公益財団法人 国家基本問題研究所
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大岩雄次郎の記事一覧

「悪いインフレ」の加速が懸念されている。背景は、この約10年間、日銀の異次元の金融緩和にもかかわらず、ほとんど上がらなかった物価が、ここにきて俄かに上がり始めた一方、平均賃金は過去20年以上ほとんど上がっていないのみならず、現状では、大幅な引き上げは期待薄であるためである。 日本経済は、本当にインフレに向かうのか。物価上昇の一面に惑わされず、問題の所在を見極める必要がある。 当面は「悪...

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国基研企画委員兼研究員 大岩雄次郎    31日投票の総選挙で、経済政策に関する重要論点は「成長」と「分配」をめぐる与野党の立ち位置の違いである。日本経済が30年近くに及ぶ低成長に喘ぐ中、立憲民主党の枝野幸男代表は、かつての民主党と同じ轍を踏むことを厭わず、「分配なくして成長なし」を掲げる。  ●成長こそがパイを拡大できる  経済成長が先か、所得分配が先か、と問われれば、...

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10月4日、岸田文雄政権が誕生した。岸田首相は、これまでの成長に偏重した結果、格差を生んだ新自由主義からの転換を図り、「成長と分配」の好循環を実現するための「新しい日本型資本主義」を掲げる。 新政権には、コロナ禍の終息が依然不透明な中、コロナ感染拡大以前から日本経済の抱えていた課題、すなわち経済成長の回復と財政再建に抜本的に取り組む政策の立案、実行が求められる。「新しい日本型資本主義」がこれ...

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 中国は2020年10月から中央銀行デジタル通貨(CBDC)のデジタル人民元(e-CNY)の大規模な実証実験を行っており、2022年2月の北京冬季オリンピックで試験的発行を目指している。 中国がデジタル人民元の開発と早期導入を図る背景には、直接的なきっかけと言われるリーマン・ショックによるドル安に伴う損失及び米政権による金融制裁に対する対応策として、米国ドル依存を軽減するために人民元の国際化...

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 イタリア・ベネチアで開かれていた主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は7月10日(日本時間11日未明)、新たな国際課税ルールで「歴史的な合意を成し遂げた」とする共同声明を採択した。 新ルールは、法人税の引き下げ競争に歯止めをかける15%以上の最低税率導入と、多国籍企業の税逃れを防ぐデジタル課税導入が柱になっている。新ルールは、経済協力開発機構(OECD)が7月1日に大枠合...

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 海外では新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいる国では経済が回復している。日本経済の行方も、接種スピードにかかっていると言っても過言ではない。 先進国の中で日本の接種は出遅れたとはいえ、今後スピードが加速し、新型コロナの収束・終息が見込める状況になれば、早晩コロナ禍以前からの問題として抱えていた潜在成長力の強化や財政の健全化といった重要テーマが経済政策の中心になる。 なぜ伸び悩む...

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 財務省が8月19日発表した7月貿易統計速報によると、貿易収支が4カ月ぶりに116億円の黒字に転じた。黒字と言っても、日本からの輸出額は5兆3689億円と対前年同月比では19.2%減少した。輸入額も5兆3572億円と同比22.3%の減少で、貿易全体が縮小したままであることに変わりはない。本格的な経済回復の時期は、依然不透明である。 7月は世界各国で経済活動の再開が進んだことを受け、米国向け輸...

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 新型コロナウイルス感染の収束が依然見えない中、4~6月期の国内総生産(GDP)の大幅な減少は避けられない状況である。3期連続のマイナス成長で、リーマン・ショック時を上回る可能性は極めて高い。 戦後最長と期待された景気拡大も、2018年10月をピークに途絶えたことが分かり、戦後最長の「いざなみ景気」(2002年2月∼2008年2月の73カ月間)超えも幻に終わった。既に景気後退局面に入っていた...

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 中国の国内総生産(GDP)は、新型コロナウイルスの影響で1~3月期は前年同期比6.8%減と統計開始以来、初のマイナス成長に陥ったが、4~6月期は物価変動を除いた実質で同比3.2%増と市場予想を上回る回復を見せた。なお、年初来の1~6月期で見ると、前年同期より1.6%減で、依然としてマイナス圏で推移している。 足下の急速な回復は、まずは、一定の感染抑制による生産活動が再開できたことによるが、...

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 日本の経済情勢を分析する国際通貨基金(IMF)の対日報告書(1月10日公表)によれば、高齢化と人口減少は生産性と成長を押し下げ、現行の政策を続けた場合、40年後の実質国内総生産(GDP)が25%下振れする可能性があると警告している。  一般に、経済成長(GDPの増加)は、生産要素である労働の増加及び資本、並びに全要素生産性(TFP:Total Factor Productivity)の増加によ...

