米国防総省は23日、国家防衛戦略(NDS)を公表した。NDSが示した国防総省の優先事項は、①米国本土防衛②インド太平洋における対中国抑止③同盟国やパートナー国の防衛分担増大④米国防衛産業基盤の強化―である。3日のベネズエラ大統領拘束作戦における軍事力行使は、とりわけ米国本土防衛に対する強い意志の表れであろう。
●増大する同盟国への期待
対中国抑止に関して、NDSは中国を「19世紀以来、米国にとって最も強力な国家」と位置づけ、「中国を含むいかなる勢力も、米国や同盟国を支配できないようにすること」を目標に掲げた。その上で、第1列島線(日本列島~フィリピン)に沿って強力な防衛態勢を築くと述べている。このため、同盟国・パートナー国に第1列島線における集団防衛への貢献拡大を促し、これを支援することで、中国にいかなる侵略も失敗に終わると認識させる軍事的優位性を確立するとしている。
特に、同盟国・パートナー国の防衛分担増大に関する考え方として、NDSは、前世代のような一方的依存ではなく、対等なパートナーとして、自国の利益のために自ら防衛力を強化することを求めている。この背景には、昨年12月に示された米国の国家安全保障戦略(NSS)が米国の相対的な力の低下を事実上認めるなど、米国単独による世界秩序維持の時代が終焉したとの認識がある。この点をNDSは「インド太平洋地域では、同盟国が米国と同様に自由で開かれた地域秩序を望む中、同盟国・パートナー国の貢献は中国を抑止し、地域の均衡を維持する上で不可欠となる」と述べて、理解を求めている。
さらに、この同盟国・パートナー国の防衛分担増大について、NDSは具体的に「国内総生産(GDP)の3.5%を中核的な軍事支出に、さらに1.5%を安全保障関連支出に充て、合計でGDPの5%を達成する」と数値目標を明示している。明確な基準を示した上で、同盟国・パートナー国が主体的防衛責任を負うことを要求するなど、従来の米国への依存関係からの脱却を促す狙いは明白である。
●日本に迫る依存体質の転換
第1列島線の主要な地域は日本の領土であり、米国が列島線防衛の中核的責任を日本に期待していることは明白である。この要求は、防衛予算の増額にととどまらず、戦後長く米国に頼ってきた日本の受動的な依存姿勢そのものに歴史的転換を迫る厳しいものである。しかし、中国の軍拡が異常な速度で進展する中、米国単独ではもはや列島線防衛が困難な現実を直視する必要がある。日本はいま、平和を与えられる立場から抜け出し、自ら平和と繁栄を築いて守っていく時代の入り口に立っている。(了)





