公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

有元隆志

【第1355回】「成功」だった日米首脳会談

有元隆志 / 2026.03.23 (月)


国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志

 

 高市早苗首相は米国との決裂危機を回避した。それどころか、トランプ大統領は日本の協力は北大西洋条約機構(NATO)とは異なると評価した。「成功」と評価していい会談だった。

 ●「日本はNATOと違う」
 トランプ大統領は日本も名指してホルムズ海峡への艦船派遣を求めていた。高市首相は会談で「日本の法律の範囲内でできることとできないことがある」と述べ、自衛隊派遣を明言しなかった。同席者によると、トランプ大統領は複雑な表情を浮かべていた。決して説明に納得はしていなかったのだ。それでも、なぜ日本は「NATOとは違う」との発言がトランプ大統領から出てきたのか。
 複数の日本政府高官はその理由として、①高市首相がトランプ大統領と親しかった安倍晋三元首相の路線を引き継ぐ指導者である②高市首相が2月の衆院選で圧勝し、トランプ大統領が好む「強いリーダー」であることを示した③防衛力の抜本的強化を目指している④5500億ドル(約87兆円)の対米投融資に取り組んでいる―ことを指摘した。

 ●アジアへの関与継続
 リベラル派の朝日新聞は社説で「国連憲章や国際法を無視した先制攻撃を不問に付したまま、トランプ氏への称賛を繰り返し」と高市首相を批判した。仮に高市首相がイラン攻撃は国際法違反だと批判したら、トランプ大統領は反発したことだろう。日米同盟の決裂を喜ぶのはどの国かは明白だ。
 ホワイトハウスが発表した会談の合意内容をまとめた「ファクトシート」には、台湾問題について「対話を通じた両岸問題の平和的解決を支持し、武力や強制によるものを含む一方的な現状変更の試みに反対する」と明記された。トランプ大統領からは、訪中の際「習近平国家主席に日本のすばらしさを伝える」と日本に寄り添う発言も出た。「西半球重視」のトランプ大統領からアジアの安全保障への関与継続を取り付けるという訪米の当初の目的は達せられたと言っていい。

 ●意義ある日英などの共同声明
 首脳会談は乗り切ったものの、ペルシャ湾には50隻前後の日本関係船舶が滞留しており、課題は残ったままだ。その意味で、首脳会談前に日本が英国など欧州5か国とホルムズ海峡の「安全な航行を確保するための適切な措置に貢献する用意がある」との共同声明を出した意義は大きい。
 声明文を起草した英国は日本の参加を重視していたという。戦闘が収まれば当然自衛隊の掃海艇派遣も検討されることになろう。航行の安全の確保は、米国との関係というよりも、中東にエネルギーを依存する日本自身の問題であることを忘れてはならない。(了)