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太田文雄

【第1354回】ホルムズ海峡の船舶護衛に海自艦を派遣せよ

太田文雄 / 2026.03.16 (月)


国基研企画委員兼研究員・元防衛庁情報本部長 太田文雄

 

 トランプ米大統領は14日、中東からの海上輸送の要衝ホルムズ海峡で民間船舶を護衛するため軍艦を派遣するよう日本などに求めた。原油輸入の9割を中東に依存する日本がホルムズ海峡の安全航行に貢献できず、自国関係船舶の護衛すら他国任せにすれば、国際社会に批判されて当然だ。まずは自衛隊法に基づく海上警備行動として海上自衛隊の護衛艦を派遣し、次いでホルムズ海峡での船舶護衛を正式任務とする特別措置法を国会で成立させるべきだ。

 ●速やかに特措法制定を
 ホルムズ海峡を出入り口とするペルシャ湾では、米・イスラエルとイランの戦争激化に伴い、タンカーなど民間船舶への攻撃が相次ぎ、11日には商船三井所有のコンテナ船が船体に損傷を受けた。13日現在、湾内には日本関係の船舶45隻が取り残され、日本人24人が乗船している。
 今回のコンテナ船の損傷状況は、2010年7月に同じ商船三井が保有する大型原油タンカー「M.STAR」がホルムズ海峡で攻撃を受けた時と類似しており、リンペット・マイン(吸着機雷)による攻撃ではないかと推察できる。
 2004年4月、ペルシャ湾内で日本郵船の超大型タンカー「高鈴」が自爆テロ攻撃を受け、これを阻止しようとした米海軍兵2名と米沿岸警備隊員1名が死亡した。同様の事案が再び発生した場合、日本が海上自衛隊の艦艇を派遣しなければ「安保ただ乗り」のそしりを免れないであろう。
 艦艇派遣の法的根拠として、「存立危機事態」を認定して集団的自衛権を発動させることは難しい。過去の国会における首相答弁から、米・イスラエルの対イラン攻撃が国際法に適合することが発動の前提になるからである。
 また、自衛隊法上の海上警備行動で可能なのは警察権の行使だけで、紛争海域での活動は法解釈を逸脱する恐れがある。2009年3月に、アデン湾の海賊に対処するために取りあえず海上警備行動として護衛艦や哨戒機を派遣、6月から警戒監視を実施し、7月に海賊対処法が施行されたのに伴って、それを根拠法規とした。今回もその前例を踏襲すべきではないか。

 ●「つき」型護衛艦が適任
 派遣する護衛艦としては、海上自衛隊が4隻保有する「つき」型護衛艦が適切である。このタイプの護衛艦であれば、船舶を空の攻撃から守る局地防空(Local Area Defense)能力があることに加え、ヘリコプターハンガーが拡大されてMCH101掃海・輸送ヘリを搭載できるので、仮に停戦が実現して任務が船舶護衛から掃海に代わっても、対応できそうだ。日本の掃海能力に対しては国際的な期待が大きい。
 これに対し、海賊対処法に基づき派遣されている「なみ」や「あめ」型護衛艦は活動海域が対処法でソマリア沖・アデン湾に限られているので、これを直ちにホルムズ海峡の船舶護衛に転用することはできない。加えて同型護衛艦には対空能力に不安がある。かといって、対空能力に優れたイージス艦を派遣することは、北朝鮮のミサイル発射や中国の台湾侵攻を想定すると不安が生じる。(了)