13日投開票の沖縄県知事選で、自民党などが推薦した前那覇市副市長の新人、古謝玄太氏(42)が勝利したことで、長きにわたり国と対立してきた「オール沖縄」県政がようやく終焉を迎える。現実的な安全保障政策と経済発展を両立させる道筋が開かれる意義は極めて大きい。
古謝氏勝利がもたらす最大の効果は、沖縄の防衛基盤の強化と基地問題の前進だ。これまで国と県による法廷闘争と感情論に終始してきた普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の危険性除去や、名護市辺野古への移設をめぐる膠着状態を打破し、国との信頼関係を前提とした実務的な対話再開が大いに期待される。
●自衛隊との円滑な連携を
何より重要なのは、自衛隊の活動環境を抜本的に改善することである。玉城デニー知事(66)の県政下では、自衛隊による港湾や空港の利用、有事を想定した訓練や、シェルター整備といった防衛準備に事実上の制約が課されてきた。
中国軍の威圧活動により台湾海峡情勢の緊迫度が増す中で、沖縄県が自衛隊などと円滑に連携し、住民保護の準備と有事への即応態勢を速やかに整えることは、日本全体の抑止力強化に直結する。
さらに、玉城県政下で強まった沖縄県の対中傾斜に歯止めをかけることにもなる。独自の地域外交という名の下で展開された中国への過度な接近は、影響力工作の隙を与える危うさがあった。古謝県政の誕生によって、国境の島々における中国による浸透工作を毅然と阻止する「防波堤」としての機能を発揮してほしい。
●稲嶺県政の教訓を生かせ
ただし、保守県政の誕生について、手放しの楽観論に浸ってはならない。銘記すべきは、28年前の平成10(1998)年11月に革新県政を倒した稲嶺惠一県政の苦い教訓である。稲嶺県政は「基地受け入れと引き換えの経済振興」というリンク論に拘泥し、普天間代替施設の「15年使用期限」を国に拒否されたことで基地反対世論と国の狭間で深刻なジレンマに陥り、最終的に県民の広範な分断と挫折を招いた。同じ轍を踏んではならない。
古謝県政に求められるのは、国の意向の単なる追認や国の補助金頼みの復活ではない。基地返還と跡地利用を自立的経済成長の起爆剤と位置づけ、補助金に頼らぬ「稼ぐ構造」を確立することだ。国と対等なパートナーシップを築き、県民の尊厳を守る対話を重ねながら、防衛態勢を強固に構築してほしい。
稲嶺県政の蹉跌を直視し、国に対する過度な依存を排した県政を行うことこそ、古謝氏に課された真の試練である。(了)




