中国共産党は10月23日に閉幕した第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)で、第15次5カ年計画(2026~30年)の基本方針を採択した。同方針の国防関連部分では、5年前の第14次5カ年計画基本方針に比し、無人装備や宇宙・サイバー・電子戦に関する装備など新領域戦力の増強や実戦的訓練が強調された。
●経済低迷でも軍事力整備
まず項目分けとして、第14次では軍事力整備と軍民融合に関する2項目であったが、今回はこれに軍の指導管理に関する項目が追加され、3項目となった。4中全会で大量の軍高官の党籍剥奪が公表されたことを受け、党による軍の統制、法による軍の管理等を徹底するためであろう。
軍事力整備に関しては、新領域戦力に関する記述が大幅に増加した。「新領域・新質(新たな性質)戦力の大規模化・実戦化・システム化を推進し、無人化・知能化戦力とそれへの対抗手段の発展を加速する」として、新領域関連装備の部隊配備や実戦的運用を促進するとした。
軍民融合に関しては、第14次にあった「国防と経済の同時発展の促進」という文言が削除され、「新興分野における戦略能力建設を加速し、新質生産性と新質戦闘力を効率的に融合させ、共に発展させる」と、新領域分野における民間力の活用が強調された。中国経済が低迷する中でも、新領域戦力の整備は進めていくとの決意であろう。
●模擬台湾総統府で実弾訓練可能に
このような国防の方向性は既に軍の訓練にも表れている。
中国最大の演習場である朱日和訓練基地では、台湾の総統府や官庁を模した建築物が並ぶ模擬総統府訓練地区が2020年以降拡大しているほか、2022年までに大規模な弾薬庫地区が建築され、実際の台湾総統府と同じ地形で、実弾を使った訓練ができるよう整備された。
また、朱日和とは別の地域に2022年以降、台湾総統府周辺の道路網を模した模擬台北市とも言える施設の建設が確認されている。同施設は2024年以降使用されている模様であり、衛星画像で無人機やアンテナのついた軍用車と推定される物体が民間車両と共に確認できることから、新領域関連の装備品の試験や部隊による運用検証等を行っている可能性がある。
●中国軍の現状と方向性を直視せよ
以上述べたように、中国軍は既に新領域戦力開発や実戦的訓練を推進しており、第15次5カ年計画期間に更にこれらへの資源配分を増大させ、軍民挙げて新領域戦力強化を加速させていくであろう。
日本はこの中国軍の現状及び方向性を直視し、「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の前倒し改定により中国を効果的に抑止できる防衛力整備を推進していくことが必要であろう。(了)





