公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

櫻井よしこ

【第47回】民主大敗でも労組の影響力拡大

櫻井よしこ / 2010.07.20 (火)


国基研理事長 櫻井よしこ

民主党を大敗させた参議院議員選挙は、同党の病根である左派系労組の影響力を、とりわけ参議院において強める結果になった。

民意は左派の拒絶
今回の参院選の特色は、選挙区と比例区で相反する結果が出たことだ。選挙区では自民優勢、民主劣勢が顕著で、自民の39議席に対して民主は28議席にとどまった。神奈川選挙区で現職の法相、参院議員を4期つとめた千葉景子氏が落選したのは、氏が国民の意見が二分されている外国人参政権や夫婦・親子別姓法案等に熱心だったことと無縁ではあるまい。同選挙区では民主党のもう一人の候補者、より穏健な金子洋一氏が74万票で当選した。

岐阜選挙区では社会党から民主党に移った左派ベテランの山下八洲夫氏が、民主の新人と入れ替った。昨年の総選挙で自民党の閣僚経験者、久間章生氏を落とし、全選挙区を民主党が取った長崎でも、民主党きっての左派、犬塚直史氏が大敗した。山梨選挙区で実力者、輿石東氏が新人の宮川典子氏に4000票足らずまで猛追されたことは言うまでもない。

民意は、左派系議員と彼らの政策の否定にあったと思うが、この傾向は選挙区のみにとどまり、比例では正反対の結果となった。

多くの組合出身者が比例当選
民主党は比例で1845万票を獲得した。自民党より約450万票多いが、2007年の参院選に較べると500万票弱減らした。それでも比例第一党の民主党は比例でどんな候補者を当選させたのか。

比例で勝ち取った16議席中10議席を連合傘下の日教組や自治労、JR総連など左派色の強い労組出身候補者が占めたのである。中でも目を引くのがJR総連政策調査部長の田城たしろかおる氏だ。JR総連は、鳩山内閣が、「殺人事件等、多数の刑事事件を引き起こし」た「極左暴力集団」の革マル派が「影響力を行使し得る」対象と、正式に規定した労組だ。

16名中10名といえば、全体の60%だ。一方で、10名が固有名詞を書いてもらって勝ち取った票は約152万票、全体の8%にすぎない。全体得票のわずか8%で比例議席の60%。なんと不条理な仕組みか。

比例で民主党に投票した1840万余の有権者は、自分の1票が大量の労組出身議員を誕生させ、さらには「極左暴力集団」との関連が指摘されるJR総連の幹部の当選を支えるなど、夢にも考えなかったはずだ。

だが蓋を開けると、そうなっていた。それこそが民主党の抱える暗い構造である。(了)

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第47回:民主大敗でも労組の影響力拡大(櫻井よしこ)