高市早苗首相の国会における台湾有事における存立危機事態発言に対して、中国政府は自国民に訪日自粛を求めた。日本にとってこの状況は、ビジネスや観光に「影響が出かねない」(朝日新聞)などと言って右往左往するようなものではなく、むしろ望むところだとの認識を持つべきだ。
●中国人の「爆買い」時代は終わった
新型コロナの大流行前には中国人の富裕層が日本に来て、いわゆる「爆買い」を行い、それによって日本の経済が潤う面もあったが、その時代は終わった。中国では数年前からの不動産バブル崩壊不況により、国民の購買意欲が極端に低下し、今月11日の「独身の日」では全くと言って良いほど購買意欲が感じられなかった。即ち中国人の爆買いにより日本経済の向上を期待する時代は終わっているのだ。その意味で中国の対日影響力は低下している。
●土地購入者や工作員の減少効果も
今月行われた国基研「会員の集い」では、いかに中国人が日本の原子力発電関連施設や自衛隊基地の周辺で土地を購入しているか、また日本国内の太陽光発電や風力発電をいかに中国資本が牛耳っているかの実態が浮き彫りになった。今回の中国人訪日自粛は、少なくともそのような事態に一定のブレーキがかかる意味から、むしろ歓迎すべきだ。
また日本の大学は、中国人留学生を大量に受け入れている。これは日本国の安全保障よりも大学の入学金収入という目先の利益に目を奪われている結果だ。中国人訪日自粛は、日本の国益よりも大学の金儲けを重視する大学経営陣に鉄槌を加える意味でも良い機会であろう。
さらに大学には孔子学院を始めとする中国のためのプロパガンダ機関が拠点を作っており、情報収集の工作員も我が物顔に動き回っている。訪日自粛は、自らそれに制限をかけてくれるという意味でありがたい。
●国防動員法・国家情報法を忘れるな
現在の中国はデフレで、大学を卒業しても就職先が乏しく、日本に語学留学をして、そのまま就職するケースが多い。そうした人たちは日本に好感を持って訪日しているので、大切にすべきだとする議論がある。しかし、たとえ訪日する人たちが親日であろうと、中国では2010年に施行された「国防動員法」により海外在住の中国人も有事動員の対象になる。また2017年に施行された「中華人民共和国国家情報法」により、中国人は国外に居ても情報を中国にもたらすことを義務付けられている。
こうした法律により、本人は日本に親しみを感じていても、中国当局は国内に残っている親族に脅しをかけることによって在日中国人を動員や情報収集に駆り立てることができる。今回の訪日自粛措置は、それに一定の歯止めをかける意味から歓迎すべきだ。
また訪日を希望している中国人が、今回の措置を不満に思えば、その矛先は中国当局に向かって中国国内が不安定化することから、これも安全保障上、中国を脅威と認識している日本にとって好ましい事態となる。(了)