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 新型コロナウイルス感染の拡大以前から、日本経済は長期低迷に喘いでいる。奇しくも、コロナ感染は、その主要な低迷要因である国際競争力の低下、つまりデジタル化の遅れに伴う生産性の低さの実態を露にした。  コロナ感染は必ず終息する時が来る。急速な人口減少が見込まれる中、コロナ感染終息後の社会・経済的変化を踏まえて、コロナ感染以前に掲げられた第4次産業革命、働き方改革の実効性を高め、生産性向上に繋げる抜...

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 新型コロナウイルスとの戦いは、感染の加速度的な増加を抑え込む局面から、感染収束を見据えた経済回復への対応が求められる局面にさしかかった様子である。とはいえまだ入り口に過ぎず、感染の収束と経済回復を確かなものにするためにも、いまが正念場である。  世界経済フォーラム(WEF)によれば、深刻な感染症および比較的深刻な感染症にかかると、世界全体の年間コストは約5700億ドル(約60兆円、世界の所得の...

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 政府は17日、緊急経済対策による2020年度補正予算案の閣議決定からわずか10日足らずで減収世帯に30万円を支給する措置を撤回し、異例ともいえる予算案の組み替えをして国民全員に一律10万円の現金給付を実施すると発表した。  一貫性のない経済対策の混乱はコロナ感染の拡大抑制を遅らせ、終息後の経済回復を遅らせかねない。  ●意味不明の「一律10万円給付」  当初決定した減収世帯に対する30...

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 新型コロナウイルスの世界的感染拡大による景気悪化への懸念や金融市場の動揺を受けて、国内では政府の財政出動による大規模景気対策への期待が高まっている。  ただ、今回の景気後退懸念は、ウイルス感染拡大がもたらした需要、供給に対する一時的ショックであり、2008年のリーマン・ショックのような経済の基礎的条件の悪化によるものではない。したがって、治療薬やワクチン開発に目途が立たない限り、完全終息は見通...

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 経済ショックが起きた時、不安心理のコンテイジョン(伝播)が実態以上の影響を及ぼすことは、アジア経済危機を契機とした様々な影響分析を通して指摘されている。  新型コロナウイルス肺炎も、その正体が不明である故に不安心理は拡大しており、それに伴う経済活動の縮小が加速している。  新型肺炎による中国経済の停滞は不可避である以上、日本経済への影響は小さくないが、危惧すべきは、不安心理が実態以上の経済損...

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国基研企画委員兼研究員 大岩雄次郎    米中両国は2年にも及んだ交渉の末、1月15日、「第1段階」の経済・貿易協定に署名した。「第1段階」であることが今回の合意の成果を象徴している。  協定内容の実体的なインパクトはそれほど大きくない半面、「第2段階」の合意についての不確実性は極めて大きく、予断を許さない状況と言えよう。  ●「合意」という名の一次休戦  「第1段階」...

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 世界貿易機関(WTO)の中枢機能の一つである紛争処理機能が暗礁に乗り上げている。12月10日、「最高裁判所」に相当する上級委員会の2人の任期満了により、委員が1人となり、新規案件の審理を開始できない事態に陥った。  新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は開始以来ほぼ20年を経過したが、先進国と途上国間の対立から合意の見通しは全く立っていない。自由化やルール作りの機能不全に加えて、紛争処理の司法...

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 中国紙「科学技術日報」は11月7日、中国が次々世代通信技術「6G」の開発に向けた調査研究を公式に開始したと報じた。  高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムですら、ようやく限定的な消費者向けサービス始まったばかりで、いかにも気が早い話に思えるが、米国でもトランプ大統領が5月に6Gに言及し、日本でも、政府が11月21日、「ポスト5G」基金を創設することを公表している。  6Gで何ができる...

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 現在の中国では、社会主義市場経済が経済の原則となっている。これは 1993 年の中華人民共和国憲法の改正で計画経済に取って代わったもので、憲法の前文および条文、中国共産党規約、その他の法規や文書でも社会主義市場経済に言及している。(※1)  しかし島田洋一福井県立大学教授が指摘するように、一党独裁下のその実態は、まさにファシズムの一形態に他ならない。  ●途上国扱い許されぬ経済大国  ...

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 米中貿易戦争は、いまのところ米国に利がある。中国国家統計局が10月18日に発表した7~9月期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比6.0%増に留まった。今年4~6月期比で0.2ポイント鈍化し、2期連続で減速した。年間も含めると、天安門事件後の1990 年の前年同期比3.9%増以来最低となった。四半期ベースでは、遡及できる1992 年以降で最低だ。  一方、米商務省が30日発表した7~9月期の...

