自民党参議院議員 義家弘介
改正教育基本法に基づき、学校教育法や教育職員免許法などの関係法令の改正や教育振興基本計画の策定など、教育再生の取り組みが進められてきた。自由民主党が考える「新教育三法」は、その重要な一環である「教育の政治的中立」を確保するためのものである。
違法な政治活動に刑事罰を
第一は、「教育公務員特例法」(教特法)の改正である。教育公務員の政治的行為については、第18条第1項により、「当分の間、地方公務員法第36条の規定に関わらず国家公務員の例による」、即ち、国家公務員と同様に厳しく制限されている。ただし第2項により、違反した場合の刑事罰については適用がなく、行政処分しか行えない。
なぜ、第1項で政治的行為の制限を引き上げたのに、第2項でその実効性を失わせるという、ゆがんだ構造になっているかと言うと、昭和29年の本法改正時に、日教組の激しい反対により、政治的行為の制限違反に対する制裁は教育行政の枠内で解決すべきという名目で、刑事罰の適用が外された事による。
しかし、これにより抑止効果が著しく失われ、現在も日教組による違法な政治活動・選挙活動が組織的に行われている事は、北教組(北海道)や山教組(山梨県)の事件などからも明らかである。従って、第18条第1項から「当分の間」を削除し、第2項で罰則規定を新設する。
政治献金にもメス
第二は、「義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」(中確法)の改正である。本法は、日教組による偏向教育が猖獗を極めたことから、それを排除するために、昭和29年に前述の教特法改正案とともに立法されたもので、刑事罰もある。しかし、処罰請求権者(例えば、市区町村立の小中学校なら当該市区町村の教育委員会)が極めて限定されているため、成立後、一度も適用された事がない。従って、法律を臨時措置法から恒久法に改めるとともに、処罰請求権者に対して法に該当する事実の通報を受けた際に調査義務を課すなど、本来の効果を発揮させるための改正を行う。
第三は、「地方公務員法」の改正である。教職員組合を含む職員団体(公務員の労働組合)の政治資金を含む収支について、現在は制度的に調査する手法がない事が、北教組による違法献金事件など、教職員組合などによる政治とカネを巡る事件が繰り返される要因となっている。従って、登録職員団体に対し、収支報告書の提出及び公開を義務付けるなどの改正を行う。
以上が、「新教育三法」の概要であるが、教育の政治的中立を確保するためには、例えば「教育公務員倫理法」の検討など、さらなる取り組みが必要と考えている。(了)
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第49回:教育の政治的中立へ向け法改正が必要(義家弘介)