公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

有元隆志

【第1389回】「核のタブー」を完全打破せよ

有元隆志 / 2026.07.27 (月)


国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志

 

 年末に予定される国家安全保障戦略など戦略3文書の改定に向け、小泉進次郎防衛相が国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長主宰のインターネット番組「言論テレビ」で「核政策に関するタブーなき国民的議論」の必要性を訴えた。当研究所が本年4月に発出した「日本が再び核攻撃を受けないために何が必要か、政府主導で議論を起こすことを『国家安全保障戦略』に明記せよ」との提言と完全に軌を一にするものであり、国家防衛の責任者によるこの決断を高く評価する。

 ●「平和ボケ」の政界
 小泉氏が先週、各国の国防相らと会談を重ねた欧州では、核兵器保有国のフランスが核戦力増強へ動き、非核政策を堅持してきたフィンランドすら核兵器の領内持ち込みを容認した。翻ってアジアを見れば、米国防総省の2025年報告書によると、中国は2030年までに1000発超の核弾頭保有を目指す軌道に乗っていると指摘されている。
 日本を取り巻く安全保障環境は欧州以上に苛烈なのである。圧倒的な核の脅威が眼前に迫る中、国家の存亡を左右する「核」の議論から逃げることはもはや許されない。
 しかし、わが国の政界はいまだ旧態依然たる「平和ボケ」から脱却できていない。自民党の安全保障調査会すら野党やリベラルメディアのバッシングを恐れ、戦略3文書改定に向けた提言から「核」の文字を封印した。これは政治の不作為であり、国民への重大な裏切りである。
 小泉防衛相の真っ当な問題提起に対し、直ちに噛みついてきたのは中国であった。同国外務省報道官は「極めて挑発的かつ危険」と非難したが、自国の異常な核軍拡を棚に上げた厚顔無恥な恫喝であり、ブラックジョークに過ぎない。われわれは、このような専制主義国家による内政干渉に断じて屈してはならない。

 ●千載一遇の好機
 非核三原則のうち「持ち込ませず」の見直しを政治信条とする高市早苗首相の下、小泉防衛相が「議論から逃げない」姿勢を鮮明にした今こそ、戦後日本の最大のタブーを打ち破る千載一遇の好機である。
 米国は海洋発射核巡航ミサイル(SLCM-N)の開発および2032 年までの限定的運用配備を目指す方向を公表している。同年以前のできるだけ早い時期に、日本に必要な核抑止の在り方について検討の上、必要な措置を講じることを 国家安全保障戦略に明記することも求めたい。
 中国をはじめとする敵対勢力の情報戦や恫喝を断固として排し、国民の生命と領土を守り抜く強靭な抑止力を早急に構築すべきだ。高市政権の果断な実行を強く期待する。(了)