公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

髙池勝彦

【第23回】夫婦別姓を認めてはならない

髙池勝彦 / 2010.02.01 (月)


当研究所では、週一回のリポート「今週の直言」の会員向け配信を平成21年9月7日から開始致しました。当研究所の企画委員らが執筆し、法人会員・賛助会員の方には毎週月曜日にEメールかファクスでお届けします。個人会員の方はホームページの会員専用ページでご覧下さい。会員専用ページに掲載したリポートは、2週間後に公開します。

 
国基研理事・弁護士 高池勝彦

外国人参政権法案提出の動きの影に隠れて見逃され勝ちであるが、同じやうに重大な法案が民主党政権下で現実化しつつある。夫婦別姓を認める民法改正案である。3月には閣議決定するとの新聞報道がある。すると、現在会期中の通常国会に提出され、成立する可能性がある。

民主党は平成10年から毎年のやうに、夫婦別姓を求める民法改正案を国会に提出してゐた。昨年の衆議院選挙に向けてのマニフェストでは外したが、民主党政策集INDEX2009には「選択的夫婦別姓等を導入します」と明記してゐる。マニフェストで外し、政策集に入れたのは、外国人参政権導入と同じである。

夫婦同姓は家族一体の象徴
夫婦同姓は、家族の同姓を意味し、夫婦および子を含む家族の一体性の象徴である。

夫婦別姓が認められると、子の姓が父または母と異なることになる。それどころか、このたび提出を考へてゐる民主党案は、子の姓は統一させるやうであるが、従来の民主党案では、複数の子供がゐる場合、子供ごとに姓を選べることになつてゐたので(といつても親が選ぶのであるが)、兄弟姉妹の間で姓が異なることがあり得た。

夫婦同姓であると、実際には夫の姓を名乗る例が圧倒的に多いので、結婚した女性が新しい姓を名乗らなければならず、不便であり、女性に対する差別であると推進論者は言ふ。しかし、この点は、通称の使用を認めれば足りる。推進論者が挙げるその他の理由はほとんど合理性がない。そもそも推進論者の一部は、戸籍制度の廃止をも考へてゐる。

夫婦別姓は、戦後の占領政策による「家」制度の徹底的な排斥の行きついた果ての主張である。中国や韓国は夫婦別姓を採用してゐるが、これは男女平等どころか、妻に夫の姓を名乗らせないといふ女性差別が起源にある。

政治主導で議論おざなり
民主党は政治主導をいいことに、夫婦別姓についても法相、副大臣、政務官など3、4人だけで議論を進め、法務省の官僚とも協議してゐないやうである。夫婦別姓を含む民法改正案は、自民党政権下の平成8年2月、法制審議会において改正要綱が決定されたといふのは言訳にならない。このやうな重大な問題はとことん議論がなされなければならない。

民主党は、早期に解決しなければならない問題をなかなか決定せず、慎重に扱はなければならない重大な問題を簡単に決定する傾向がある。十分監視する必要がある。(了)

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第23回:夫婦別姓を認めてはならない(高池勝彦)