いわゆる「骨太方針」とは、経済財政運営の基本方針を定めると同時に、「中長期経済財政計画」(今回は2027~40年度)、及び翌年度(2027年度)の予算編成に向けた考え方を示すものであり、毎年6~7月(本年は7月21日)に閣議決定される。今回は「強い経済」を目指す高市早苗政権下で最初の骨太方針であり、予想通り、成長促進の観点から従来の財政運営に相当の変更が加えられる画期的な内容となった。その具体的な実施及び経済効果が注目される。
●PB黒字化は複数年度で概ね達成へ
骨太方針2026の最も基本的な枠組みは、「責任ある積極財政」即ち、持続可能で、かつ経済成長という観点から最も有効な財政支出を実現することである。そのため2027年度を「責任ある積極財政元年」と位置付けた。
今回の方針には「財政規律」という文言はないが、財政規律を無視しているわけではない。従来の財政規律の枠組みは、基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の単年度の黒字化(国・地方の政策経費を国債に頼らず税収等で賄えること)であった。しかし、この基準は歳入と歳出を比べているだけで、仮にPBが赤字で債務残高が増えても、それ以上に経済規模(名目GDP=国内総生産)が拡大すれば、そのような財政運営は持続可能である。
従って、今回の方針では、持続可能性の判断基準として、債務残高の対名目GDP比率(債務比率)が安定的に低下していればよいとしたのである。ただし、我が国の債務比率は大きいので、複数年度で見て概ねPB黒字が達成されていればよいとされた。
●「強く豊かな日本」投資枠を創設
また予算編成上、通常の歳出とは区別して、主に危機管理投資や成長投資を念頭に、「強く豊かな日本」投資向けの特別枠を設けることとした。この投資枠は、企業などが将来の政府支援を見越して経済成長につながる投資を安心して進められるようにすることが狙いだ。真に効果的な投資を民間から引き出すため、予算要求段階でシーリング(上限)を設けることなく、複数年度にわたって予算を執行できることを前提としている。安全保障の観点から特に重要な投資については、特別会計を設けることも提案されている。
さらに、大規模な経済対策を補正予算に依存してきた財政運営を改め、補正予算については緊急のものに限定し、恒常的な施策については当初予算で措置することも打ち出された。当然であろう。
●官民連携の重視が明確に
以上の方針は財政積極主義とも言えるものだが、これまでは、防衛産業のように、民間だけでは十分な投資が進まず、その利益が社会全体に及ぶ分野を除き、政府が企業の投資に直接関与することには慎重な考え方が一般的であった。しかし、近年は経済が複雑化し、民間だけでは対応が難しい課題が増えたことから、政府と民間が連携して投資を進める考え方が重視されるようになっている。今回の骨太方針は、その考え方に基づき、政府が積極的に投資を後押しする姿勢を明確にしたものといえる。(了)




