公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

【第101回】竹島問題を日韓で議論しよう

h0330 / 2011.08.08 (月)


衆議院議員 稲田朋美

自民党の「領土に関する特命委員会」で韓国鬱陵島を視察することになった。目的は、我が国固有の領土である竹島を事実上支配している韓国が竹島の領有問題についてどのような認識でいるかを、鬱陵島に存在する独島記念館を視察することにより知ることだった。その上で韓国の政治家や学者と意見交換しようという企画で、国会議員として何の問題もない視察だった。

私が参加を決めたのは7月初めで、視察団のメンバーは、団長新藤義孝衆議院議員、平沢勝栄衆議院議員、佐藤正久参議院議員と私の4人。ところが、出発の半月前ごろから韓国内で抗議運動が激化し、私たちの写真が燃やされ、日の丸が引き裂かれ、韓国の日本大使館の前で連日デモが行われた。その興奮ぶりは異常ともいうべきもので、警察高官から私に危険だからやめた方がよいと個人的に助言があったほどだ。

入国拒否理由に矛盾
自民党に対しても韓国側から圧力があったのか、28日に幹事長から国会日程を理由にストップがかかった。

結局、衆議院側の請暇願い(会期中、海外渡航する際の許可)は党の許可が下りずに院に提出されず、参議院の佐藤議員だけ請暇が了承された。
8月1日午前、新藤団長、佐藤議員、私の3人が韓国金浦空港に着くと、飛行機から屈強の護衛に囲まれて二重扉の応接室のような所に連れて行かれた。そこへ空港の入国事務所の女性所長が来て、入国を禁止すると通告された。

その理由は「大韓民国の利益や公共の安全を害する行動をする恐れがあると認める相当の理由がある者」(出入国管理法3条)に当たるからという。ところが、所長が説明した入国拒否の理由は、私たちの身辺の安全を確保できないことと、二国間の関係に悪影響を及ぼすという2点だった。

奇妙なことに、所長の説明と適用条文は正反対の内容だった。私たちが危険にさらされるという理由で、私たちが危険人物(テロリスト)という条文を適用したのだから。

見せかけの友好に決別を
日本にも入国拒否理由として同じ内容の条文がある。法務省の説明では、これはまさしく伝家の宝刀で、最後の最後に適用する。日本では過去1回しか適用したことがないということだった。

なぜこの条文を韓国はあえて使ったのか。私の推測だが、この条文を使わずに、法律に規定のない理由で入国拒否をした場合、された側の国は、同じ理由でその国の人間を入国拒否できる。「法務大臣は、本邦に上陸しようとする外国人が前項各号のいずれにも該当しない場合でも、その者の国籍又は市民権の属する国が同項各号以外の事由により日本人の上陸を拒否するときには、同一の事由により当該外国人の上陸を拒否することができる」という規定が日本にあるからだ。

つまり韓国が私たちのことを、竹島の日本領有を主張する政治家だから入国を拒否したとなれば、日本は竹島の韓国領有を主張する韓国の政治家の入国を拒否できるのだ。だからあえてテロリスト条項を使ったのではなかったか。

今回、友好国であるはずの韓国から入国拒否されるという異常事態になったことは残念だが、これを機会に竹島を日韓の議論の場に持ち出し、見せかけでない真の友好国になる一歩になれば幸いだと思っている。(了)

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