当研究所では、週一回のリポート「今週の直言」の会員向け配信を平成21年9月7日から開始致しました。当研究所の企画委員らが執筆し、法人会員・賛助会員の方には毎週月曜日にEメールかファクスでお届けします。個人会員の方はホームページの会員専用ページでご覧下さい。会員専用ページに掲載したリポートは、2週間後に公開します。
日本大学教授・国基研客員研究員 百地章
法案をめぐる動きに変化?
1月18日召集の通常国会に提出される予定の外国人参政権法案に対して、全国的な反対運動が湧き起ってきたが、与党の民主党内やマスメディアにも微妙な変化が生じている。報道によれば、平野博文官房長官や原口一博総務相がやや慎重な姿勢を示すようになり、朝日新聞なども年明けから法案をめぐる動きを大きく報じるようになった。
確かに、参政権付与賛成派の朝日新聞には、内容的には国民をミスリードする部分も多い。しかし、国民の知らないところでそっと通してしまおうと思えば、反対派の動きをわざわざ一面トップで報ずることもあるまい。
1月10日の「韓国併合100年 アジアのための日韓築け」と題する6段組みの社説でも、外国人参政権に触れていたのはわずか4行で、表現も「永住外国人に地方選挙権を与える改革にも取り組みたい」と控えめであった。
憲法違反の危険な法案
参政権が「国民固有の権利」(憲法15条1項)であることを考えれば、外国人への付与など許されない。また、憲法93条2項の「住民」は、平成7年2月の最高裁判決が示すように「日本国民たる住民」を意味する。
さらに、国家とは「政治的運命共同体」である以上、わが国の運命に責任を持たない外国人を政治に参加させることなどできない。本国に忠誠を誓い、国防の義務まで負っている外国人への選挙権付与がいかに危険か。
県議会決議と国民への啓蒙運動を
昨年、千葉県、富山県など14の県議会が反対の決議をしたが、このうち8県はかつて賛成の意見書を採択している。さらに、この2、3月議会でもいくつかの県で反対の意見書が採択される予定である。
これに対して、法案の国会上程を阻止するためには、幅広い国民の反対が必要である。ところが、新聞の世論調査をみると、毎日新聞では59%(昨年11月)が賛成である。他方、平成19年10月に放映された日本テレビの番組「太田光の私が総理大臣になったら」では、反対投票が最終的に81%に上った。この違いは、法案の本質つまり危険性を理解しているかどうかによる。その意味では、さらに啓蒙運動が必要であろう。例えば、毎日テレビしか見ないお年寄りに、インターネットの動画共有サービス「ユーチューブ」の番組を見せる運動などを始めてみてはいかがであろうか。(了)
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第21回:外国人参政権法案の上程阻止を(百地章)