公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

髙池勝彦

【第54回】憲法違反の民主党代表選

髙池勝彦 / 2010.09.06 (月)


国基研理事・弁護士 高池勝彦

民主党の代表選挙が9月1日告示され、14日が開票だといふ。この選挙には、党所属の国会議員、地方議員だけではなく、一般党員やサポーターも参加して全体の約4分の1の票(ポイント)が与へられるといふ。

民主党の規約によると、党員およびサポーターは、党費または会費を納めた「在外邦人および在日外国人を含む」と規定されてゐる。

在日外国人にも投票権
民主党は、政治資金規正法により政治団体の届出をして、「政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律」(法人格付与法)により法人格を与へられ、政党助成法により政府から巨額の政党交付金の交付を受けてゐる。

また、政治資金規正法では、政党は外国人からの寄付を受けることが禁止されてゐる。政党が外国人によつて影響を受けることを排除しようとする趣旨である。法は、交付金の交付と寄付の規制によって、政党に国政への適正な関与を要求してゐるのである。

すると、外国人の党員やサポーターを認めてゐる民主党規約は、外国人からの寄付を禁止してゐる政治資金規正法に違反してゐるのではないか。党が受ける金銭の名目が、党費または会費であれば適法で、寄付であれば違法といふのであれば、少額寄付については、政治資金規正法による規制が無意味となつてしまふ。

国民のみが有する国政参政権
そればかりではない。今回の民主党代表選挙は、事実上、我が国の総理大臣を選択する選挙である。すると、外国人の投票によつて我が国の総理大臣が選挙されることになる。

国政に関する参政権は、国民にのみ認められるといふことについては異論がないのであるから、外国人に投票権を認める今回の代表選挙は、憲法違反といふことになる。党員およびサーポーターの全体の4分の1の票しか与へられてをらず、そのうち、外国人の投票はさらに少数であるから問題ないといふことはできない。投票自体が参政権の行使の意味を持つからである。

今回の代表選は、接戦が伝へられてをり、僅差で決まる可能性があり、その場合、少数の外国人の投票が決め手となる可能性さへある。しかし、さうでなくても、そもそも国政に関する参政権を憲法上認められてゐない外国人に投票を認めること自体が憲法違反なのである。

民主党は、規約作成の際、まさか政権を取るとは考へてをらず、人気取りのために規約に入れたのでなないだらうか。政権を取る可能性の有無にかかはらず、政党の規約には国籍条項が必要である。(了)

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第54回:憲法違反の民主党代表選 (髙池勝彦)