政府は近く、国家安全保障会議(NSC)と閣議で、防衛装備品の海外輸出拡大に向け、防衛装備移転3原則と運用指針を改定する。事実上の輸出全面解禁により、オーストラリアなどパートナー国との間で防衛装備を融通し合える利点がある。東南アジアには日本の防衛装備品への期待も高い。
●時代錯誤の公明党
防衛装備品の海外輸出は長年の懸案で、安倍晋三政権は平成26(2014)年に武器輸出や関連技術の海外提供を原則禁止していた「武器輸出3原則」を見直し、国際的な共同開発や安全保障協力に舵を切ろうとした。ところが、連立相手だった公明党に配慮し、輸出できる装備品を5類型(救難、輸送、警戒、監視、掃海)に限定してきた。昨年秋の高市早苗政権の発足にあたって、公明党が連立を離脱し、日本維新の会が連立相手になったことで、今日の見直しにつながった。
公明党の竹谷とし子代表は世論調査で約半数が反対しているとして5類型撤廃に疑問を呈するが、現実を見ていないのは公明党の方だ。
3月17日の参院予算委員会で、公明党の西田実仁幹事長は昭和51(1976)年の宮沢喜一外相(当時)の「我が国は兵器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれていない」との答弁を持ち出した。高市首相は「同志国を増やして一緒に地域の安定を実現しなければいけない時代になっている」と答弁したが、その通りである。
当時の中国は文化大革命による混乱に見舞われ、軍事予算も限られていた。しかし、2026年の中国の国防費(中央政府分)は1兆9095億元(約43兆4000億円)と、日本の防衛関係予算 9兆353億円のほぼ5倍となった。高市首相が言うように「時代が変わった」のである。
中国政府は「日本の『新型軍国主義』による無謀な動きを断固として阻止しなくてはならない」(毛寧外務省報道官)と批判するが、自らは世界有数の武器提供国であることを忘れているようだ。
●官民連携で輸出拡大を
国連平和維持活動(PKO)協力法、集団的自衛権の限定行使を認めた安全保障関連法の制定の時も、世論調査では反対論が強かったが、実績を積み重ねることで理解が深まった。装備移転の見直しも、適正な審査・管理を確保していけば支持も広がるだろう。
これまで、公明党が足を引っ張ってきたことで、パートナー国との防衛連携が遅れ、日本の防衛産業も縮小してきた。5類型撤廃により制度的な制約は引き下げられるが、輸出市場で競争力を持つためには官民の連携は欠かせない。(了)





