自民党と日本維新の会による連立政権の樹立は、保守路線で日本を取り戻す歴史的契機であり、国家の根幹に踏み込む政策を実現する改革保守政権への転換が期待される。
●評価できる憲法・安保政策
注目すべきは、10月20日に交わされた連立政権合意書である。そこには「国家観を共有し、立場を乗り越えて安定した政権を作り上げ、国難を突破し、『日本再起』を図る」と明記された。とりわけ「国民をどう守るか」「わが国の平和と独立をどう守るか」という、リアリズムに根ざした国際政治観と安全保障観を両党が共有している点は重要である。
具体的には、憲法9条改正に向けた両党による条文起草協議会を今年の臨時国会中に設置することが明記されており、戦後政治が先送りしてきた「国の形」をあるべき姿に変えようとする姿勢は高く評価できる。
また、安全保障政策においても、「国家安全保障戦略」など戦略3文書の前倒し改定を進めるとともに、防衛産業・技術基盤をさらに強化する方向が打ち出された。特に、来年の通常国会において「防衛装備移転三原則の運用指針」で輸出可能な装備品を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5類型に限ってきた現行ルールを撤廃するとともに、国営工廠(国営の軍需工場)の設置や「国有施設民間操業」(重要物資の安定供給を図るため政府が工場などを保有し民間企業に運営を委託すること)を進める施策は長年の課題解決が期待できる。
また、自衛官採用難という危機的課題に対し、恩給制度創設を含む抜本的改革を検討する姿勢も示された。これら従来の自民・公明連立政権では実現が難しかった施策に踏み込んだ点は、安全保障政策の「夜明け」とも言える。
●避けられない非核三原則の見直し
しかし、課題も残る。核保有国である中国、ロシア、北朝鮮3国の脅威が急速に増大する現実を踏まえるなら、核抑止力強化の議論を避けて通ることはできない。中国はこの3年間で核弾頭を260発から500発に倍増させ、ロシアはウクライナ戦争を通じて核恫喝を常態化させた。北朝鮮も50発の核弾頭を保有し、投射手段の多様化を進めている。こうした状況下で、「二度と我が国に核攻撃を許さない」ための実効的抑止力をどう確保するかは、リアリズムに基づく安全保障政策の核心である。
一例を挙げれば、米国がトランプ政権下で進める潜水艦・水上艦搭載型の核トマホーク開発は、2030年代の実用化を見込むが、この艦艇が日本に寄港することは核抑止に必要不可欠である。このためにも、少なくとも非核三原則の「持ち込ませず」を見直し、非核二原則へ転換することが必要である。核戦力競争の現実を直視し、国民を核の脅威から確実に守るための政策協議を早期に開始すべきである。
これらが着実に具体化される時、初めて改革保守政権と言えよう。(了)





