2025年 8月の記事一覧
【第1281回】中国の軍事パレードをボイコットせよ
国基研研究員 中川真紀 9月3日、中国の天安門広場では「中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利80周年」記念閲兵式(軍事パレード)が開催される。 この軍事パレードには各国や国際機関の要人が招待されている。10年前の70周年軍事パレードには、ロシアのプーチン大統領、韓国の朴槿恵大統領、国連の潘基文事務総長等が出席、欧米諸国も外相や在中国外交官等を派遣した。 中国...
【第1280回】EUより稚拙だった日本の対米関税交渉
国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗 日米関税交渉は7月23日に合意に達したとされ、米国の新たな関税が8月7日から実施されている。しかし、日米間で一時、理解が違っていたことが判明した。それは、貿易相手国によって差別されない従来の関税率が、貿易条件を相互に対等にするためとしてトランプ政権が一方的に導入した相互関税率(15%)以上の場合に、①従来の関税率のみが適用されるのか...
【第1279回】北朝鮮がロシアの戦争に戦闘部隊7万増派
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 北朝鮮が7月から戦闘部隊7万人をロシアのウクライナ侵略戦争に追加派兵しているという情報を北朝鮮内部につながる信頼できる筋から入手した。増派された戦闘部隊はウクライナ領内でロシア軍が展開しているウクライナ軍との戦闘に参加している。同じ時期、北朝鮮の工兵部隊7万人、民間労働者6万人も追加派遣されたという。 ●ウクライナ領...
【第1278回】ウクライナ和平の秘策は対中高関税だ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 トランプ米大統領によるウクライナ和平工作は難航を極めているが、前進させるための秘策がある。高関税を手段に、中国の対ロシア支援をやめさせることだ。 ●中国がロシアの戦争を下支え ロシアが西側の経済制裁にもかかわらずウクライナでの消耗戦を続けられるのは、中国が貿易と金融の両面でロシアへの大規模な支援を続けているからだ。 ...
【第1277回】いつまで核の議論から逃げるのか
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 核廃絶は人類の究極の目標であり、理想である。しかし、どれほど核廃絶を唱え続けても、核弾頭が増加しているのが現実の世界である。使用可能な核弾頭は2018年以降増加に転じ、現在、世界全体で9615発となった。中国はこの7年間で360発増加させ600発、北朝鮮は35発増やし50発を保有している。米国防総省は「中華人民共和国の軍事・安全保障動...
【第1276回】戦後80年の「石破見解」に反対する
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 慰安婦問題に関する「河野談話」と同じようなことが繰り返されるのか。石破茂首相が戦後80年に際して発表しようとしている「石破見解」のことである。平成5(1993)年、慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官(当時)の「河野談話」は宮沢喜一内閣の末期に出され、閣議決定はなかった。石破政権も末期状態にあり「石破見解」も閣議決定をする予...
【第1275回】日米関税合意の疑念を払しょくせよ
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 難航していた日米の関税交渉が急転直下、合意に達した。トランプ米大統領は「史上最大の歴史的合意」と国内向けに成果をアピールしている。 ●内容的には合格点 内容的には、日本にとっても大きな成果と言っていいだろう。 8月1日から課されるとされていた25%の相互関税は15%にとどめた。これは対米貿易黒字国の中で最も低い水準だ。...
【第1274回】関税交渉:ディールかルールか
国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗 日米関税交渉は7月23日、合意に達した。最も関心を集めたのは、日本の主要産業である自動車とりわけ乗用車の対米輸出関税である。15%で合意されたが、4月3日から一方的に25%もの追加関税をかけられていたので、歓迎する向きもあるが、本来、日米貿易協定では、乗用車の関税率は2.5%であり、一挙に6倍の水準に引き上げられたことになる。 ...
