公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

【第308回】目を覚ませ、民主党!

長島昭久 / 2015.06.15 (月)


衆議院議員 長島昭久

 

 私は、平成12年、政権交代可能な政治勢力を結集したいという一念で、敢えて野党第一党である民主党の門を叩き、3年間の浪人生活を経て平成15年に初当選させていただいた。当時の民主党は、何よりも霞が関・永田町改革の気概に燃え、官僚の助けを借りずに国会ごとに何十本もの議員立法を提出し、古い自民党に代わる徹底した分権・改革を唱え、外交・安全保障政策ではこれまでの万年野党体質を克服し、現実路線を追求していた。だから、苦労も絶えなかったが浪人生活は希望に満ちたものであった。
 
 ●国民の信頼を失墜
 平成17年の郵政解散で大きく議席を減らしたものの、平成21年、遂に悲願の政権交代を成し遂げた。衆参合計で400議席超を占めた民主党は、官僚支配を打破し、政治主導で日本の政治を一新する意欲に燃えた政務三役を各省庁に送り込んだ。しかし、圧倒的な民意を背景に乗り込んだ同僚議員は随所で摩擦を繰り返し、国政に無用の混乱を持ち込んでしまった。
 その最たるものが鳩山由紀夫首相その人であった。沖縄へのリップサービスの一言が日米関係を破綻の瀬戸際まで追い詰め、政権は瓦解。菅直人政権を経て野田佳彦首相に引き継がれた時には、もはや国民の信頼は回復不可能なまでに低下していた。野田政権は日米同盟の立て直し、尖閣国有化、消費増税の決断など、課題を先送りすることなく懸命に努力を重ねたが、民主党は3年余で政権を自民党に戻すことになった。

 ●「何でも反対」の万年野党体質
 それから2年半が経過しようとしている今日、民主党を「改革政党」と見なす国民はほとんどいまい。改革路線は維新の党にすっかりお株を奪われ、労組など組織出身の議員が大半を占める参議院と衆議院の議員数がほぼ同じとなり、党内論議はかつての自由闊達さとは程遠い、民意から懸け離れた組織防衛の論理がばっする低劣なものとなってしまった。
 特に安保法制を巡る国会審議では、私たちが標榜した「保守二大政党」とは似ても似つかぬ万年野党の「何でも反対」路線がますます先鋭化している。
 現状のままでは、政権奪還は夢のまた夢であろう。もはや解党的出直ししか道はない。第一に、労組依存体質から脱却しなければ改革に背を向けた勢力との批判を払拭できない。第二に、社会保障に偏った「大きな政府」路線を見直し、アベノミクスに代わる経済政策と地方再生戦略を打ち出さねばなるまい。第三に、「政争は水際まで」と腹を決めて、一刻も早く、政権交代前のような現実的な外交・安全保障政策に回帰することだ。目を覚ませ、民主党! さもなくば、消えゆくのみ。(了)