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 安倍晋三首相とトランプ米大統領は日本時間の9月26日、日米貿易協定の最終合意を確認し、共同声明に署名した。  安倍首相は「これは両国の消費者、全ての国民に利益をもたらす合意になった」と自我自賛してみせた。  一方、トランプ大統領は署名に際して「驚異的な新貿易協定」「米農家にとって巨大な勝利であり、それが私にとって重要なこと」としつつも、あくまで「第一段階」と位置付け、「かなり近い将来により包...

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 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が7月10日の米議会証言において、7月末にも利下げに転じる意向を表明したことで、市場の利下げ期待は確実に膨らんだ。それどころか、一部に、金融緩和の期待まで生んでいる。  利下げが実施されれば、2008年12月以来10年半ぶりとなり、これまでのドル高円安の基調を反転させるリスクが高まる。そのとき、出口戦略を模索すべき日本銀行にとって、進むも地獄、退くも...

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 またもや年金問題が政争の具にされている。金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(令和元年6月3日)を巡る、いわゆる「年金2000万円不足」騒動である。  報告書内容を真正面から論じることなく、野党は、「安心詐欺」「年金破綻」と煽り、政府も報告書の撤回要求や受け取り拒否など火に油を注ぐが如くの不適切な対応で混乱を一層加速させた。  政府も野党も国民に伝える...

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 厚生労働省の毎月勤労統計調査など統計不正の発覚を契機に、一部の野党が政府批判の攻勢を強めている。国内外の問題が山積する中、昨年の森友・加計学園や自衛隊日報問題の時のような「疑惑」追及に名を借りた国会の空転は許されない。  一国の統計データの不正は、国内外の信用を失わせかねない重大な問題である。この問題を政局にすることなく、与野党一体で抜本的な改革を図り、政治の信頼回復に全力を尽くすべきだ。 ...

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 トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は12月1日、ブエノスアイレスでの首脳会談で、90日間の交渉継続を条件に「貿易戦争」を一時休止し、追加関税の25%への引き上げを当面見送ることで合意した。  ただ、この合意は貿易戦争自体の収拾ではなく、当面、現状に留めるだけのものである。共同声明には至らず、米中が個別に発表した声明で中国は90日間の交渉期限にすら言及せず、米国は「1つの中国」政策に触れなか...

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 政府は11月2日、単純労働を含む外国人労働者の受け入れ拡大に向け、新たな在留資格を創設する出入国管理法改正案を閣議決定した。人手不足の解消を要望する経済界の要望に応じ、高度な専門人材に限っていた従来の受け入れ政策を大転換させ、これまで認めてこなかった単純労働の受け入れにカジを切った  人手不足の問題は、これまでも幾度となく指摘されてきた。では、なぜ今回は、具体的な事実の裏付けや具体的な制度内容...

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 トランプ大統領の就任とともに米国の離脱で「漂流」 が懸念された環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、米国抜きの11カ国による「包括的で先進的なパートナーシップ協定(CPTPP)」と名付けられ、12月30日に発効することになった。来年には発効後初の閣僚級の委員会を日本で開催する予定で、新規加盟国についても協議する。  世界1、2位の経済大国である米中の貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る...

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 安倍晋三首相は10月26日、北京で習近平国家主席、李克強首相と相次いで会談し、日本円と人民元を互いに融通する「通貨交換(スワップ)協定」の再開など金融面の連携強化でも合意した。だが、通貨スワップ協定の評価には、一部にミスリードが見られる。今回の協定は、事前に報じられていた通貨防衛のための通貨スワップではなく、為替スワップである。  日銀は「中国人民銀行との為替スワップ取極締結」としている。外務...

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 安倍晋三首相は10月15日の臨時閣議で、消費税率を予定通り来年10月1日に現行の8%から10%へ引き上げる方針を表明した。  10%への引き上げ時には、低所得者対策として、食料品などに軽減税率が導入されることになっているが、この議論に関心が集中しすぎる余り、消費税増税の本来の意義を矮小化させてはならない。  ●「低所得者に優しい」のウソ  軽減税率は、酒類と外食を除く飲食料品や新聞...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    日本政府はこれまで、日米2国間による自由貿易協定(FTA)交渉入りの回避に腐心してきたが、9月26日の日米首脳会談で、2国間の物品貿易協定(TAG)締結に向け、関税協議を含む新たな通商交渉に入ることに合意した。  政府は、TAGとFTAとは全く異なると主張するが、「日米共同声明」の内容によれば、実質的なFTA交渉に繋がる最初の...