【第1273回】創生『日本』が自民党の軸となれ
国基研企画委員・麗澤大学特任教授 江崎道朗 石破自民党は昨年の衆院選、今年の都議会選、そして今回の参院選と3回続いて敗北した。 一方、2012年12月の衆院選以来、アベノミクスと積極的平和主義を掲げた安倍自民党(第2次政権)は連戦連勝し、現役世代を含む幅広い世代からの支持を獲得した。 自民党の支持率が低迷しているのは安倍路線を見失ったからではないか。そう考えた派閥横断...
【第1272回】中国の政変はあるのか
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 中国の習近平国家主席が、新興国グループのBRICSサミット(7月6~7日、リオデジャネイロ)を欠席したことから、いろいろな憶測を呼んでいる。習主席が中国主導の組織とも言えるBRICSサミットを欠席したのは初めてであり、一部では、習主席に深刻な健康問題が起きているとか、党内権力闘争が激化して北京を離れられない状況であるといった報道がなさ...
【第1271回】「媚中派」が自民党No.2である嘆かわしさ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 これを「媚中」と言わずして何と言おうか。日本産牛肉の対中輸出再開に向けた自民党の森山裕幹事長の対応である。日中友好議員連盟会長を務める森山氏は、来日した中国の何立峰副首相と7月11日に大阪市内で会談した。何副首相が中国国内手続きの完了を伝えたのを受け、日本政府は日本産牛肉の対中輸出再開に必要となる「日中動物衛生検疫協定」が発効した...
【第1270回】憲法改正で国難を乗り切れ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 日本は今まさに国難を迎えている。中国の台湾侵攻準備が着々と進み、台湾・日本有事の危険度が高まる中、米国のトランプ政権は「法の支配」よりも「損得」を優先している。戦後80年の世界秩序維持が崩壊し始めた今、重要なのは、日本の政治指導者がリーダーシップを発揮して、日本をあるべき方向に導くことである。 ●防衛努力の本質は国を守る意志 ...
【第1269回】トランプ砲浴びるのは石破首相の責任―関税交渉
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 7月9日の関税交渉の期限が迫る中、トランプ米大統領が日本に対して不満をあらわにし、30~35%への税率引き上げを示唆して、日本に衝撃が走った。矛先が向けられたのは自動車とコメというお決まりのパターンだ。日本はコメが不足しているのに、米国からコメを受け取ろうとしない、と非難した。日本に圧力をかけて 譲歩を引き出したいのだろう。 ...
【第1268回】原爆正当化発言に米国の自省を求める
国基研理事長 櫻井よしこ トランプ米大統領がオランダのハーグで語ったことを、日本国は聞き流すわけにいかない。氏は以下のように語っている。 「米軍によるイラン核施設の攻撃が(イランとイスラエルの)戦争を終結させた。広島と長崎の例を持ち出したくはないが、本質的には同じことだ。米軍の攻撃が戦争を終わらせたのだ」 普段、控え目で礼儀を重んずる日本人は国際社会への発信も控え目...
【第1267回】首相は参院選で防衛費増額を語れ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 北大西洋条約機構(NATO)とインド太平洋地域のパートナー国との協力深化に向けて、日本が主導的役割を果たしていくのではなかったのか。石破茂首相はオランダ・ハーグで6月24~25日に開催されたNATO首脳会議に招待されていたにもかかわらず、直前で参加を見送った。 NATO諸国の間では従来ドイツに代表されるように中国の巨大市場を重...
【第1266回】時代遅れの戦略文書を年内改定せよ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 北大西洋条約機構(NATO)は6月25日の首脳会議で、2035年までに加盟各国の防衛支出を国内総生産(GDP)比5%に引き上げる目標を承認した。これに先立つ5月31日、ピート・ヘグセス米国防長官はアジアの同盟国に対し、防衛費をGDPの5%へ向け引き上げるよう強く求め、中国による台湾侵攻の可能性に備えるため、より強い危機感を持つ必要があ...
