公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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2024年3月の記事一覧

国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    日銀は3月19日の金融政策決定会合で、金融政策の基準となる無担保オーバーナイト・コールレート(銀行間で資金を一晩融通する時の金利。以下「コールレート」)をマイナス金利(直前の平均はマイナス0.008%程度)から0~0.1%程度で推移するように改め、利上げに転じた。同時に、10年物国債の利回りの上限の目処を1.0%とする長短金利操作(...

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国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志    岸田文雄首相は今年9月までの自民党総裁の任期中に憲法改正実現を目指すと繰り返し表明してきた。もちろん実現を強く望むが、最近は党内の保守派の支持をつなぎとめるための単なるスローガンとなっているのではないか。掛け声だけで何ら指導力を発揮しないと、とても9月までに改正は実現しない。  ●条文化、なぜ「今国会中」でないのか  岸...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    日銀は18、19日開催の金融政策決定会合でのマイナス金利政策解除に向け、著しく前のめりだ。連合集計の春季労使交渉賃上げ率が5.28%と33年ぶりの高水準で、2%の物価上昇目標達成のメドが立ったとの判断によるが、現実には国内需要の回復は弱々しい。利上げ決定以前に、デフレを再発させない確固とした決意と十分な説明を日銀に問いたい。 ...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力    私は2月19日の本欄で「近く、岸田(文雄)首相訪朝があり得る」と書いた。2月15日に北朝鮮の事実上の権力ナンバー2である金与正労働党副部長が訪朝の可能性に言及する談話を出したことを受けたものだった。ところが、マスコミと専門家の多くは、談話では拉致問題を障害物としない限り、という前提条件を付けているとして、訪朝の可能性を疑った...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者  田村秀男    3月11日に閉幕する中国の全国人民代表大会(共産党主導の疑似国会)で、習近平政権は不動産バブル崩壊不況に対し、根拠に乏しい高経済成長見通し以外に有効な政策を示せなかったが、警戒すべきは別にある。経済衰退の焦燥が習氏を対外膨張路線へと駆り立てることだ。  ●ウォール街に見放された  本欄1月22日付で論じた通り、中国の国内...

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国基研企画委員兼研究員 湯浅博    バイデン米大統領が7日に行った一般教書演説は、自由と民主主義が「国内外の両方で同時に攻撃にさらされている」と警鐘を鳴らし、ウクライナ支援を力強く打ち出した。侵略国家ロシアの優位は、力で現状変更しようとする中国を勇気づけるから、ウクライナ支援は日本の国益とも合致する。バイデン氏が議会に呼び掛けたように、これ以上ロシアのプーチン大統領を喜ばせない...

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国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文    ウクライナ侵攻直後、プーチン・ロシア大統領が核兵器を「戦闘態勢」に移行すると発言したことを受け、英BBCは「これによりロシアが『戦術』核兵器を使用する恐れが高まった。全面的な核戦争とまではいかないが、劇的な展開だ」と報じている。バイデン米大統領も昨年6月、「プーチン氏が戦術核を使うことを懸念している」と述べ、危険性は「現実のものだ」と...

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国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志    自民党がガバナンス(統治)機能不全に陥っている。  衆院政治倫理審査会の開催をめぐって、出席者の人選や公開の在り方で与野党が対立し、最後は岸田文雄首相(党総裁)が自ら出席を申し出ないと事態を打開できなかった。国会対応の最終的な責任者である茂木敏充幹事長がほとんど動かなかったためである。  岸田首相が派閥による政治資金パーティ...

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国基研企画委員・麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男    円安、物価高騰の影響で、防衛装備品の調達価格が高騰し、「防衛力の抜本的強化」が危ぶまれている。2月19日、防衛省の有識者会議で、座長の榊原定征経団連名誉会長は「為替変動を考えると、5年間に43兆円の枠で防衛力強化ができるのか。現実的な視点で見直す必要がある」と問題提起した。  これに対し木原稔防衛相は20日、「必要な防衛...

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