大規模共同演習で、九州や沖縄などの離島防衛を想定した訓練のためとしている。 これまで米国は、冷戦末期の1987年に旧ソ連と結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約により、地上発射型の中距離ミサイルを配備できなかった。それを尻...
「戦争」や「攻撃」の忌避から脱却せよ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
9月5日、米国のトランプ大統領は、国防総省を「戦争省」に改称する方針を示した大統領令に署名した。日本では、また狂った大統領が奇妙なことを言い出したと受け止める向きが多いが、米国では建国間もない1789年から第2次世界大戦直後の1949年まで、この官庁の名称は一貫して戦争省であった。 War Collegeの奇妙な和訳 米国の首都ワシントンにある国防総合大学(National Defen...
中印関係に目立った進展なし 近藤正規(国際基督教大学上級准教授)
8月31日と9月1日、中国の天津で上海協力機構(SCO)の首脳会議が行われた。新興・途上国「グローバルサウス」の反米化を先導したい中国にとって、SCO首脳会議をこの時期に自国で開催できるというのは願ってもないことであった。首脳会議では、習近平国家主席が「冷戦思考、陣営対抗、いじめ行為に反対する」と述べて加盟国に結束を呼び掛けた。中国はSCO開発銀行を早期に設立して年内に20億元(約400億円)の資...
NHKの悪意ある印象操作 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
8月16日と17日にNHKは「シミュレーション〜昭和16年夏の敗戦〜」を放映した。番組では、日米開戦前に設立された首相直属の「総力戦研究所」が日米戦争に踏み切れば日本必敗というシミュレーション結果を出したのに対し、所長であった飯村穣陸軍中将が所員の自由な議論を阻害し、結論を覆す圧力をかけた人物として描かれている。お決まりの軍人イコール好戦主義者というNHKのイメージ操作によって史実が歪められている...
民意示すのは世論調査より選挙結果だ 有元隆志(産経新聞特別記者)
最近の報道各社の世論調査で、石破茂内閣の支持率が上昇している。「7月の参院選から民意が急速に変化したため、『石破おろし』をすることは世論に反するのではないかと自問自答している」と、複数の自民党議員から聞いた。当の石破首相は「辞めなくていい」との声が多数を占めていると、気をよくして続投に意欲を示している。自民党はどうしてしまったのか。有権者の意思を形として表すのはあくまで選挙であって、世論調査ではな...
最悪の米印関係、反米化するBRICS(下) 近藤正規(国際基督教大学上級准教授)
前半から続く 反米で結束するBRICS 米印関係が大きくこじれてしまったことは、米国の対グローバルサウス外交にも大きな影響を及ぼした。現時点で最も高い関税を課せられているのはインドとブラジルで、この2カ国は、新興国グループである拡大BRICSの反米化を止める要の役割を担っている国である。もう一つの要である南アフリカも、人種問題でトランプ大統領の攻撃を受けている。 トランプ関税の影...
最悪の米印関係、反米化するBRICS(上) 近藤正規(国際基督教大学上級准教授)
8月6日、米国のトランプ大統領はインドからの輸入品に25%の追加関税を課すとの大統領令に署名した。ロシアから原油を購入していることに対するこの制裁関税は8月27日に発動する。これは7月31日の大統領令に明記したインドに対する相互関税25%とは別に課すもので、若干の例外品目はあるとはいえ、インドからの輸入品に対する関税は合計で50%になる。この関税率はブラジルと並んで世界で最も高い。インド外務省の報...
留学生増の大学定員緩和の危うさ 大岩雄次郎(元東京国際大学教授)
文科省は2026年春から外国人留学生の増加を目的に、大学の定員規制を緩和する方針だと主要メディアが報じた。国際化や高等教育の活性化を掲げるこの政策は、一見すると時代に即した柔軟な対応のように映る。しかし、大学の現状と制度的背景を踏まえると、その拡大路線には、実効性や副作用に多くの疑義が残る。 大学教育の質の低下リスク まず、大学教育の質の問題がある。定員は本来、教員数、施設、カリキュラ...
日本の「ハーン」がモンゴル人に与えた意義 楊海英(大野旭、静岡大学教授)
モンゴル国をはじめ、世界中のモンゴル人の間で今、大きな「ハーン」ブームが沸き起こっている。これは、天皇皇后両陛下がこのほど、7月6日から13日までモンゴル国を国賓として正式にご訪問なさったことによるものである。 天皇皇后両陛下のご訪問 今上天皇はモンゴルにおいて「ジブホラント・エジン・ハーン」と呼ばれている。ジブホラントは「令和」のモンゴル語訳であり、エジンは「主君」を意味する。かつて...