【第1265回】対イラン攻撃は「テロとの戦い」
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 イスラエルと米国による対イラン攻撃は、米国のブッシュ(子)政権が始めた「テロとの戦い」の延長線上で見るべきだ。2001年9月のイスラム過激派テロ組織アルカイダによる米国への同時多発テロに対して、ブッシュ政権は犯罪を扱う警察ではなく、敵の攻撃に応戦する軍隊を動員した。警察が対応する場合はテロリストにも一定の人権を認めて様々な配...
【第1264回】テロ支援国の核武装を許してはならない
国基研企画委員・麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男 6月22日未明(イラン時間)、米軍は3か所のイラン核施設を攻撃した。現時点で損傷の程度は不明だが、トランプ米大統領は国民向け演説で、これら施設を「完全に破壊した」と主張した。 フォルドウ、ナタンツ、イスファハンの3施設に対する米軍の攻撃は、13日から続くイスラエルによるイラン核施設攻撃作戦の延長である。イスラエルによる...
【第1263回】米軍のイラン攻撃を批判できない石破首相
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 石破茂首相のダブルスタンダード(二重基準)ぶりは昨年秋の就任時からたびたび批判されてきた。米国とイスラエルによるイラン攻撃をめぐってもそれが繰り返された。 石破首相は22日午後、米国によるイランの核施設攻撃について「我が国としては、事態を早期に沈静化することが、まずは何よりも重要であると考えている。同時にイランの核兵器開発は阻...
【第1262回】「本当の国難」が生じている
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 防衛相経験者4人が入っているとは思えないお粗末さだ。6月13日に行われた国家安全保障会議(NSC)のことだ。イスラエルによるイランの核関連施設などに対する攻撃について、石破茂首相は約35分間行われたNSCの場で、①情報収集②万全な在留邦人保護③事態の沈静化とイラン核問題の平和的解決に向けた関係各国との連携―の3点を関係閣僚に指示し...
【第1261回】第2列島線の対中拒否能力を強化せよ
国基研企画委員・麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男 6月7日、中国海軍の空母「山東」を太平洋上で監視していた海上自衛隊P3C哨戒機に対し、山東から発艦したJ15戦闘機が水平距離約45メートルまで接近し、約40分間付きまとった。8日にも、山東を監視していたP3Cの進路前方約900メートルを横切るという危険飛行を繰り返した。日本政府は外交・防衛当局のルートを通じて中国側に強い懸...
【第1260回】反日感情の政治利用が心配―新韓国大統領
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 韓国大統領選挙で「共に民主党」の李在明氏が新大統領に選ばれた。得票率は49%だった。尹錫悦政権の与党だった「国民の力」の金文洙氏が41%、保守新党「改革新党」の李俊錫氏が8%だった。 今回の選挙は、昨年12月の尹錫悦大統領(当時)による戒厳宣布のため大統領弾劾が成立したことを受けて実施された。李在明氏と李俊錫氏は、戒厳宣...
【第1259回】日米交渉の情報リークが国益を損ねる
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 日米関税交渉で赤沢亮正経済財政・再生相が5回目の閣僚協議を行った。訪米は3週連続という異例のハイペースだ。異例さは頻度だけではない。米側は中国など他国との交渉も抱え、事務レベルも手薄でパンク状態だ。協議に臨む米国の閣僚3人もそれぞれ交渉スタンスに差がある。交渉の主導役は穏健派のベッセント財務長官とされるが、日本が重視する自動車の追加関...
【第1258回】日本を「真珠湾攻撃」から守れ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 ウクライナは6月1日、小型の無人機(ドローン)による歴史的な奇襲作戦を実施し、多数のロシア空軍機に損害を与えた。ウクライナのゼレンスキー大統領は、この作戦でロシアの戦略航空機の約34%、41機を破壊したと述べており、今後のロシア軍の作戦のみならず、停戦交渉にも大きな影響を与えることになるだろう。 ●ロシアに大打撃を与えたドロー...
