「中国の経済的威圧が強まる中、日本と台湾は軍民両用部品の分野で『信頼の供給網』を共に築くべきだ」―。台北で10月11日、台湾のシンクタンク「印太戦略智庫」と国家基本問題研究所が共催した「日台科学技術未来フォーラム」で筆者がこう訴えると、会場から賛同が寄せられた。中央通信社や自由時報など台湾の有力マスコミも報じている。翌日、表敬した頼清徳総統もこの提言に賛意を示し、そのうえで、台湾は自らの力で自国を守るとの決意を語った。この覚悟こそ、日本も共有すべきものである。
●突かれた中国依存の供給網
日台は安全保障、経済、心の絆の三つの次元で運命共同体である。今年1月、中国は日本の軍事力向上に資するとみなす最終ユーザーへの軍民両用品目の輸出を禁じ、昨年来輸出規制リストに加えてきたレアアースも含め、日本の供給網を狙い撃ちにした。高市早苗首相の台湾有事をめぐる国会答弁への対抗措置と受け止められている。中国に依存する供給網は、それ自体が安全保障上の弱点なのだ。
そこで筆者は、兵器そのものではなく、政治問題化しにくく、台湾への移転も可能な軍民両用部品の分野における日台連携を提唱した。中核はドローンである。日本は国内市場の約9割を中国製に頼る一方、台湾は「非紅供應鏈(脱中国の供給網)」として輸出を急拡大させている。日本の部品・素材と台湾の製造力を組み合わせ、よりスピーディーな相互貿易が可能となるよう枠組みを確立することが中国に対する抑止ともなる。
●国防の決意が国際連携の前提
頼総統は、このフォーラムの報道に加え、国基研の論考「台湾の戦略的重要性」にも目を通していたようで、特に、論考が台湾の現状維持は日本の国益であると論じた点に賛同してくれた。さらに、「中国の目的は台湾統一だけではなく、最終的には共産党率いる中国が国際社会のリーダーとなり国際秩序を変えることにある」「台湾が中国にのみ込まれれば、日本、インド太平洋諸国にも次々と手を出していくのではないか」との考えも示した。
加えて、台湾は中国の威圧に対して揺るぎない姿勢を保つ決意であり、自国は自らの力で守り、その重責を日米に押し付けはしないとの趣旨を明言した。
同盟国、同志国との連携は欠かせない。だが、最後に国を守るのは自らの意志と力である。台湾の指導者のこの言葉を、日本国民も改めて胸に刻むべきだ。日米同盟に安住することなく、自らの力で守り切る覚悟を持つ者同士であってこそ、日米、日台の連携は真に強固なものとなる。(了)




