国基研理事・元民社党委員長 塚本三郎
3月11日の巨大地震以来、余震が連日の如く続いている。大津波も襲来し、その上、原子力発電所の破損による放射能漏れも収まる気配はない。地震の発生は、時の政権及び国民の怠惰に対する「大自然の警鐘」と、釈迦は仏説で警告している。日本の政権の首座に在る民主党は、かつての政権とは比すべきものが無い程に拙劣で、菅直人総理は、国家観無き迷走ぶりである。
大試練を乗り越えてきた日本人
大自然のもたらす災害は、その下で生きる我々国民の、施政及び日常生活の歪みを正す「天与の警告」であり、そして、耐えられない試練ではない。日本人は、幾度かの大試練を乗り越えて、素晴らしい歴史を経験して来た。それこそが明治維新であり、大東亜戦争の敗戦であった。すべての分野で、我々の祖先は「禍転じて福と為す」を合言葉として今日を迎えた。今回の禍を、どう受け止めるかで、日本国民の力量が示される。
各党の代表は、失礼ながら力量不十分とみる。だから一刻も早く政界の刷新を図れとの、菅総理に対する天の声と受け取る。大災害の最中に、政変を試みることは避けるべきであるが、菅総理は、一定の期間(例えば約1カ月)を経たならば、総選挙の実施を公約すること。その間は、与野党が、渾然一体となって、被災者の救援に当たるべきである。
政界刷新に理念一致が不可欠
政界の再編にしろ、与野党の大連立にしろ、まず国家観に対する「理念の一致」が大前提でなければならず、それがなければすぐ綻びる。その上に立って、政策の大綱を論じ、揺るぎなき国家方針を定める。日本には、朝野に亘って、有為の人材に事欠かない。この際こそ、総選挙によって「大公出でずんば」の人材をまず国会に選び出し、旧来の党派意識を排して、理念と政策中心の政府を打ち立てるべきだ。政界の再編に当たっては、国家観を中心とする次の如き理念の一致が不可欠である。
第一に、新憲法の創設を前提とし、自主独立国家の法制に改める。その中心には、日本の周辺国に対応出来る防衛力の整備と強化を据える。
第二に、誤った自由と平等の教育を正し、教育勅語の精神を活かす。それに基づいて、若者に対する教育訓練の場を設ける。ドイツの徴兵制も一つの参考とする。
第三に、景気回復とデフレ克服の為、日本の持てる全生産能力を十分に発揮し、公共事業を中心に、大胆な景気回復策を復興の名の下に計画し行動に移す。政府の財源不足は、増税ではなく「政府紙幣」の発行によって補う。(了)
PDFファイルはこちらから
第83回:禍転じて福と為せ(塚本三郎)
【投稿】地震国で原発との共生は不可能(会員 前田壮二郎)
【投稿】原発より地熱発電中心に(会員 藤原祥雅)
【投稿】反原発でなく安全性向上を(会員 加藤浩康)
【投稿】原発事故は天罰でなく人災(会員 前田壮二郎)
【投稿】脱原発でいいのか(会員・福井県立大学教授 島田洋一)