公益財団法人 国家基本問題研究所
https://jinf.jp/

今週の直言

有元隆志

【第1312回】中国の駐大阪総領事を国外追放せよ

有元隆志 / 2025.11.17 (月)


国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志

 

 中国の古典は礼節を重んじることを強調する。『論語』にも「礼にあらざれば見ず・聞かず・言わず・動かず」との有名な一節がある。「礼に適かなわないことは見たり聞いたり、言ったり行動したりしてはならない」という意味だ。
 その中国から派遣された外交官が、任地国の首相に対して「汚い首は斬ってやるしかない」と、Xに投稿した。高市早苗首相の台湾有事をめぐる国会答弁に反発したということだが、Xに投稿した薛剣・駐大阪総領事は通商、文化交流の促進が主な役割で、大使とは異なり政治に関する職務は担わない。
 本来ならば中国政府が不適任と認め、速やかに帰国させるべきだが、礼節を重んじるのはもはや遠い昔のことなのかもしれない。外交トップである王毅外相自身が、挑発的な発言や行動をする「戦狼外交」の先導者であり、いまの中国政府に自浄能力がないのも当然だ。

 ●意図的な暴言
 薛剣氏は中国外務省で日本語を専門とする王毅外相の後輩にあたる。現在57歳で、60歳定年(今年1月から段階的に63歳まで引き上げ)が近づいている。ここで高市首相に暴言を吐き、ペルソナ・ノン・グラータ(PNG)に指定されて国外退去となれば、中国国内で「英雄」視され、定年延長になるかもしれないと計算したのか。中国の外交官は弱腰で処分されても強腰で処分された例はないとも言われる。日本政府内には浅はかな薛剣氏の「希望」に沿ってPNG指定するよりも、日本国内に留め置き、徹底して無視すればいいとの意見もある。
 それはそうかもしれないが、接受国の首相の「殺害予告」をして許容される前例を作ってはならない。薛剣氏の振る舞いは外交官として逸脱しており、PNG指定をして、国外退去させるべきだろう。

 ●経済安保強化を
 中国政府は対抗措置として在中国の日本の総領事をPNGに指定するだろうし、中国滞在30日以内のビザ(査証)免除の中止など、あの手この手で日本側に圧力をかけてくることが予想される。高市首相は防衛力の強化に加え、かねてから取り組んできたサプライチェーン(供給網)の強靭化に向けた対応を加速すべきだ。
 いずれにせよ、暴言外交官の国外退去に中国政府が反発すればするほど、中国の恥を世界にさらすだけである。王毅外相をはじめ中国の外交官はもう一度『論語』を勉強し直したほうがいい。(了)