公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

湯浅博の記事一覧

国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    戦争の犠牲もいとわぬ「瀬戸際政策」は、北朝鮮が長く対米外交に使ってきた得意手である。それを今回の朝鮮半島危機では、逆に米国のトランプ政権が用いているように見える。オバマ前政権が「戦略的忍耐」を名目に、北の核開発を放置してきたツケの処理である。ティラーソン国務長官が国連安保理閣僚級会合で「いま行動することに失敗すれば災いを招く」と...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    3月に東アジアを初訪問した米国のティラーソン国務長官は、北朝鮮に対する「戦略的忍耐は終わった」と宣言した。では、北朝鮮の核開発を断念させる手立ては、本当に残されているのだろうか。オバマ前政権の「戦略的忍耐」という不作為のおかげで、北朝鮮はすでにソウル、東京、グアムを破壊する能力をほぼ手中に収めている。長官が「あらゆる選択肢を検討...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    予測不能のトランプ米政権下で、日米同盟はどのように生き残るのか。トランプ大統領は就任演説で「古くからの同盟を強化する」と述べ、安倍晋三首相も日米同盟を「永遠の同盟」と位置づけている。しかし、大統領は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を葬り、1980年代の古いイメージで日本の不公正貿易をなじるばかり。対中抑止に欠かせない同盟の行...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    なんといっても、安倍晋三首相とプーチン大統領の日露首脳会談は、日本にとって最悪のタイミングで行われた。「プレス向け声明」のどこを見ても、北方4島にかかわる「領土」も「国境」という記述がない。共同経済活動が最大の成果というのなら、ロシアのプーチン大統領の笑い声が聞こえてきそうだ。  ●安倍首相の目論見は雲散霧消!  安倍首...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    米国の次期大統領に決まったドナルド・トランプ氏の世界観や戦略観がいまだに分からない。公約通りに偏狭な米国第一主義を貫けば、東アジアでは「米国離れ」が進み、情勢は不安定化するだろう。もちろん、米国のプレゼンス低下は、中国が地域覇権を固めることに直結する。  安倍晋三首相の素早い対応は、米国を孤立主義への傾斜から引き戻す一定の役割...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    内外の新聞、雑誌、ネットの世界で、南シナ海や東シナ海での米中の軍事行動が報じられない日はほとんどない。中国は年明けから南シナ海の人工島に軍用機を着陸させ、2月に入って南シナ海のパラセル諸島に地対空ミサイルを配備し、さらにスプラトリー諸島にはレーダー施設の構築を進めつつある。中国はいずれのケースも、米国の偵察衛星を意識して、既成事実を...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    世界の目が中国による南シナ海の「独り占め」戦術に注がれている隙に、東シナ海の尖閣諸島周辺で中国公船がプレゼンスを高めている。中国人民解放軍が採用する孫子の兵法「虚実篇」は、相手の目をくらまして戦うことを旨とするから、日本は油断なく備えを固めるべきである。2014年以降、安倍晋三首相と習近平国家主席が首脳会談を重ね、日中関係が好転しつ...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    東南アジアの南シナ海沿岸国が、自国の排他的経済水域(EEZ)で違法操業をする中国漁民を逮捕、起訴しても、中国はこれまでになく抑制的になった。2010年に東シナ海の尖閣諸島周辺で起きた中国漁船体当たり事件で、日本に抗議や報復をしたのとは明らかに違う。露骨な威嚇を抑え、口調も穏やかだ。  ●カネによる支配  しかし、これをもって...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    中国が脚本、演出から主役まで独占する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)が、どうやら危険な船出をするようだ。今年10月に北京で、20カ国以上の参加国が設立に向けて基本合意をした。アジア地域で実績のある日本主導のアジア開発銀行(ADB、本部マニラ)に対抗し、中国主導でインフラの整備に乗り出した。  アジア各国が躍進する中進国として...