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有元隆志

【第1235回】石破内閣は予算成立とともに総辞職せよ

有元隆志 / 2025.03.17 (月)


国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志

 

 石破茂首相が自民党の衆院議員1期生15人との会食に先立って、秘書を通じて土産を名目に1人当たり10万円分の商品券を配っていた問題で、自民党の「再生力」が問われている。3月末か4月上旬までの来年度予算成立とともに石破内閣を総辞職させ、新総裁を選ぶことができるかということだ。
 自民党は昨年秋の衆院選で大幅に議席を減らし、過半数を割り込んだとはいえ、第1党である。立憲民主党など野党には政権担当能力がないため、引き続き自民党を中心に国政を運営するしかない。

 ●指導力欠く首相
 石破首相は3月末までに企業団体献金の問題について決着を得るとの与野党合意があることを知っていながら、3月3日に首相公邸で会食した1期生議員たちに「ポケットマネー」と称しながら計150万円分の商品券を配っていた。「クリーン」を売り物にしていたが、旧態依然とした体質を露呈してしまったといえるだろう。
 さらに、高額療養費制度の見直しをめぐっても、8月に予定していた患者負担限度額の引き上げを見送ることを決めた。予算案が参院に送られた直後だったため、来年度予算案は再修正しなければならない。指導者は時に世論の反対があっても、政策を遂行しないといけないが、石破首相には指導力もないことが明白となった。

 ●このままでは不信任案可決
 石破首相本人は商品券問題での内閣総辞職を否定した。野党も石破首相を批判しながらも、今夏の都議選、参院選を控え石破首相が続投する方が選挙に有利とみている。物価高への対応が急務の中、そしてトランプ米政権の復活でめまぐるしく変化する国際情勢の中で、このままずるずると石破政権が続いていいのか。
 自民党は少数与党であるため、6月の通常国会の会期末に野党が内閣不信任案を提出した場合、可決される見通しとなる。可決されると、石破政権に残された選択肢は衆院の解散・総選挙か総辞職しかない。このような状況で追い込まれ解散、総選挙になると自民党は敗北するのは必至であり、総辞職しかない。7月の参院選直前に総裁選を行い、新総裁の下で求心力を回復し、選挙に勝てるとは到底思えない。
 自民党の森山裕幹事長は14日の記者会見で「選挙への影響が最小限になるように党を挙げて努力をしたい」と述べたが、自民党に残された道は予算の成立とともに、新しい「党の顔」を選び、早急に参院選に向けた態勢を立て直すことである。たとえ不信任案を可決されても、新総裁の下で衆参ダブル選に打って出ればいい。(了)