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 米投資銀行大手リーマン・ブラザーズが破綻し、世界の金融市場が大混乱に陥った「リーマン・ショック」から9月15日で丁度10年が経過した。  「バブルは崩壊して、初めてバブルと分かる」と語ったのは、政策運営のマエストロ(巨匠)と称されたグリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長だが、足下の世界経済はリーマン・ショック直前をもしのぐ資産(株+債券)バブルの様相を呈している。「百年に一度」と言われ...

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 米国とトルコの関係悪化が表面化し、世界経済の先行きを一層不透明にしている。トルコ通貨リラの対ドル相場は一時20%も下落し、過去最安値を更新した。この影響は、アルゼンチンやロシア、南アフリカなどの通貨安にも波及し、アルゼンチン中銀は政策金利を45%まで引き上げている。  トランプ米大統領とトルコのエルドアン大統領の強権的な政治手法の衝突が、トルコの反米・親中露へと傾斜させている。トルコの民主主義...

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 日本大学アメリカンフットボール部の「反則タックル」事件、東京医科大学の補助金をめぐる受託収賄事件など私立大学のガバナンスが問われる事件が相次いでいる。  これまでも私学の不祥事を契機に、それらを抑制すべく私立学校法の改正が行われてきた。公共性、公益性の高い組織である私立大学は、学校法人(経営)としての私立学校法(私学法)と高等教育機関(教学)としての学校教育法の法的枠組みで運営されている。しか...

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 世界貿易機関(WTO)は7月11日、米中貿易戦争の収束が見えない中で、中国を対象にした貿易政策審査報告書を発表し、中国は依然、市場は閉鎖的な状態にあると指摘した。これに先立ち、米国通商代表部(USTR)は、1月19日に公表した「中国のWTOルールの遵守状況に関する2017年年次報告書」で同様の指摘をしており、米国の主張を裏付けた格好となった。  中国は2001年のWTO加盟にともない、そのルー...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    トランプ米政権は、中国の知的財産権侵害を理由とする制裁関税を予定通り7月6日に発動した。中国も同日、報復関税を発動し、世界一、二位の経済大国が大規模な高関税をかけ合う異常事態に突入した。  日本も含めて多くの国は、自由貿易を錦の御旗に、トランプ政権に対する批判を一様に強めている。トランプ大統領のやり方は極めて拙劣で、効果も疑問...

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 欧州中央銀行(ECB)は6月14日の理事会で、資産を大量に買い入れる量的緩和政策を年内に終了することを決めた。  9月末までは現在の月間300億ユーロの買い入れを続けるが、10月から12月にかけては月間の資産買入額を150億ユーロに減らし、買い入れそのものは12月で停止する。米国に続き、欧州も金融危機を受け導入した措置の解除に向けて一歩を踏み出した。  一方、日本銀行は15日、金融政策決定会...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    メルケル独首相は、イタリア・タオルミーナで昨年開催された前回の主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)における「トランプ米大統領対6カ国首脳」の議論について、「極めて不満とまでは言わないが、極めて困難だった」と評した。今回のシャルルボワ(カナダ)サミットでこの対立の構図はさらに鮮明となり、貿易問題の溝は埋まらず、いったん出され...

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 トランプ米大統領の暴走が止まらない。5月23日には、ロス商務長官に通商拡大法232条(国防条項)に基づき、乗用車やトラックなどの車両や関連部品の輸入が国内の自動車産業を侵害し、安全保障を脅かしている可能性を指摘して調査するよう指示した。鉄鋼・アルミニウム輸入制限と同様の手段を自動車にも適用することを目論んでいる。米メディアによると、トランプ大統領は現在2.5%の乗用車関税に最大25%の上乗せの検...

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 4月17、18日に開催された日米首脳会談での通商政策協議の結果について、政府及び経済界は一様に安堵の胸をなで下ろした様子である。鉄鋼・アルミ商品の輸入制限措置では日本を対象国の適用除外とする確約は得られなかったが、2国間の自由貿易協定(FTA)交渉入りについては言質を与えなかった。新たな市場開放や為替問題への言及もなかった。  しかし、トランプ大統領の「結果の平等」を求める「相互主義」には変化...

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 トランプ米国大統領は、日米首脳会談を目前に控え、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)復帰の〝検討″を指示し、揺さぶりをかけてきた。その真意は知る由もないが、米国内でも株価を変動させるほどの驚きをもって受け止められた。  日本政府は、トランプ大統領の思惑に翻弄されることなく、各国との緊密な連携の上で、TPP11協定(包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP))のつつがない発効に...

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