公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

太田文雄の記事一覧

 北朝鮮は「核爆発によるEMP(電子パルス)攻撃能力を手にした」と威嚇、我が国の対策が問われている。  ●北のEMP攻撃で甚大な被害も  元来、EMPは落雷によって電子機器が使えなくなる状況と同じである。EMP防護のためのスペックを、保有している電子機器に加えるとなると莫大なコストが必要になるが、簡単な防護方法は落雷同様、コンピューターの電源を抜く、あるいは携帯の電源をOFFにすれば良いだ...

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国基研企画委員 太田文雄    平成30年度予算案の概算要求で、防衛予算の要求額が過去最大の5兆2551億円となった。しかし、防衛省概算要求資料の過去の推移グラフを見ると、防衛予算は平成15年度から24年度まで10年連続して減少し、平成25年度から微増に転じてやっと平成14年度のレベルに戻ったにすぎない。早速、中国外務省は「高い警戒に値する」と表明したが、1989年以降、数年前ま...

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 北朝鮮は29日早朝、西岸から中距離弾道ミサイルを発射、ミサイルは北海道上空を通過して太平洋上に分離して落下した。数日前には短射程の弾道ミサイルを数発、日本海に向けて発射したばかりだ。危険極まりない挑発行為であり、断じて許すことはできない。  北朝鮮は8月上旬、中距離弾道ミサイル「火星12号」4発をグアム島周辺に包囲射撃すると予告、これに対してトランプ大統領は「世界が見たこともないような炎と怒り...

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 6月、伊豆半島沖のフィッツジェラルドに引き続き、今月21日には、マラッカ海峡で米イージス駆逐艦ジョン・S・マケインが衝突事故を起こし、多くの死傷者、行方不明者が出た。死傷した米海軍水兵には心からのお悔やみ、お見舞いを申し上げたい。行方不明者についても一刻も早い救出を望みたい。  一連の事故の原因については、サイバー攻撃の可能性も指摘されている。両艦とも最新のイージス艦であるが、航法についてはハ...

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 NHKが8月13日に放映したドキュメンタリー番組『NHKスペシャル731部隊の真実~エリート医学者と人体実験~』について、中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」系のタブロイド紙「環球時報」は、8月16日から3日連続で取り上げるという異例の報道ぶりだった。特に16日の報道では、NHKと書かれた背広を着た人物が曇ったガラス戸を綺麗に拭っているイラスト画まで使っている。  731部隊は細菌戦研究を...

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 昨年7月26日付の本欄で、「ウクライナは虐められているだけの国か?」と題して、ウクライナから中国に莫大な兵器輸出が行われていることを書いた。その中で筆者は、一昨年7月に東京で開かれた国際会議で、その事実を当時のウクライナ第一副外相、ナタリア・ガリバレンコ女史に問い質したところ彼女は「知らない」と回答を拒んだことも併せて紹介した。今回、国際戦略問題研究所(IISS)の専門家が北朝鮮の新型ICBMエ...

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 北朝鮮が、グアム島周辺の海上を狙って弾道ミサイル(火星12号)4発を同時発射する計画を検討中だと発表してから、上空通過するとされた中国・四国地方に、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC-3)が4基、日本海には海上自衛隊のイージス艦がそれぞれ配備された。島根・広島・愛媛・高知4県の知事は13日、政府に発射への対応強化を緊急要請するため、相次いで上京した。国民は、弾道ミサイル防衛が期待通りの...

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国基研企画委員 太田文雄    平成29年版の防衛白書が公表された。読んでみて、第一部の「わが国を取り巻く安全保障環境」と第二部の「わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟」が乖離しているという印象を受けた。  ●グレーゾーンへの備えは十分か  第一部では第1章の「概観」で「(純然たる平時でも有事でもない)グレーゾーンの事態が増加・長期化」と明記され、第2章第4節の「ロシ...

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 「郷間」と「内間」とは『孫子の兵法』用間篇第十三に出てくる5つの種類の「間」(間諜:Secret Agent)の最初の2つである。「郷間」とは現地に土着して情報を齎もたらす間諜、「内間」とは相手側に内通している間諜である。  ●『孫子の兵法』にみる「間諜」の具体例  日本は中国国内の土地・建物を取得することができないにも拘らず、日本では中国資本による国土の買収が続いている。7日から8日に...

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 28日深夜、北朝鮮が再び大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。ミサイルは、いずれもこれまでで最大最長の時間、高度、距離を飛翔し、日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海に落下した。これまでICBMとは認めていなかった中露も認めざるを得なくなるであろう。  軍事的に見れば、深夜でも発射できる全天候型の実戦的能力を示威したことになる。北朝鮮にとってみれば、前回7月4日の発射だけでは大気圏再突入...

