2021年7月の記事一覧
【第816回】日本は共に戦う同盟国であれ
国基研客員研究員・米バンダービルト大学名誉教授 ジェームズ・E・アワー 私は1963年から88年まで25年間、海軍将校および文民として米国防総省で働いた。たまたま私の公務員生活は、冷戦の最後の25年間とほぼ重なった。とりわけ75年から85年まで私が非常に強く懸念したのは、ソ連が保有する大量の通常兵器と戦略核兵器だった。しかし、米国を中心とする民主主義同盟諸国に脅威を及ぼした...
【第815回】なぜ中国を脅威と言わないのか
国基研評議員兼企画委員 太田文雄 7月13日に令和3年の防衛白書が公表された。白書は中国について「わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念」としているが、北朝鮮に関しては「わが国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威」とした。なぜ中国を北朝鮮と同様に「脅威」としないのか。 ●同盟国との共通戦略計画に障害 脅威は軍事攻撃の能力と意図で構成されるが、北朝鮮は日...
【第814回】「人権考慮の輸出管理」から逃げていいのか
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 中国の新疆ウイグル自治区の人権侵害を巡って、米欧で貿易を規制する動きが急速に強まっている。 米国は新疆産の原材料を使う綿製品、トマト製品、太陽光パネル部材を輸入禁止にしている。この関連でユニクロの綿シャツの輸入を税関で差し止めた。また、人権侵害に加担している企業と利用され得るモノに着目して輸出を規制しており、既に多くの中国企業に事...
【第813回】太陽光発電に原発並みの規制を
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 7月3日、静岡県熱海市伊豆山地区で発生した土石流の起点近くに、大規模な太陽光発電所(メガソーラー)が設置されている。土石流との因果関係は今のところ不明だが、政府は調査に乗り出した。災害を引き起こす可能性のある山間部での設置が今後規制されれば、太陽光発電推進政策に影響を及ぼす可能性がある。 ●土石流の主因はずさんな盛り土 ...
【第812回】菅首相は公明党との関係を見直せ
産経新聞月刊正論発行人 有元隆志 今秋に行われる衆院選の前哨戦として注目された東京都議選(4日投開票)で、自民党と公明党は目標とした過半数(64)に届かなかった。自民党は4年前の歴史的大敗からは回復したものの、伸び悩んだ。東京五輪・パラリンピックの中止・延期論が根強いことに加え、新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐる混乱も響いた。 菅義偉政権が昨年9月に発足してから、...
【第811回】意外に穏やかだった習主席の演説
国基研副理事長 田久保忠衛 習近平国家主席の中国共産党創設100周年式典における演説を報道した日本のメディアは「台湾」の部分を見出しに取った。ケチをつけるわけではないが、習主席は1時間余りの演説の最後の方でごく短く台湾に触れたにすぎない。強い表現と言えば、「いかなる『台湾独立』のたくらみも断固として粉砕し、民族復興の明るい未来を共に創造しなければならない」という箇所だけだ。...