2016年3月の記事一覧
【第365回】トランプ氏の〝正論〟を受け止めよ
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 誤解の余地がないよう最初に断っておくが、米共和党大統領候補として今や本命視されるドナルド・トランプ氏は政治家として全く評価できない。不快極まりない暴言も多い。しかし、その発言中、正論と言うべき部分については、日本としてしっかり受け止め、然るべき対応を取るべきだろう。 トランプ氏は3月26日のニューヨーク・タイムズ紙とのインタビ...
【第364回】政府は財政リスクの説明責任を果たせ
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 安倍晋三首相と経済閣僚らが内外の専門家と意見交換をする一連の「国際金融経済分析会合」が3月半ばにスタートした。政府は会合の目的について、G7サミット(主要7カ国首脳会議)議長国としての責任を果たすためであって、消費増税の是非を判断するためではないと説明している。だが、首相官邸に招かれる専門家の人選を見れば、政府の説明を鵜呑みにす...
【第363回】二つの大津事件
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 3月9日、大津地裁の山本善彦裁判長は、1月から2月にかけて再稼働した福井県高浜町にある関西電力高浜原発3、4号機について、滋賀県の住民29人が申し立てた仮処分を認めて、運転差し止めを命じる決定を出した。これは、わが国司法の歴史に汚点を残す一つの事件と言ふべきである。 明治時代、後に大津事件と呼ばれる大事件が起きた。明治24年(189...
【第362回】日本は太平洋・インド洋安全保障の要に
国基研企画委員 太田文雄 1月末の米国出張に続き、2月末には英国での国際会議に参加した。両方の出張を通じて感じるのは、国際社会の対中認識が極めて厳しくなりつつあるという潮目の変化である。具体的に言えば、誰もが中国の「言葉の戦い」(War of Words)に基づくプロパガンダを相手にしなくなり、中国指導者の発言と実際の行動に大きな乖離があることを認識し始めた。大きな流れ...