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博     新興大国の5カ国が、戦後の国際通貨秩序であるブレトンウッズ体制に挑戦を開始した。主導したのは中華帝国の夢を見る中国である。5カ国は頭文字からBRICSと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで、途上国のインフラ整備を支援する「新開発銀行」の設立を決めた。中国は脚本と監督を用意して主導権を握り、やがては、資金支援に名を借...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    南シナ海に「9段線」と呼ばれる境界線を勝手に引き、沿岸国から島々を分捕る振る舞いは、まるで19世紀の帝国主義のそれである。フィリピンから強引に島を奪取した中国が、今度はベトナムと争うパラセル諸島で、石油掘削装置(リグ)の設置を強行した。リグを護衛するために、7隻の軍艦を含む80隻という異常な数の艦船を動員している。元来、争いごと...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    憲法を国民の手に取り戻すことを狙いに、産経新聞が「国民の憲法」要綱(起草委員長・田久保忠衞国基研副理事長)を世に問うて1年が過ぎた。今度はその英訳版を出して、なぜ、いまの日本に新しい憲法が必要なのかを内外に訴えている。「性奴隷」や「戦争神社」など日本を貶める言葉が中韓に使われる現状に対し、この英訳版で「日本がいかなる国を目指して...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    西太平洋の海洋覇権を狙う中国が、対米核戦略がらみで南シナ海を聖域化することが現実味を帯びてきた。米太平洋軍のロックリア司令官が3月25日の上院軍事委員会の公聴会で、中国は射程7500キロ以上の長距離弾道ミサイルを搭載した潜水艦を年内に完成させるとの見通しを明らかにしたからだ。  米議会の諮問機関である米中経済安全保障調査委員会...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    久しぶりに中国の外務省が元気だ。安倍晋三首相による昨年末の靖国神社参拝で、外交的な巻き返しのチャンス到来と判断したのだろう。全世界の中国大使に訓令を出し、「安倍首相が軍国主義の亡霊を呼び起こした」(劉暁明駐英大使)との非難キャンペーンを展開している。常識的に考えれば、2世代も前の日本軍国主義より、現役の中華帝国的な行動の方がよほ...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    自民党の安倍晋三政権は発足から半年で参院選挙に圧勝し、ついに衆参のねじれ現象を解消した。安倍首相が自ら衆院解散を仕掛けない限り、向こう3年間は国政選挙がない。貴重なこの期間に、首相がどこまで持論の「強い日本」を取り戻せるかが焦点になる。参院選後に安倍政権が取り組むべき課題は多い。内政では経済成長戦略、消費税の増税、環太平洋戦略的...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    戦うべき時に攻めの姿勢を放棄すれば、政局運営の主導権が離れていくことは憲政の常である。自民党が参院選の公約原案に憲法改正の発議を定める96条の先行改正を盛り込まず、守りに入ってしまった。安倍晋三首相は憲法改正で「強い日本」にするとの決意を前面に打ち出して参院選に臨もうとしていたのではなかったのか。  ●揺らぐ指導力への期待...

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産経新聞特別記者・国基研企画委員 湯浅博    敗戦後に、日本を封じるためにつくられた日本国憲法は、手つかずのまま66年を生きた。当時の占領軍の指示でつくられた憲法は、天皇の地位を〝人質〟に、第9条で国防まで放棄するよう迫られた。日本無力化の壮大な仕掛けが占領憲法の眼目なのに、日本人はそれを「平和憲法」と読み替えて神棚に祀(まつ)った。気がつけば、改正のない憲法としては日本の...

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産経新聞特別記者・国基研企画委員 湯浅博    日米首脳会談でみせた安倍外交が、「周到な準備」と「一気の決断」で、オバマ大統領から満額回答を引き出したことを高く評価する。安倍晋三首相の積極姿勢が日米同盟の「きずな復活」を強く印象づけ、対中抑止力を確かなものにした。  ●TPP参加へ環境整う  安倍首相にとっての難関は、米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉...

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