公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

田村秀男

【第1403回】日銀は高市成長戦略の流れを止めるな

田村秀男 / 2026.09.24 (木)


国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男

 

 日本銀行は9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げ、1.25%とすることを決めた。24日から適用する。政策金利は慢性デフレ不況に陥る直前の1995年以来31年ぶりの高さとなる。植田和男日銀総裁は今後の連続利上げや大幅利上げの可能性を示唆しているが、高市早苗政権が主導する日本経済再生の流れを止めてはならない。

 ●利上げは内需を冷やす
 日銀の利上げで見逃せないのは、米国からの圧力である。9月初めに米国で開かれた20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、ベセント米財務長官が日本のリフレ政策中止を求める発言をした。国内の有力メディアはこの発言に触発され、利上げを早々と「確定」視して報じ、日銀政策審議委員の多くが利上げに同意した。
 利上げの判断を国内経済情勢に依拠すべき日銀がワシントンの意向に弱ければ、海外の投資ファンドは米政府高官の発言や米金融市場の動きをみて、円や日本国債の売り買いを判断することになりかねない。現に、投機的な円売りが収束し始めていた外国為替市場では、利上げ決定後に円安是正が中断した。
 植田総裁は記者会見で米国からの圧力を否定する一方で、企業物価の上昇の勢いからみて、消費者物価が2%の物価安定目標を上回りかねないと繰り返し強調した。しかし、この説明には無理がある。足元の消費者物価上昇率は2%を下回っているし、物価高騰品目はホルムズ海峡の争乱などに伴うコスト高による食料品とエネルギー関連に限定されている。
 この場合の物価対策は政府によるエネルギー補助や食料品消費税減税が適切だ。国内消費需要が弱い中、現役世代の住宅ローン金利負担や中小・零細事業者の借り入れコストが大幅に引き上げられる。

 ●首相は植田総裁と対話を
 高市早苗政権は「責任ある積極財政」を掲げるだけあって、財政出動には節度を心がけている。国内投資を担う人工知能(AI)関連など戦略17分野への財政資金投入は民間投資の「呼び水」と位置づけるが、肝心の民間投資は内需の先行き見通し次第で決まる。
 補正後の今年度予算と概算要求の段階での来年度予算をみると、税収の大幅増の一部は国債償還に回される。政策支出増と国債増発を抑制する意図が込められている。これだと国債市場安定の材料になる代わりに、税収増加分が十分に民間に還元されない分だけ、内需が圧迫される恐れも生じる。そこに日銀が追加利上げを急ぐと高市政権の成長戦略は狂いかねない。高市首相は植田総裁との対話を急ぐべきだ。(了)