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ケビン メア

【第931回】日本は地対艦ミサイルをウクライナに供与せよ

ケビン メア / 2022.06.20 (月)


元米国務省日本部長 ケビン・メア

 

 特殊な状況下で例外的な措置を取らねばならない時が歴史の中にはある。ロシアのウクライナ侵攻はそのような機会を世界にもたらした。
 日本が国際的な対ロ経済・金融制裁への支持を迅速に決めたことは大歓迎だし、ウクライナに軍用ヘルメットや防弾チョッキなどを寄贈したことも大歓迎である。しかし、ロシアの侵略に対するウクライナの抵抗を助けるために、日本はもっと多くのことをなすべき時が来た。

 ●非常時には例外的な決定が必要
 黒海沿岸にあるウクライナの港のロシアによる封鎖を解くことはどうしても必要である。国連の世界食糧計画(WFP)が報告したように、ロシアによるウクライナの穀物輸出妨害は世界各地で深刻な食糧不足を引き起こしている。ロシアの不当なウクライナ侵略のために、多くの開発途上国で今にも飢饉ききんが広がろうとしている。
 ロシアの封鎖を解くのに役立つ方法の一つは、日本が自衛隊のミサイル「12式地対艦誘導弾」をウクライナに供与することである。三菱重工業が開発・製造したこのミサイルは、射程が200キロかそれ以上の近代的な沿岸防衛ミサイルである。
 12式地対艦誘導弾は黒海のロシア軍艦艇に対する効果的な防衛システムをウクライナに提供する。私の理解では、このミサイルは地対地ミサイルとしても使うことができ、ロシア軍の地上攻撃に対する追加的な防衛能力もウクライナに提供する。ロシアを破り、平和を回復するのに極めて重要な寄与をするだろう。
 12式地対艦誘導弾をウクライナに供与するには、殺傷兵器の輸出に関する日本政府の政策の変更が必要かもしれないことを、もちろん私は承知している。もしそうなら、日本政府は今こそ政策を変更すべきである。それは政治的に困難かもしれないが、非常時には例外的な決定とリーダーシップが必要である。
 この決定は速やかに下すべきだ。ロシアのウクライナ侵略が長く続けば続くほど、状況は困難さを増すからである。ウクライナに日本のミサイルを供与することはウクライナを大いに助けるだけではない。ウクライナの穀物に食糧供給を依存する世界の多くの国を大いに助けることにもなる。

 ●国際平和への寄与
 それだけではない。ミサイル供与は、日本が今や安全保障問題に現実的かつ真剣に取り組んでいるという非常に明確なメッセージを中国、北朝鮮、ロシアに送る。それは、効果的に自国を防衛するのに必要で、国際社会の平和と安全に具体的に貢献するのにも必要な措置を講ずることを日本が自ら制限してきた戦後秩序から日本は脱却したという明確なシグナルとなる。さらに、それは日本が自国防衛の能力を持つことを示し、東アジアにおける中国、北朝鮮、ロシアの侵略に対する抑止になる。
 私は日本国民がそうした決定を支持するものと確信している。そうした決定は日本が世界の平和と安定に真に寄与する国になったことを示すので、世界中の同盟・友好国やパートナー国にも歓迎されるだろう。(了)