公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

中川真紀

【第1318回】中国、初の原子力空母の建造開始か

中川真紀 / 2025.12.01 (月)


国基研研究員 中川真紀

 

 中国遼寧省大連市にある造船所で中国4隻目の空母とみられる大型船舶の建造が進んでいる。衛星画像から、原子炉格納容器用の枠と類似した枠が設置されたことが確認され、中国が初の原子力空母の建造を開始した可能性が大きい。

 ●船体内部の枠、原子炉格納容器用と酷似
 建造場所は大連船舶重工集団有限公司が保有するドックであり、中国国産空母1番艦(保有空母としては2隻目)の「山東」が建造されたのと同じドックだ。
 同ドックでは今年2月以降、盤木(造船時に船体を支える角材)の設置が確認された。盤木は全長270メートル超にわたり設置され、空母級の大型船舶の建造を開始する準備と見られた。11月10日の衛星画像では、長さ150メートル、幅43メートルの船体の一部が組み立てられ、内部に縦16メートル、横14メートルの枠が二つ設置されていることが分かる。これは、いずれも通常動力空母である「山東」及び「福建」(11月5日に就役した国産空母2番艦、保有空母としては3隻目)の建造時には確認されなかったものだ。
 米海軍の原子力空母を建造するバージニア州のニューポート・ニューズ造船所の衛星画像と照合すると、建造途中の原子力空母にはいずれも原子炉格納容器を収める場所に縦16
メートル、横13メートルの枠が二つ設置されている。このサイズと形状は大連の造船所の衛星画像で確認された枠と酷似している。

 ●2030年代初め就役の可能性
 中国は先月、艦載機の発艦装置として電磁カタパルトを有する「福建」を就役させ、空母3隻体制となった。しかし、他の空母2隻はスキージャンプ式であり、戦時には第1列島線(日本から台湾、フィリピンにいたるライン)を越えて作戦する能力はなく、性能の異なる空母3隻で整備―訓練―任務のローテーションが完成したとは言えない。更に「福建」は通常動力であり、原子力空母に比べ、艦載機の連続発艦に必要な安定的な電力供給が疑問視されている。
 よって、中国は次期空母にはカタパルト式の原子力空母を目指している。空母起工から就役まで、「山東」は6年1カ月、「福建」は7年かかっている。大連の造船所で建造中の大型船舶が原子力空母とすれば、2030年代初めには米空母と同等の能力を持つ空母1隻を保有することになろう。更に建国100年にあたる2049年には「世界一流の軍隊の全面的完成」を目標に掲げており、原子力空母3隻でのローテーションの完成を目指し、建造を継続する可能性がある。
 その時、そしてそれまでの過程において、空母を増強させる中国海軍が原子力空母11隻を現時点で有する米海軍とどのように対峙するのか、また日本周辺でどのように活動を変化させるのか。中国各地の造船所での建造状況、「福建」の電磁カタパルトの機能状況、現有空母3隻の訓練状況等を注視しなければならない。(了)

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