【第1257回】中国の侵攻能力強化に日本は目を覚ませ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 防衛省によれば、5月25日から29日にかけて、空母「遼寧」を含む中国海軍艦艇数隻が東シナ海から沖縄本島と宮古島の間の海域を南東進し、太平洋へ向けて航行した。 この間、25、26の両日、尖閣諸島・久場島の北約240キロ及び久米島の北西約190キロの海域において、空母搭載の戦闘機による発着艦が約90回、ヘリコプターによる発着艦が約30回確...
【第1256回】日本は尖閣有効支配の本気度を示せ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 5月3日12時21分ごろから約15分間、尖閣諸島周辺の日本領海内の中国海警船から発艦したヘリコプターが領空侵犯をした。航空自衛隊のF15戦闘機が那覇基地から緊急発進したが、約400キロ離れた尖閣諸島に到達する前に、中国ヘリは海警船に戻った。 中国による尖閣諸島領空への侵犯は3回目である。中国の態様がこれまでと異なるのは、日本の民間...
【第1255回】食料品の消費税をゼロにする財源はある
国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗 食料品、エネルギー価格の上昇を主因に、総合物価指数が上昇率3%台半ばと高止まりしており、消費者の負担が大きくなっている。 食料品の価格上昇は、食料自給率が低いことも相俟って、輸入価格上昇に伴う「コストプッシュ・インフレ」によるところが大きい。コストプッシュ・インフレは実質賃金の上昇が遅れている現状では、国民生活を苦しめる一方、消...
【第1254回】中国封じの決め手は人民元相場の自由化
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 米国と中国は5月10、11日のスイスでの高官協議で、米国の対中関税の145%から30%への引き下げなどで暫定合意した。両国は今後90日間、包括的な経済の枠組みを話し合うという。トランプ米政権が包括協議の主要テーマとして取り上げるべきは、人民元相場の管理制度の撤廃である。 ●貿易秩序を破壊した中国 高関税は百害あって一利...
【第1253回】皇位安定継承を破壊する読売の提言
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 「『安定的な皇位継承の確保』をうたいながら、議論集約をぶち壊そうとしているのではないか」。読売新聞社が15日に発表した皇位継承に向けた提言を読んだある政府高官の感想である。安定的な皇位継承や皇族数確保を図る法案をめぐって、令和4年1月提出の政府の有識者会議が示した皇統に属する男系男子の養子縁組による皇室復帰案と、女性皇族が婚姻後も...
【第1252回】確認できたトランプ政権の拉致解決への意志
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 私は北朝鮮による拉致被害者の支援組織「救う会」会長として、4月29日から5月4日まで、家族会および拉致問題に取り組む国会議員らと一緒に訪米した。トランプ米政権が日本人拉致問題解決への強い意志を持っており、米議会の共和、民主両党議員もそれを支持していることを確認できた。 ●米議会にも連帯の動き ルビオ国務長官がトラ...
【第1251回】米英合意の含意は対中戦略の共有にあり
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 米国と英国が関税交渉で合意した。トランプ米政権による「相互関税」の基本税率10%を堅持しつつ、鉄鋼・アルミニウム、自動車への25%の追加関税については、乗用車への関税を10%に低減する輸入枠を設け、鉄鋼・アルミニウムは無税とした。 石破茂政権は米英合意について聞かれると、米国に高関税の撤廃をあくまでも求めると言う。だがトランプ...
【第1250回】尖閣防衛の抜本的見直しを
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 沖縄県の尖閣諸島周辺で5月3日、中国海警局の艦載ヘリコプターが短時間ながら日本の領空を侵犯した。中国ヘリによる領空侵犯は初めて。日本の民間機が尖閣周辺を飛行したためヘリを飛ばして警告したと中国側は主張しているが、そうした既成事実を積み重ねる「サラミ戦術」を中国は繰り返してきた。日本政府は「極めて遺憾」と抗議したが、従来型対応では限...
