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西岡力

【第1393回】永住許可厳格化へ「在留10年」も見直せ

西岡力 / 2026.08.03 (月)


国基研企画委員・麗澤大学特任教授 西岡力

 

 政府は外国人の永住許可要件を厳格化する方針を固めた。年収が日本人世帯の平均を上回ることや、年金の受給見込み額が厚生年金に30年加入した場合の標準的な受給額に達していることを原則として求める。10月1日付でガイドラインを改定し、来年4月の申請分から原則適用するという。
 今回の方針に賛成だ。ただし、永住許可者急増の根本的な理由は、平成10(1998)年に日本在留20年の要件が10年に大幅緩和されたことにある。これに関する議論が一切ないことは、事柄の本質がまだ分かっていないと言わざるを得ない。

 ●永住者急増対策を歓迎
 国基研はこれまで「永住許可の急増を止めよ」とする政策提言を繰り返し行い、それを受けて参議院法務委員会は平成30(2018)年に「永住許可申請に対しては、厳格に審査を行うこと」とする決議を行った。外国人政策の見直しを掲げる高市早苗内閣で、今回やっと永住許可者急増への対策がとられた。 
 一部で外国人排除だとする批判が起きているが、的外れだ。永住許可を得ずとも別の在留資格で合法的に日本に住む外国人は排除されない。その資格を更新すれば長期間の在留も可能なのだ。
 ただし、平成10年の永住許可要件大幅緩和に関する議論がないことは、問題である。繰り返し指摘してきたことだが、この年、法務省は永住許可の要件だった日本在留20年を半分の10年に短縮した。その結果、永住許可者が急増した。統計を見よう。永住者は前年の平成9(1997)年末には8万人(在留外国人の6%)だったのが、令和7 (2025)年末に95万人(同23%)に増え、そのうち中国人永住者は2万8000人から35万人に急増した。
 つまり、永住許可者急増の理由は平成10年の基準緩和なのだ。とりわけ問題なのは、在留期限がなく、またどのような活動をすることも許される永住許可を急増させる政策決定が、法改正ではなく法務省の内規改正で行われ、国会でも与党内でも一切議論がなかったことだ。マスコミ報道も皆無だった。今回の方針決定におけるマスコミ報道や専門家らの議論でも、平成10年の基準緩和に触れるものは皆無である。

 ●根本的な制度改正が必要
 今回の厳格化は永住許可者が老後も生活保護を利用せずにいられることを目指すもので、永住許可制度そのものを見直すものではない。国基研は令和6(2024)年に、日本在留要件を20年に戻した上で、永住許可制度を廃止して在留期限があり更新時に国益の観点の審査を行える「定住」制度に一本化することを検討すべきだと提言した。移民を受け入れないという政府方針が変わらないのであれば、早急に永住許可制度の根本的な見直しを行うべきだ。(了)