2015年3月の記事一覧
【第292回】米の行動いかんで中東は大変動
国基研副理事長 田久保忠衛 日本では同意してくれる人は多くないと覚悟しているが、戦略的要衝である紅海の出入り口に位置するイエメンにサウジアラビアが攻撃を加え、アラブ連盟11カ国がサウジ支援態勢を固めたニュースは、この上なく大きいと思う。イスラム教スンニ派のサウジが敵視しているイエメンの組織はイランが背景にいるシーア派武装勢力「フーシ」で、中東においてイランとサウジの代理戦...
【第291回】アジア投資銀参加で中国の地域覇権を助けるな
国基研研究員兼企画委員 冨山泰 中国が主導して年内に設立を目指している「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)に、日本政府からも参加の可能性を探る動きが出ているようだ。とんでもないことである。AIIBの構想は、アジアから米国を排除してこの地域で優越する立場を築こうとする中国の長期戦略の一環として打ち出されたものであり、これに出資国として参加することは、中国の地域覇権掌握に力を...
【第290回】理解し難い鳩山元首相の言動
北海道大学名誉教授 木村汎 鳩山由紀夫元首相は3月11~12日、ロシア政府からビザを取得して、クリミアに入った。日本政府はウクライナのクリミア自治共和国のロシアへの併合を承認していないので、元首相による訪問はわが国の外交的な立場を侵犯する行為に他ならない。しかも、鳩山元首相は滞在中、クリミアが「ウクライナの憲法に則って、民主的、平和裡にロシアへと編入された」ことを力説した。...
【第289回】米国務次官発言と中韓の反応
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 「どこであれ政治指導者が、かつての敵をけなして安っぽい喝采を得るのは簡単だが、そうした挑発は麻痺を生むだけで進歩は生まない」という、慰安婦問題を例に挙げてのウェンディ・シャーマン米国務次官の発言(2月27日)を、朴槿恵大統領への批判と捉え、韓国のメディアや政界が強く反発した。 ●示唆的な中国御用学者のコラム 一方、中国...
【第288回】歴史情報戦をどう戦うか
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 韓国の朴槿恵大統領が3月1日、恒例の独立運動式典の演説で、「日本が勇気を持って率直に歴史的事実を認め」、元慰安婦たちの「名誉回復」のための措置を取るよう(何百回目かの)要求を行った。しかし、困窮から苦界に身を沈めた女性たちに同情こそすれ、彼女たちを侮蔑するような日本人は、少なくとも私の周りにはいない。すなわち、貶めてもいない「名誉...