【第1249回】中国軍第2の海外基地始動―カンボジア
国基研研究員 中川真紀 4月5日、カンボジア南西部の同国海軍リアム基地で、中国の支援による基地拡張工事の完了式典及び基地内に設置された中国カンボジア・リアム港共同兵站訓練センターの発足式が挙行された。同センターには中国人民解放軍が常駐することになっており、中国はアフリカのジブチ基地(2017年開設)に続く第2の海外軍事基地を実質的に保有した。 ●軍人が常駐、軍艦も停...
【第1248回】VOJを設立し中朝との認知戦を戦え
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 米政府は冷戦時代から、国家予算を投入してソ連、東欧、中国、北朝鮮など全体主義国家の住民に真実を伝える活動をしてきた。今風にいえば「認知戦」である。その担い手がVOA(ボイス・オブ・アメリカ)、RFE(自由欧州放送)、RFA(自由アジア放送)だった。 所属する記者は政府の広報を一方的に流すのではなく、独自に取材して記事を書...
【第1247回】米はドル安誘導を求めず―日米財務相会談
国基研企画委員・京都大学大学院客員教授 本田悦朗 加藤勝信財務相は24日、ワシントンでベッセント米財務長官と会談し、為替政策を巡って協議した。日本側の発表によると、①為替レートは市場で決まる②過度な変動や無秩序な動きは経済と金融の安定に悪影響がある―との認識を双方で再確認した。また、ベッセント氏はトランプ大統領の意向に沿って為替水準への懸念を表明したが、「為替水準の目標」設...
【第1246回】着実に進む中国軍の台湾侵攻準備
国基研研究員 中川真紀 台湾侵攻を担当する中国軍東部戦区が4月1~2日、海上封鎖及び模擬目標への実弾射撃を主体とする統合演習を実施したと発表した。模擬目標への実射を主体とする演習は「海峡雷霆-2025A」と命名された。4月という訓練年度開始早々の統合演習であり、中国が習近平国家主席の指示通り2027年に台湾へ侵攻できる準備を着実に進めていることがうかがえる。今回の演習で主に...
【第1245回】消費税は非関税障壁ではない
国基研企画委員・京都大学大学院客員教授 本田悦朗 非関税障壁とは、関税以外の方法で輸入品の競争力を制限する慣行や法律上の規制・制度を指す。例えば、厳しい品質・安全基準や複雑な手続きが海外からの輸入を阻害していれば、非関税障壁とされる場合がある。トランプ米大統領によると、各国で一般的に採用されている付加価値税の一種である我が国の消費税は、貿易上、不公正であり、非関税障壁である...
【第1244回】トランプ関税で問われる日本の対中戦略
国基研企画委員・麗澤大学特任教授 江崎道朗 米国のトランプ政権が発動した大規模関税によって国際社会は揺れ動いている。我が国も早速、石破茂首相がトランプ大統領と電話会談を行うとともに、赤沢亮正経済再生相を訪米させ、日米協議を行った。 世界のマスコミの大半が、トランプ関税は世界経済及び米国民にとってマイナスであると厳しく批判している。冷戦終結後、国際社会は旧東側陣営を引き込...
【第1243回】石破首相は対米金融協力を打ち出せ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 米国のトランプ政権と中国の習近平政権の高関税の応酬が激しているが、形勢は必ずしも米国有利とは言えない。米国の金融市場に動揺が広がっているからだ。最大の対米投資国、日本の石破茂首相は、さっさとトランプ政権に寄り添い、米国に金融協力する意志を明確に打ち出すべきである。 ●関税戦争、強気の中国 トランプ大統領は高関税砲を敵対...
【第1242回】韓国保守派の極右化を憂える
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 4月4日、韓国の憲法裁判所が尹錫悦大統領を罷免した。韓国は陰謀論に取り付かれて戒厳令を宣布した大統領を憲法の枠の中で退けることに何とか成功した。 ●戒厳宣布の大統領罷免 憲法裁判所は全員一致で、戒厳宣布を重大な憲法違反、法律違反と認めた。韓国憲法は大統領に戒厳宣布の権限を付与しているが、「戦時、事変またはこれに準...