「残された親世代は1人だけ」とは言うまい 荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
「残された親世代は横田早紀江さん1人になった」 この言葉は本年2月、北朝鮮による拉致被害者有本恵子さんの父、有本明弘さんが亡くなってからよく聞かれるようになった。 恐らくこう言う人は、家族であれ議員であれ、あるいは支援者、また報道関係者であれ、事態が切迫していることを訴えたいのだろう。しかし、あえて言いたいのだが、この言葉は二つの意味で危険である。 政府認定拉致被害者以外の切...
着々と進む中国の原子力開発 奈良林 直(東京科学大学特定教授)
6月22日から26日まで中国の山東省威海市で開催された第32回原子力工学国際会議(ICONE32)に出席した。この国際会議は、日本機械学会、米国機械学会が1991年に東京で開催したのが第1回で、2005年に中国原子力学会(CNS)が参加するようになった。筆者は東京の京王プラザホテルで開催された第1回から参加している。開催地は輪番制で、日本、米国、欧州、中国の順に開催されている。今年はトランプ米大統...
「不戦」で領土・主権を失っても良いのか 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
沖縄戦終了から80周年の6月23日前後、テレビの番組は戦争体験者の「戦争は絶対やってはいけない」とする声を収録した「不戦」の特集が多く、この傾向は終戦80周年の8月に向けてますます高まって行くであろう。 だが我が国が直面しているのは沖縄県の尖閣諸島を奪おうとする中国であり、核弾頭を搭載できる弾道ミサイルを日本海に撃ち込んでいる北朝鮮であり、中国と軍事協力をして北方を脅かすロシアの存在である。...
電波の戦いに勝利を 荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
私が代表を務める特定失踪者問題調査会では、平成17(2005)年から北朝鮮に向けて短波放送を流している。北朝鮮にいる拉致被害者に家族・関係者のメッセージなどを送って、日本で救出努力をしていることを知らせるとともに北朝鮮の各層に対して拉致被害者救出を求めること、そして北朝鮮の置かれた国際的状況や人権状況などについて情報を注入することが目的である。その目的から放送は「しおかぜ」と名付けられている。 ...
米のイラン攻撃を日本は支持せよ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
米トランプ政権は、イランの核開発関連施設をB2爆撃機搭載の地中貫通爆弾(バンカーバスター)などによって攻撃した。石破茂首相は、メディアから米の攻撃を支持するかを問われ「政府内で議論する」と回答したが、かつてジョージ・W・ブッシュ大統領が北朝鮮、イラクと並べて「悪の枢軸」と呼んだイランの核開発を止めた意義を強調して支持を表明すべきであった。 北朝鮮核開発を思い起こせ 1994年に、当時の...
歴史問題で対日包囲網形成の恐れ 荒木信子(朝鮮半島研究者)
6月3日、韓国左派「共に民主党」の李在明氏が第21代大統領に当選し、4日就任した。同大統領の対日姿勢が危惧されている。 「慰安婦」蒸し返しか 連合ニュースなどの報道によると、韓国の慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)は4日、毎週行っている集会で、新政権に日韓慰安婦合意廃棄、第三者弁済中止を求めると主張した。 このような動きが出ていることは、李在明...
尖閣上空で領空侵犯機が退去しないとき 黒澤聖二(元統合幕僚監部首席法務官)
尖閣諸島周辺で5月3日、中国海警船の塔載ヘリコプターが日本の領空を侵犯した。航空自衛隊南西航空方面隊(那覇基地)所属の戦闘機が緊急発進したが、現場に到着する前にヘリは海警船に着艦していたという。 本件に関してはすでに様々な論評を目にするが、本稿では今後の議論のため、領空侵犯機が退去しなかった場合の問題点などについて検討してみた。 強制着陸後の準備はあるか 国際法上、領海では外国...
米価を下げる根本的対策は減反廃止しかない 山下一仁(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
減反は巨額の補助金を農家に出してコメの供給を減らし、米価を上げる政策だ。水田の4割を減反して1000万トン可能な生産量を650万トン程度に抑えている。減反をやめて350万トン輸出していれば、輸出量を若干少なくするだけで国内のコメ不足は生じなかった。 1993年の平成のコメ騒動の時も、生産可能な1400万トンを減反で1000万トンに減らしていた。それが冷夏で生産量は750万トン程度に減少した。...

