11月5日、中国南部戦区に位置する海南省三亜の海軍基地において、中国海軍3隻目の空母である「福建」が就役した。艦載機の発艦が中国初の電磁カタパルト式であり、第1列島線(日本から台湾、フィリピンにいたるライン)を越えての作戦が可能であり、中国が目指す遠海防衛型海軍への大きな一歩となる。
●台湾有事で米軍の接近阻止
中国は既に2隻の空母を保有しているが、いずれもスキージャンプ式であり、発艦できる艦載機の重量が限られるため、固定翼の早期警戒機が運用できない。即ち、広範囲をカバーする固定翼早期警戒機を有する米空母と対峙した場合、米軍は遠方から先に中国機の動向を把握できるため、中国空母が互角に戦うためには中国沿岸に配備されたレーダーの支援が必要であり、第1列島線から東で活動することは困難であった。
しかし、今回就役した福建は電磁カタパルトを装備し、既に固定翼早期警戒機の発着艦に成功している。同機の能力が米軍機と同等と仮定すれば、中国海軍が第1列島線を越え、第2列島線(小笠原諸島からグアムにいたるライン)において作戦できる能力を備えたと言えよう。
第1列島線を越える目的は、台湾有事における米軍の接近阻止である。グアム方向から近づく米部隊を第2列島線と第1列島線の間で待ち受け、中国本土から発射する対艦弾道ミサイルも使って、台湾への来援を阻止する狙いだ。
●平時には太平洋でプレゼンス拡大
福建就役により、中国は空母3隻体制になり、整備―訓練―任務のローテーション運用が可能となった。しかし、性能の違う3隻では真のローテーションは組めず、有事の際の運用は上述した他の2隻の性能上の制約により、大きく制限される。
しかし、平時ではスキージャンプ式空母も第1列島線を越え、太平洋で活動することは可能だ。本年6月にはスキージャンプ式空母2隻が太平洋で同時期に活動した。今後空母1隻が常時太平洋で活動することになれば、継続的に日米部隊の監視や水上艦艇・潜水艦等に関する情報収集を行い、有事の際に必要なデータの蓄積も加速する。
ただし、このような体制が直ちに整うわけではない。中国2隻目の空母「山東」が初めて太平洋に進出したのは、就役後3年4か月後である。福建が初の電磁カタパルトの運用に更に時間がかかるのか、反対に山東の経験を活かしこの期間を短縮できるのか、現時点では未知数である。
しかし、数年後には第1列島線を越えて活動を開始することには間違いない。また戦時のローテーション完成を目指し、少なくともあと2隻のカタパルト式空母建造は継続するであろう。今後の福建の戦力化及び新空母建造状況から目を離せない。(了)





