2022年末に岸田文雄政権が発表した国家安全保障戦略は、防衛関連費を国内総生産(GDP)の2%とする目標を掲げ、同時に発表した防衛力整備計画で、必要な総額を5年間で43兆円程度と設定した。高市早苗政権は、今年末にこれら文書の改定を予定しているが、防衛費増額へ向けて避けて通れないのが、財源をどうやって確保するかの議論である。
●財政緊縮派の抵抗必至
現行の国家安保戦略は防衛力の抜本的強化のため、2027年度の防衛関連費を基準年度の22年度のGDP比で2%に高めることを目標にした。高市政権は25年度の補正予算による防衛関連費の追加によって、GDP比を約2%に押し上げ、前倒しで目標を達成した。
今年度予算では22年度のGDPの1.9%に当たる10兆6000億円を計上しているが、26年度のGDP見通し690兆円に対する比率では1.5%となる。今年末に改定される新たな戦略文書で基準年度を26年度とする場合、GDP比2%は13.8兆円となり、今年度予算規模よりも3.2兆円増える。さらに、新しいGDP比達成目標を3%に設定すると、防衛関連費は20.7兆円となり、今年度予算の2倍近くになる。
そこに立ちはだかるのが財政収支の均衡にこだわる国内の緊縮財政派である。オールドメディアを含む抵抗勢力は、高市政権の消費税減税や財政資金を使った国内投資の増強が国債相場の下落や円安を招くと一方的に決めつける。実際には、安倍晋三政権が20年度に踏み切った大型財政出動が名目GDPの拡大と、それに伴う税収の大幅増、財政収支の急速な改善という好循環を定着させている。それが前述の2%目標早期達成の追い風となった。
日本は世界有数の対外債権国として金融余力も十分ある。しかし、国会での予算審議などで、財源問題は避けて通れない。抵抗勢力はここぞとばかりに防衛費の増額規模や財源を最大の争点に仕立て上げかねない。
●あり得ぬ大型増税
日本列島周辺情勢をみても、硬直した財源論争で時間を空費する余裕はない。しかし、大型増税で防衛費を賄うのは世論の支持を得られまい。着目すべきは、建設国債の適用対象の拡大である。
現行の戦略文書を策定した岸田政権は、歳出削減に加えてたばこ税、法人税、所得税を増税する一方で、初めて防衛財源として建設国債の活用に踏み切った。26年度予算では防衛関連で5973億円の建設国債が計上されている。だが、適用対象は消耗度が少ないとされる自衛隊施設や艦艇に限定されている。
しかし、建設国債の発行は将来の経済成長に寄与することが正当化理由の一つのはずだ。高市政権の成長戦略にも関わる軍民両用の人工知能(AI)、先端半導体、重要鉱物などは、防衛機器の国産化や防衛技術開発に欠かせない。その財源に建設国債を充てることは理にかなっている。(了)




