衆院比例代表の議員定数を31削減する法案をめぐり、自民党、日本維新の会、国民民主党の3党が合意に達した。今国会での法案成立は確実な情勢で、実現すれば戦後最大規模の定数削減となる。報道各社の世論調査をみても、国会議員の「身を切る改革」に対する支持は高く、国民の要請に応える第一歩として評価されるべきであろう。
だが、定数削減の実現に安住している暇はない。今回の合意によって、12月12日が会期末の臨時国会を大幅延長する必要がなくなったことで、年末に控える国家安全保障戦略など安保3文書の改定という最重要課題へ全力を注ぐ環境が整ったことこそが肝要である。
日本を取り巻く安全保障環境は戦後最悪と言ってもいい。中国による急速な軍拡と力による現状変更の試み、中露両軍による威嚇的な軍事連携の深化、さらには北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射など、東アジアはまさに有事前夜の様相を呈している。
主権国家としてのわが国の存立を脅かす脅威に対し、政府・与党には安保3文書の改定を通じて、抑止力を根本から引き上げる歴史的責務がある。
●非核三原則の見直しを
今回の改定において避けて通れないのが、高市早苗首相の持論でもある「非核三原則」の抜本的見直しである。政府・与党とも、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」を金科玉条視してきたが、まず「持ち込ませず」から見直す時に来ている。
有事、平時を問わず米軍による拡大抑止の運用を自ら縛り続ける愚挙は、核戦力を加速度的に増強する周辺勢力に致命的な誤認を与えかねない。核搭載艦艇の寄港容認を含む現実的な運用への転換に今こそ踏み切る必要がある。
広大な海域を擁するわが国にとって、原子力潜水艦の導入も焦眉の急である。中露の太平洋への進出が相次ぐ中、継戦能力と探知困難性を兼ね備えた防衛体制を確立するためには、長期間の潜航能力と圧倒的な巡航速力を誇る原潜保有は不可欠だ。
これらを実現するための防衛費の大幅な増額も、財源の議論を口実に遅滞させることなく着実に断行しなければならない。
●最大の責務は憲法改正
国民の生命と領土、領海、領空を守り抜く強固な防衛体制の構築は国家の根幹であり、高市首相には内外の雑音にひるむことなく、確固たる信念と強い覚悟をもって決断を下し、安全保障政策の大転換を成し遂げることが求められる。
そして、政治が成し遂げるべき最大の使命は憲法改正である。制定以来一度も手をつけられず、自衛隊の手足を縛り続けてきた憲法9条の束縛を打ち破るべきだ。自らの国を自らの手で守り抜く体制を整え、9条2項を削除する作業をこれ以上先送りすべきではない。
国会議員定数の削減を単なる帳尻合わせで終わらせることなく、国会は不毛な政争から脱却し、防衛力の抜本的強化と憲法改正という国家百年の大計を直ちに実現すべきだ。(了)