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 中国とロシアの両海軍は22日、バルト海で合同軍事演習の開幕式を行なった。演習は第1部と2部に分かれており、今回は第1部。第2部は9月中旬に日本海とオホーツク海で行われるというから穏やかではない。  これまで中国共産党は、まず主敵を定め、それに協力できる国・勢力と「統一戦線」を組み、主敵が衰退した後に、統一戦線を組んできた相手を攻撃するという歴史を重ねてきた。  ●主敵の敵と組んで戦わせ疲...

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 22日、電磁式カタパルト(射出機)を装備した最新鋭の米原子力空母「ジェラルド・R・フォード」が就役した。電磁式カタパルトは、これまでの蒸気式カタパルトに比して航空機の発艦出撃回数が大幅に改善される。  一方で4月26日、中国海軍は空母の2番艦を進水させた。旧ソ連製の1番艦「遼寧」と比べると、レーダーには機械的ではなく電子的に回転し、広範囲をカバーする高性能の「フェーズド・アレー・レーダー」を装...

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 7月2日に中国海軍の調査船が、通常と異なるルートで津軽海峡の我が国領海に侵入したのに続き、15日には中国海警局の船が、対馬海峡東水道の領海に2回にわたって一時侵入した。17日、この同じ海警の公船2隻が、今度は津軽海峡の領海に2回にわたって一時侵入した。一連の領海侵入は何らかの明白な意図の元に行われていると見るべきだろう。  国際海洋法条約では他国の排他的経済水域(EEZ)では勿論のこと、領海内...

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 産経新聞などの報道によると、北朝鮮や中国の漁船が、日本の排他的経済水域(EEZ)である日本海の大和堆やまとたいで違法操業を続け、取締りの水産庁船に対し、北朝鮮漁船が小銃の銃口まで向けたという。  筆者は青森県大湊を母港とする護衛艦の艦長に任じていた時、佐世保に向かう際には常に大和堆で漁船を避けつつ航行に苦労した体験から、この辺が好漁場となっていることを認識している。  武器を携行して国から報...

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 7月11日、ドイツのアデナウアー財団と米テンプル大学が共催した「2017年のアジアとヨーロッパにおける安全保障チャレンジ」会議が都内のホテルで開かれ、筆者は「孫子の兵法に基づく中国の海上ハイブリッド戦」の講演を行った。  ハイブリッド戦とは、住民の自決権などを名目に民兵を装った特殊部隊を駆使し、正規軍によらず領土拡大の成果を得ていく作戦形態を指す。ともすると、ウクライナ紛争のようにロシアの専売...

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 敢えて7月4日の米独立記念日に合わせて北朝鮮は高高度で打ち上げるロフテッド軌道により大陸間弾道弾(ICBM)を発射、成功させた。  6月19日付の「ろんだん」で筆者は次のように指摘した。 「北朝鮮は4月15日に行なった軍事パレードで新しく登場させた弾道ミサイル5種類のうち、既にKN-17は4月29日に、火星12号は5月15日に、北極星2号は5月21日に、それぞれ発射・成功させた。残る2種類は...

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 6月28日、内閣府と青山学院大学が共催する「国際平和協力法25周年記念公開シンポジウム」に参加した。  元国連事務次長の明石康氏の「グローバルな枠組みの中でこそ初めて平和が享受できる」という主張は、一般論としては納得できるものの、南スーダンのように指導者間の内紛で治安が悪化している場所に何故貴重な自衛官の生命の危険を晒してまで派遣しなければならないのか理解できない。  ●派遣人員の3倍は...

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国基研企画委員 太田文雄    6月20日、米下院軍事委戦略戦力小委員会は2018年度国防授権法案の最終原案で、ロシアが2月に欧州へ配備した巡航ミサイルSSC8を中距離核戦力(INF)条約違反と認定、1987年に米ソが射程500〜5500キロのミサイルを全廃した同条約からの離脱を大統領に勧告するとともに、地上移動発射式巡航ミサイルの開発と導入を進言した。  米国ではロシアの軍事...

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 5月30日に北朝鮮は対艦弾道ミサイルを発射して朝鮮中央通信は「7メートルの精度で目標に命中させた」と報じた。中国の対艦弾道ミサイルであるDF-21Dですら平均誤差半径(Circular Error Probability-CEP-)が30〜40メートルとされているのに、独自の航法衛星を保有していない北朝鮮がそんな精度に達するはずはない、と眉唾ものだと思っていた。  ところが、香港を拠点とする日...

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国基研企画委員 太田文雄    6日、米国防総省は2017年版の中国軍事情勢に関する年次報告書を公表した。外国メディアには、同報告書が着目した中国の宇宙開発を取り上げた記事が多い。5月に米国家情報長官が上院の委員会に提出した「米情報機関の全世界脅威評価」で、全28ページのうち約2ページを割いてロシアや中国などによる宇宙の軍事利用を取り上げていることと併せて今回の報告書を読むと、い...

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